Drive!! #95 ボート X 小説
インカレエイト第2組。1000mで六甲大が蒼星大よりもわずかにワンシートだけ先行していた。
蒼星大学のCOX森泉は、1000m地点で他艇が自分たちより前にいる状況に動揺していた。
***
850mでアタックを躊躇したのがいけなかった。
スタートには絶対の自信を持っているつもりだった。そしてレース直前までも強気な考えを持てていたと思う。
誰が挑んできても絶対に勝利すると思っていた。
だが実態としては、近年俺たちのクルーのスタートが強いことが知られていてそのイメージに助けられていただけなのかもしれない。
真っ向からスタート勝負を挑まれる前に、相手が引いてくれた結果、レース前半先行してきた面があるんだと今痛感している。
本当に真っ向勝負をすることになった今、肝心なところで俺がビビってアタックを入れられなかった。
あれだけこだわってスタートを磨いてきたのに、ここ一番で気持ちに弱さが出てしまった。
1000mを通過した。先行する六甲大学の勢いが増している。
相手を追う後半戦は久しぶりだ。俺はちゃんとみんなを指揮できるだろうか。
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