なんてことない川のはなし
うちの窓からは、大きな川がすぐそばに見える。
この川は、街中をぐるりぐるりと流れて、海へと繋がっている。
私は、若いころ、大きな川の流れる街をテーマにした小説を読んでから、川の場所に住むことに憧れがあった。
だから、ある意味、願いが叶ってる。
あと、社会人駆け出しのころ、京都に住んでいたことがあった。
そう、鴨川だ。
休みの度に、街に出かけていき、あの狭い薄暗い路地と、パンっと視界が開ける鴨川の風景の対比を楽しんでいた。
川沿いを少し歩くだけで、川自体も、街も雰囲気が変わり、面白い土地だった。
水辺なら、海も好きだが、川も好きだ。
川は、右から左に(或いは左から右に)、ただただ、流れていく。
対岸が見えるのも、また川を好きな理由の一つだ。
あちら側に見える人に、どこか興味を持ってしまう。
夜は、橋を渡ってこちら側に帰ってくる車のライトを、お帰り、なんてほのぼのした気持ちで眺めてしまう。
川を渡ってやってきた人や動物を、どこか歓迎する気持ちになることはないだろうか。
今、目の前に見ている川は大きいけど、橋やら船やら、容易に往来する方法はあるから、そんな壮大な気持ちはあまり湧かないけど。
でも、なんだろう。
有志以来、川を渡って隣の土地に行くかどうかって、かなり大きな話しだし。
大きな川を制した土地から文明は栄えていったし。
川のあちら側に住むか、こちら側に住むかは、今だって大きな違いがある。
ほら、あの世とこの世の間にも、大きな川が横たわっているというし。
わたしは川が好きだ。
面白いし、
見ていると、なんとなく意識がぼんやりしてくる。
6月23日 晴れ