マガジンのカバー画像

雑記

22
ただの日記
運営しているクリエイター

2021年12月の記事一覧

園庭に刺さる赤

ぎりぎりと歯軋りを鳴らす。
外の世界との温度差で窓は結露がついており、何もない向かいの建物はぼんやりとピントをずらしたふうに見える。
肩を撫で下ろす無力感と倦怠感。
光はじっとこちらの世界を照らし、窓についた水滴を鮮やかに、少しずつ蒸発させる。
最悪な朝だ。

外に出ると夜更けに降った雨の所為で水気を帯びた空気が二月の風と絡み合って、この薄汚い路地を寂しげにする。
毎年、この頃になると昔の恋人と近

もっとみる

バニラ

年が明けてからのことを考えると少しだけ希望が見えてきた。
膜が張った景色を少しずつ目を凝らして、小さな凹凸の質感を見つける。
寒さをめいっぱい肌で感じて、夜になろうとしてる時間を歩く。
体をねじ切るほどの出来事が押し寄せて、何とか立っていた一年。
来年は救われずとも、少しずつ回復していければいいな。
曲がる淵を行ったり来たりする毎日で、ただみんなが健やかでほんのちょっと幸せだったり辛かったりを感じ

もっとみる

恋慕

死ぬまで一生、こんな感じなんだろうなと思う。
いつの間にかなあなあで25年を生きて、あと何年生きられるか分からず不安なまま今日を無為に過ごす。
27クラブなんて馬鹿馬鹿しいと思ってきたけど、そんな歳があと5つの季節が巡ると来る。
なんて話、クリスマスにするべきじゃないな。
何かやり残したような柔らかな後悔をしてるのだろう。

本を買った。松本隆の言葉の教室。
まだ冒頭しか読んでいないが、彼の詩は"

もっとみる

橋の上から違う時を見て

luteさんのセレクションにdatkidsのglenが選ばれた。
AIのりんなさんがアートワークをデザインしてくださり、素晴らしい絵と共にdatkidsを聴いてもらえるようになった。

自分の詩がこのように二次創作に繋がるのはとても嬉しい。
以前、活動していた一行あけてというバンドでも、ライターの方が記事の中で取り上げていただけた時もそう、受け取ったものを別のパッケージで提示してくれるのは、勉強に

もっとみる

また何処かで

アンビエントミュージックやノイズミュージックが好きだ。
Low-key dub infectionは僕のソロ名義で、音楽をより非音楽的に表現したくて始めた。
なんとなく、求められるものを作っている感覚が嫌で、バンドとしてのパッケージングを辞めた。
もっと抜本的な、音楽を聴くときの感情を取り出すことと、僕の脳内をそのまま焼き回せるコンテンツが、その頃の僕には必要だったのだと思う。
友人には「本当に音

もっとみる

拍動の残数

datkidsというバンドを動かす、芯というか核というか、そんなものを担って2年。
"morning fog"という曲から生んだ短編小説のようなものを、見様見真似で投稿した。
フィクションとノンフィクションの入り乱れる、遠く玉ボケした風景のような作品を綴りたいとずっと思っていた。
誰も届かない、だからこそ形になり得るものを書き続けていく。

noteがどのようなものかまだまだ理解していないけど、日

もっとみる