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はじめに


 刑事事件を経験された一般人の方のブログを拝見し、良い刑事弁護人とはどういう刑事弁護人(弁護士)かという点について、少し書いてみたいと思います。

刑事事件に詳しい弁護士


 ご存じかもしれませんが、弁護士の全員が全員、刑事事件を扱うわけではありません。実は、ごくわずかです。
 正直なところ、実は、弁護士は刑事事件はあまりやりたがらない人が多いです。
 詳しい理由は割愛しますが、優秀かつ良い環境で育って弁護士になった人にとっては、刑事法の勉強はしたものの、実際の刑事実務(現実の事件)はちょっと異世界だからです(笑)。 
 私は、祖父が保護司をやっていた関係で、家にヤンキー(笑)がよく来ていましたので、実は違和感が全くありません。

 いずれにしても、刑事事件の「実務」に詳しい弁護士というのは、実は少数です。

 一方で、公益活動や義務的な理由で、やむを得ず、刑事事件を(たとえば、年1件とか数件担当する)弁護士はいるのが現実です。

 なので、当番や国選で、刑事事件に詳しい弁護士に当たる可能性は結構低かったりします。

 でも義務的に刑事事件を扱っている弁護士でも、まじめに熱心にやってくれる弁護士は良い弁護士です。よく話を聞いてくれるかどうかで判断してください。

 刑事事件の「極めて実務的な」知識(たとえば、「上告で未決はつくのか?」、「押収(差押え)られた携帯が返ってこないのだが、どうれすればよいか。」などといった質問をすることで)で判断することも可能ですが、知識はむしろ重要ではありません。それは、調査したり、他の経験のある弁護士に聞くことで十分に補えるからです。
 弁護士1年目、2年目の弁護士でも、話をしっかり聞いてくれ、まじめにしっかりと対応してくれるのであれば、数十年の経験の弁護士より絶対良いと思います。

ネットで検索すると上位に出てくる刑事事件専門弁護士


 おそらく、皆様が刑事事件の弁護士を探すのは、実際に、家族や友人が逮捕・勾留され、(知り合いの弁護士もいないため)慌ててネットで検索するパターンが多いのではないでしょうか。

 すると、いくつかの法律事務所が上位にヒットしますよね。中には、刑事事件専門を謳っている事務所もあります。

 これもご存じのことかもしれませんが、ネットで上位にヒットするためにはそれなりの対策が必要です。SEO対策というやつですね。それなりに費用もかかります。ですので、弁護士費用は相対的に高額になります。そして、往々にして必ずしも、良い弁護士とは限りません(もちろん、良い弁護士もいます)。儲けが先行してしまうとダメかもしれません。

ネットで刑事事件を専門と謳っていない弁護士


 逆に、これは外れでしょうか?
 たとえば、私の事務所のHPで私の専門には刑事事件は挙げられていません。知的財産(特許や著作)が専門として挙げられています。

 でも、実際には結構、刑事事件をやっています。私の場合は単に好きだからです。前述の新興大手の事務所のようにSEO対策とかしていないので、普通に、私が刑事事件を扱っていることは表立っては分かりません。(実際には、Noteやはてなブログで刑事事件の記事を書いているので、よくよく調べてみると、私が結構刑事事件を扱っていることはわかるかもしれません。)

 実は、私に限らず、「『隠れ』刑事事件を扱える弁護士」は多いのです。
ただ、表だって宣伝したりしません。
 他に専門分野をもっており、ただ、刑事事件も(信念や興味で)扱っている弁護士はそれなりに多いのです。

若い弁護士はダメか?


 全くそんなことはありません。むしろ、若い弁護士の方がフットワークが軽くて良いと思います。

 確かに、経験値が少ないかもしれませんが、分からないことは調べたり、経験者に聞いたりして十分補えます。年配弁護士の方が、フットワークが悪く、なかなか接見に来てくれないということもあります。

 私は、刑事事件は「運動」だと思っています。接見に行ったり、(示談などで)関係者に会ったり、とにかく動きます。示談、勾留取消、保釈、など書類をとにかくどんど作成して提出します。フットワークが重要で、フットワークが軽い人がよい刑事弁護人だと思います。

結局、どういう弁護士がよいか。


 刑事事件を扱え、かつ、ちゃんと話を聞いてくれるフットワークの軽い、真面目な弁護士が良いです。

 若い弁護士でも、熱心で真面目であれば、(知識や経験が相対的に少なくても)ちゃんと調査したりして、経験の無さを十分に補えます。

 国選、私選の違いも関係ありません。着手金や成功報酬の多寡も関係ありません(先に述べたとおり、広告費用を回収すべく、高額の費用の設定になっている事務所も多いです)。

最後に


 やはり、逮捕・勾留され、緊急事態の状態で(有事に)弁護士を探すのはリスクがあることがあります。宣伝にひっかかってしまいます。

 私は、国選を結構やるのですが、ネットで見つけた私選が全く接見(面会)に来てくれず、結局、解任して国選になったという事件を何件も担当しました。私選で件数をこなすべく、面会にはあまり行かないのでしょうね。着手金をもらって終わりみたいな感じのようです。
 そのような愚痴を被疑者・被告人から結構聞きました。
 まぁ、弁護士も商売(金儲け)であることは否定しませんが、限度があると思います。

 とになく、普段から(平時に)信頼できる弁護士と知り合いになっておくことが最善です。その弁護士は刑事事件を扱っていなくても構いません。いざとなれば(刑事事件を扱える)本当に良い弁護士を紹介してもらえます。

 是非、(万が一に備え)信頼できる弁護士と知り合いになっておきましょう。

 ランダムにやっていくる当番や国選の弁護士は当たりはずれがあるかもしれません。

 理想的には、その弁護士の名刺を財布に入れておくことです。逮捕されても、すぐその弁護士を警察署に呼んでもらえます。

 お酒が好きなら良い居酒屋を探します。お寿司が好きならよいお寿司屋を探しますよね。緊急時に備え、良い弁護士も普段から探しておきましょう。

 ちょっとした法律相談等で出会えるかもしれません。




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