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【IT企業の若手向け】DX時代に絶対読んでおくべき3冊!

はじめに

タイトルの通り、「DX時代に若手が絶対に読んでおくべき本3冊」をご紹介したいと思います。

なお、個別の書評や要約を書くつもりはありません。
(多分ググればそういうnoteや、はてブロなんか幾らでも出てくると思うので...)

この記事では、以下のような観点で3冊をサクッと紹介します。

・3冊を読む時のおすすめの順番
・どんな本?
・何故読む必要があるの?

1. サブスクリプション――「顧客の成功」が収益を生む新時代のビジネスモデル

まず1冊めにお読み頂きたいのはこちらです。

どんな本?
サブスクリプション(通称”サブスク”)やSaaS(Software as a Service)と呼ばれるビジネスモデルについて、現在発刊されている書籍の中で、最も深く、広く、体系的に理解できる本でしょう。それもそのはず、本書の著者は、BtoB SaaSの巨人Salesforceの初期メンバにして、現在はサブスクビジネス事業者向けのSaaSを提供するZuora創業者、”サブスク/SaaSガチ勢”のティエン・ツオ氏なのです。

サブスクリプションビジネスに関して、「え?要は月額課金サービスだよね?」というレベルの理解度の方は絶対に読んでほしいです。サブスクリプションビジネスというモデルが登場したことにより、モノ作り(フィジカル/デジタル共に)のありかた、企業と顧客との関係性のありかたが、従来のものとは根本的に変わります。それはBtoC/BtoB問わず、既に起きていることです。この本を通して、その様な「今まさに起こっている現実」を正しく理解する事ができます。

何故読む必要があるの?
現代の様な、デジタルネイティブなプロダクトエコシステムが伸長する現代においては、「サブスク感(=サブスクビジネス的な思考方法)」が腹落ち出来ていないと、全く持ってテクノロジートレンドについていく事が困難だと思います。
(後ほどご紹介する2冊の内容を理解する為にも、この”サブスク感”が無いとイマイチ頭に入ってきません。多分。)

本書を読めば分かることですが、サブスクエコノミーの伸長によって、既存のエンタープライズの組織形態・構成も大きく変化が求められます。具体的には、製品やチャネル中心だった組織構造から、UXやカスタマージャーニーを中心とした顧客中心の組織構造への変革が求められます。

更に驚くべきことに、サブスクエコノミーの一層の伸長は、もはやGAAP(財務会計)と通じた企業の成績評価の方法すら変えてしまいます。というのも、財務会計は伝統的なエンタープライズ(=製品中心)の成績評価に出自があるからです。

まさに「エコシステム(=経済システム)」が根底から変わってしまう、そんな状況に有ることを強く実感し、腹落ちできる一冊になっています!

是非読みましょう!

2. D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略

2冊目にお読み頂きたいのはこちらです。

どんな本?
D2Cという言葉を聞いた事がありますか?これはDirect to Consumer/Customerを略した言葉です。

従来の製品製造→広告宣伝→販売といった流れは、多くの中間存在が介在しています。
(例えば、広告代理店や卸売業者、自社以外の販売委託先 など)

そういった中間存在を一切取っ払って、製品製造元が顧客と直接つながり、自社製品の世界観(Vision)やストーリーを持ってして、顧客と直接コミュニケーション&販売&アフターサポートまでを行うエコシステムの事をD2Cと言います。

誤解なきように言いますと、D2Cは単なる中抜ビジネス・直販ビジネスではありません。本書では、まさにD2Cとはなんぞやを、極めて網羅的かつ詳細に理解することが出来ます。

何故読む必要があるの?
現代においてフィジカルなプロダクトは、正直言って全てのジャンルにおいてコモディティ化されています。
(家電、車、化粧品、スマートフォン、等々)

特に日本は安くて品質の良いものが幾らでも手に入りますよね。D2Cという考え方には、そんな状況で企業がどうやってモノ売りをしていくべきなのかが分かるヒントに溢れています。

また、D2C企業はテクノロジーカンパニーであるということが本書から学べます。先程ご紹介した1冊目でも言及されているのですが、「SaaSを始めとしたデジタルプロダクトに限らず、フィジカルプロダクトもサブスク化する」という世界観が既に到来しています。なお、ここでいう”サブスク化する”というのは、”月額課金ビジネスになる”という事では有りません。顧客との関係性や企業としてのあり方が、製品中心から顧客中心に変わるという事です。そういう意味で、D2Cビジネスにおける様々な指標(KPI)は、SaaSビジネスにおけるそれと非常に類似しています。また、カスタマーサクセスの取組も多分に行われています。

