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はきだこ 第十回

遠くで風が鳴いている。
地球が自力で回る音。

もしかするとこの世は誰も自分に優しくないんじゃないかと思ってしまうくらい、良くない疲れを溜めた帰り道。
この街がゆっくりと月明かりに覆われて、夕方が役目が終える。

四季を感じるには手がかりが少ないビル街を抜け、簡易的で人工的な緑地に安堵する。
「忙しい」「疲れた」と、人々が口にすることに厭気が差してしまったが、自分も労働の対価として得る僅かな安らぎで疲れを癒す日々を送っている。
それは明日も明後日も。

もっと自分は近くにあったと思う。
もっと安息は近くにあったと思う。
子どもに帰るのではなく、生来そういった存在だったはずだ。

ゆっくりと自分に帰る感覚で、遠回りをする。


「はきだこ」は作詞した楽曲にまつわるあれやこれやを綴ったショートショートです。

以降は有料記事になっていて、歌詞とラジオのような気の抜けた手記が読めます。
100円ポッキリに設定しているので購入していただけると、明日の僕がちょっと良いコンビニのおにぎりを食べることができます。

今時ガチャガチャですら100円は珍しいと思うので、たまには四角い袋に入ったおにぎりの封を切らせていただけると幸いです。


月明かり by リリ・シャロン

月明かりが最後に落ちる街で
長引いてる風邪の鼻声で歌う
最近は本も読まなくなっちゃったな
無駄な言い争いは避けて通る

遠い 音の波に 黒百合を投げてみる
うさぎの形をした 影に向き合ったまま

また靴を擦り減らす 夜から逃げるように
手軽な音詰め込んで連れて行って

ふと風が止んで立ち止まり気付いた
うちとは逆の方に歩いてたみたいだ
明日の早起きのこと考えてしまうより
近くに見える月を想ってみよう


はきだこ 第十回

記念すべき二桁目。
エスパーダ。

まさかのここに来て未発表曲。
いや、この方がわざわざ買ってくれた価値があるってもんなのかな。
ちなみにリリ・シャロンは少しばかりお休みをいただいてる状態なので、良く言えば神出鬼没だと思って欲しい。
絶対に辞めない。戻ってくるから待っていて欲しい。


リリ・シャロンを発足するにあたって、「強い女性」を描くことに一番こだわった。

普段からラブソングを書かない僕にとって、「強い女性」に歌って欲しいことは「自由」についてだった。
それは権利を主張するといった大きなものから、日常の中での些細な欲求まで、FreedomからLibertyまでを書きたいという希望が始まりだった。

性の在り方に過剰な反応を示す余り、逆効果となって縛りが強く感じていた昨今。
本来あるべき形はポリコレでも男性らしさ女性らしさをなくすことでもなく、ただ一人の自由を歌うことだと思った。
ラブソングが嫌いなわけでも書けないわけでもないが、かくあるべきといった風潮に倣うのはロックンロールではない。

リリ・シャロンの楽曲についても今後書いていくつもりだが、全てが「自由」についてという視点で書かれた作品だ。
そしてこの曲がアンセムになると思っている。

自称関西のパティ・スミスは伊達じゃあない。
ガールズバンドの枠に囚われない生き様が、リリ・シャロンの道筋となると信じてこのバンドを始めたのだ。

うさぎの形をした影は前回のはきだこでも書いたもので、ぴょんぴょこ現れた。
実はこういった小ネタも披露したかったので、はきだこの形式を思いついたという、自己顕示欲の化身。
どうせならしっかり歌詞の内容を理解する手助けはしたいからね。

次回もリリ・シャロンの曲について書こうかな。
そろそろリリ・シャロンの新曲も書こう。

次は第十一回。
ブリーチで言うと更木剣八。
お楽しみに。

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