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日記補遺/玄関にて寝る

欠勤。起きたときからすでに、心身すべての力を、使いはたしている。娘を幼稚園のバス停に送り、そのまま玄関先で倒れこむ。四時間も寝ていた。一体、なにをしているのだろう。なんなのだろう。このゲームのプレイヤーは、三歳児に違いない。前の道では、人が談笑している。車も順調に走り、マンションの工事も進んでいるようだ。カラスも問題なく、かしましく啼いている。ゲームのバグではない。システム終了の気配もない。致命的な金欠におびえ、欠勤のたびに憂鬱と罪悪感は蓄積し、身体へのダメージは増えてゆく。欲をいえば、息災である一病がよかった。身体が動かないなら、いっそのこと、心も同時に殺してほしかった。涙が、出てきますよ。日頃のサービス精神で、おもろいことのひとつも言えたらよいが、「住みなすものは心なりけり」、その心が、この世界はガキのゲームだ、と信じたがる。これはなかなか、どうにもならない。三千世界のカラスを殺し、主と朝寝がしてみたい、なぜ晋作ばかりが浮かんでくるのだろう。玄関で、騎兵隊の夢でも見たのだろうか。それとも、三歳のプレイヤーは、晋作のファン、いや、まさかね。いいからぼく、ちょっとだけ、お父さんとプレイを代わってくれないかい。キャラがね、死にかけてますよ。

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