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短編小説とエッセイ

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短編小説もどき(断片小説)と日記とエッセイを不定期で書いています。 『だれかが見つけていても、じぶんのことばで』
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2022年2月の記事一覧

知らない楽器

SNSで動物を見るのが好きだ。 猫や犬のことをここ数年で大好きになったのだが、旅立ってしまっ…

まさき
2年前

イライラ人と凄腕パイロット

目の前の空中をそれが横切った時、シャープに折られた紙飛行機を連想した。 でももちろんカレ…

まさき
2年前
2

昔の風

あと電柱ひとつ。あともう一歩。 足を前に出す。ラストスパートは腕の振る角度を大きくして、…

まさき
2年前

そういうことから

『人生でやりたいことを100個書き出してみましょう』 SNSで見つけた前向きな言葉に、勝手に打…

まさき
2年前
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原点回帰

書きあぐねて諦めた原稿用紙を棚に詰める。こんなんじゃダメだと言いながら、じゃあなぜ捨てら…

まさき
2年前
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地中で待ちぼうけ

小学校のときの友達と繋がっていない。 就職して遠くの県に住んでいるし、「どうしても会いた…

まさき
2年前
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褒め言葉

きっと馬鹿だと思われている。 褒めれば私の動きが矯正されるとでも思っているのかもしれない。 「いやー、さすがベテランの知恵ですね」 オンラインの会議の始め、私を年下の上司が褒めるときは、当人にとって都合のいい動きを私が見せた時だけだった。 彼は先ほどの打ち合わせで他部署からのデジタル関連の質問に答えを窮していた。私が過去の知見があったので、肩代わりして答えてあげたのだ。 仮にも今の部署のマネージャーのポジションに就くなら、そのくらいの質問には自分で答えてくれ、と正直思う。

和音

いつもなら部活がない日はサッカーのこと忘れて、自転車で買い物に出かけたり、音楽を聴いて過…

まさき
2年前

「自分の家だと思ってくつろいでくれていいぞ」 松岡は速水部長の言葉を聞くなり、部屋の奥に…

まさき
2年前

遊ぶこともサボらない

小さい頃、畳の境目ですら遊びの道具だった。 そこはレゴで作った国同士の境界線になっていた…

まさき
2年前
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幕さえ上がれば

「あるじゃん?お店についたら、お腹空くかもしれないなーっていう。そういうノリだったわけ」…

まさき
2年前

答え合わせ

自分で決めて生きているのに、振り返ってみると自分の選択が不可解に思えるのはなんでだろう。…

まさき
2年前
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手札

今日店長は新しいカードを切ってきた。 本気モードというか、怖い一面を見た。 2回生までやっ…

まさき
2年前

家族ラインと101号室

四枚の写真の後、父の「3年前です」という短い言葉が家族のラインに放たれて画面上では無視されている。「新しいこの家を購入して、住み始めたのが3年前の今日です」という意味だろう。 写真は実家の写真だ。 実家と言っても自分が育った団地ではなく、2年前にリノベーションで購入した一軒家。のべ10泊もしていない家のことを今はそう呼んでいる。 盆と正月に帰ると「ただいま」といって、玄関の戸を開けてみる。 その「ただいま」は、安心よりも責任感の方が大きいような気がしている。家族の前で