現代のあらゆるビジネスドメインにおいて、もはやテクノロジーやデータサイエンスを排して語ることはできません。それが例えフィジカルプロダクトにおけるビジネスであったとしてもです。その事を深く理解できる1冊です。

3. アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

最後にご紹介するのがこちらです。

どんな本?
既に1冊目・2冊目を通して「デジタル/フィジカルの垣根なく、モノ作りとモノ売りのあり方は大きく変わった」という腹落ちを持ってして、その世界の征く先を見ることができる本です。

本書では、主に中国の先進的なテクノロジー企業の事例を通して、オンライン/オフラインの垣根が完全に失われ、全てがデジタル化する世界・エコシステムを垣間見る事ができます。こういった世界観を本書ではOMO(Online Merges with Offline)と称しています。意味としては字面のとおりでして、オフライン(フィジカルでのビジネス)は全てオンライン(デジタルビジネス)のスキーム・考え方に統合されるという事です。もうちょいわかりやすく言うと、WEBマーケティングやサブスク的な発想で、実社会のビジネスも回っていくという考え方です。

多分実例が無いとよく分からないと思うので、本書内でも触れていた例をひとつご紹介します。

中国の無人コンビニの取組に関する考え方がとても面白いです。日本でもLAWSONやファミマを始めとしたコンビニチェーンが、無人店舗に関する実証実験を行っていますよね。では、その目的は何でしょうか?

日本におけるこれらの取組の大義は、人件費の圧縮です。しかし、中国の先進的な企業による取組は、全く異なる目的の下行われています。どういった目的かと言うと、WEBマーケティング的な発想をフィジカルに持込むべき手段としてやっています。わかりやすく言うと、

「顧客がどういった商品に手を伸ばし、挙動を示し、購入に至るのか(至らないのか)を解析するため」

という目的です。これ、WEBマーケティングの世界では、コンバージョンレート(CVR)の可視化を通して既に行われています。ただ、実店舗においては顧客がどういった商品に気を引かれ、どのようにして購入に至るのかをデータで可視化することは困難です。ポイントカードのアカウントとPOSを連携させた既存の取組では、あくまで「どんな属性の人がどの商品を買った」という結果しかわかりません。しかし、顧客が商品の購買に至るまでには、確実に何らかのジャーニーが有るはずです。それを現実空間で可視化する事を目的として、中国の無人コンビニの取組は実施されています。
(具体的には、顧客が商品を手にとったり比較したりする様子を全て録画し、AIなどを通して映像解析し、それらのジャーニーの可視化(=データ化)をしている模様です。また購入体験は洗練化され、レジで決済する必要もありません。必要な商品を手にとってそのまま店を出れば、映像解析から個人を特定し、個人の電子決済アカウントから自動で引き落としまでされます。)

何故読む必要があるの?
本書を通して、既に紹介した2冊で理解できた現在のビジネスのあり方・エコシステムの全容を踏まえて、更にその先に来たるべき未来(というか中国では既に到来している)を把握する事ができると考えています。

特に、アフターデジタルの世界において重要なのはセンシングテクノロジーと機械学習/Deep LearningなどのAI技術の組み合わせです。なぜなら、現実空間のあらゆる情報をビッグデータ化し、効率的かつスピーディーに解析&インサイトの抽出を行う必要が有るからです。

こういった文脈にふれることで、ある種本当の意味で「何故、5GやAIoT(=AI+IoT)がこんなに注目されていて、それらがDXの必須要素たり得るのか?」を理解する事ができるはずです。

最後に

これら3冊を読んでみて、私が感じた率直な思いとしては「うわっ!私の国、遅れすぎ!」という思いでした...笑

サブスクやD2Cは、北米を中心とした先進的な企業によって推進&拡散されていますし、アフターデジタルな世界は既に中国で実現されています。こういった本を通して実例を思い知る事は、日本のDXの遅れや、まだまだ古い価値観でビジネスをしている現実を、つまり危機感を正しく教えてくれます。

ちょっと話がそれますが、LINEとYahoo!の統合、NTTドコモのNTT完全子会社化(TOB)など、最近のビッグニュースの中には必ずと言っていいほど「米中のテックジャイアンツ(GAFA, BAT 等)に対抗するため」というセンテンスが出てきますよね。テック企業のトップたちは、本当に危機感に溢れてそういう事を言っているわけです。

であるからして、我々の様な現場で仕事している若手であっても、そういった本当に深刻な危機感を正しく把握することは、これからの時代を担う身としてとても有意義なことだと感じています。

そして、危機感を正しく把握できた若い人たちが、これからの日本の発展に寄与できるビジネスマンたらしむる事を切に願います!

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