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はきだこ 第九回

荷造りをして気が付いた。
長いこと箪笥の肥やしになっていたであろうキックペダル。
転居先にも持っていくのであれば、今まさにここが、未練が後悔へとなる分岐点だろう。

明るい応援歌なんて書くつもりはなかったが、「俺が曲を作ったら向こうでも音楽をやるか?」の問いに乗ってくれたその瞬間に、最初の一行は完成した。

それは自分なりの音楽への真摯な在り方だった。
いつだって音楽への愛を歌にしてきて、報いるために音楽をしてきた。
せっかくあった情熱がしおれていくサマなんてのは、音楽的でない。


月まで行けばうさぎが餅ついてるよ。たぶんね。


「はきだこ」は作詞した楽曲にまつわるあれやこれやを綴ったショートショートです。

以降は有料記事になっていて、歌詞とラジオのような気の抜けた手記が読めます。
100円ポッキリに設定しているので購入していただけると、明日の僕がちょっと良いコンビニのおにぎりを食べることができます。

今時ガチャガチャですら100円は珍しいと思うので、たまには四角い袋に入ったおにぎりの封を切らせていただけると幸いです。


sundaes by dat kids

跳ぼうと思えば月でも行けるよ
そこで歌おう タンバリン鳴らそう
はらはらして わくわくして 疲れたら甘いものでも
どこよりも遠くて なによりも近いものに

はじめての愛を 乱暴に投げておくれよ

Gimme sweet
大雪の砂漠と波風の狭間とダイヤモンド
遠吠えの方 向いて She said ta-ra

優しさって何だっけ
誰かに夢中になって壊れちゃうものだっけ
そんなものなら要らないよね

バレンタインの匂いと 殺人が起きる日の朝


はきだこ 第九回

みなさん、お久しぶり。
最近なんだかんだと忙しなく過ごしていたせいで滞っていたはきだこ。
辞めたわけでも飽きたわけでもないのでご安心を。

今回は先日サブスクでリリースされた楽曲。
スンダエズじゃなくて、パフェみたいな方のサンデーね。
リリ・シャロンでもやっている楽曲だが、正確にはdatkidsは後出しだ。
datkids的解釈とリリ・シャロン的解釈の二つの味が楽しめて面白いと思う。

タンバリンの木材はメイプルだったり、二番のmy bloody valentineを彷彿とさせる言い回しで名盤"loveless"と一番の「はじめての愛」の対比を行ったり、意外にも緻密で知的な作品。

LOVELESS / My Bloody Valentine

『ラヴレス』(Loveless)は、アイルランドのオルタナティヴ・ロック・バンド、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインが1991年に発表した2作目のスタジオ・アルバム。シューゲイザーというジャンルを象徴する作品として評価されており、オーストラリアのウェブサイトSounds Better With Reverbが2013年に選出した「100 Greatest Shoegaze Albums」では1位となった。

Wikipediaより引用

甘さと優しさの対比だったり、有耶無耶にしてしまいがちなことを軽々越えて行きたいねって曲なので、単なる応援歌ではなかった。

「月まで行けばウサギが餅ついとるで」「3人寄ればもんじゅの何とか言うからな」って期待を込めて出だし一文を考えた。

ただ、極力簡単な言葉で、直感的に受け取ってもらう必要があった。
それは「馬鹿でもわかる」や「小難しく綴った情景描写だけで所謂エモいと言われたいがための、文学とは程遠いバンドに対する反抗」のような斜に構えた姿勢ではなく、しっかりと背骨の一本通った堂々としたマインドがこの曲には必要だった。

シングルカットした理由として、バンドを背負って欲しいなんて大それたことは考えておらず、そういった「わかりやすさ」がこの曲のうまみだと思ったからだ。

ぎゃんぼとのフィーチャリングはお互いの成長が感じられた。
わかりやすいと簡単は同義ではなく、アプローチとしては難しい部類に入る曲だと思う。
良い意味でこれからを担う後輩だから起用したという忖度は一切なく(そもそもそんな手練れという驕りもない)、個性と個性のぶつかり合いをサブスクリプションという場でみなに受け取って欲しかった。

音楽は自由で、声は無限大だ。
燻っているだけでは音楽に非礼かもしれない。
次のうさぎは君かもね。

次回、祝二桁達成。第十回でお会いしましょう。(Gimme sundaes!!)

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