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【刑事事件】「国選だから、どうせ何もやってくれないんでしょ?」

刑事事件の被疑者・被告人になってしまったときに、①(資力がない場合など)国から選任される国選弁護人を頼む場合と、②私選弁護人、つまり、自分でお金を支払って弁護士を弁護人として雇う場合があります。

※被疑者:犯罪をしたと疑われている者で、起訴前の段階の者
※被告人:犯罪をしたと疑われている者で、起訴後の段階の者
※容疑者:法律用語ではなく、マスコミ用語でしょうか。
※被告: また、マスコミでは、刑事事件においても「被告」と言ってたりしますが、正確には、被疑者ないし被告人です。ちなみに、「被告」というのは、民事訴訟で訴えられた者ですね。民事事件でも個人のお客さんは、自分が「被告」と呼ばれることが何か犯罪者と呼ばれているように感じる人も多く、不機嫌になったりします(笑)。

ちなみに、被疑者・被告人は、国選弁護人をだれ(どの弁護人)にするかは、選べません

私は両方やりますが、刑事事件は公益活動と思ってやっているところが多いので国選事件の方が多いです。

そして、国選弁護人に選任され、初回接見(警察署などへの面会)に行くと、

標題の発言、

国選だから、どうせ何もやってくれないんでしょ?

をおそらく数十回は言われたことがあります。そんなに国選の先生は手を抜いているのかと思ってしまうくらいです。

「いやいや、そんなことないよ。」

と返しますし、もちろん手を抜きませんが、心の中では、【おっ、初犯じゃないな。前にも警察にお世話になってるな。】と思ったりします(笑)。

さて、このように、国選弁護人は評判が悪かったりしますが、実際どうなのでしょう。

私のことはさて措くとして(笑)、私は、国選の刑事事件の控訴審(第二審の高等裁判所)や上告審(更に、最高裁)も受任するので、その際に、第一審や控訴審を担当した弁護人(国選の場合も私選の場合もあります。)の弁護活動を裁判記録から読み取ることができます

その意味で、控訴審や上告審の国選弁護事件を担当するのは、非常に勉強になります。

さて、では、私選と国選とどちらがよいでしょうか。

結論は、担当する弁護人の先生次第です

(語弊のある言い方ではありますが)国選であっても、非常に熱心に、被疑者・被告人のために様々な活動をし、感動すら覚えるような弁護活動を見たことがあります。そんなやり方があるのかと勉強になったりまします。
一方で、(あくまで私の視点では)びっくりするくらい手を抜いた弁護活動をしている先生もいます。
国選の報酬が7、8万円で割りに合わないのは確かですので、手を抜く先生がいるのかもしれません。でも、仕事で余りに手を抜くというのはどの分野でもダメですよね。

一方、正直、私選でも、必ずしも、熱心に弁護活動をしているとは思われない例も見られます。

繰り返しですが、結局、良い弁護人(先生)に担当してもらえるかどうかですね。

国選は、前述のように、弁護人を選べないという点で、いわば博打です。資力がないということで、私選弁護人を雇えないのであれば、やむを得ないかもしれません。

一方で、私選でも、当たり外れがあるので、これも運でしょうか。

標題の発言の不満は、実際に聞いてみると、「弁護士は、ぜんぜん面会に来てくれなかった。話を聞いてくれなかった。」というのに尽きると思います。

弁護士は誰もかれも忙しいので、接見も短時間で済まそうとするのでしょう。その結果、被疑者・被告人と十分なコミュニケーションがとれず、不満を持たれてしまうのでしょう。私が、控訴審や上告審で、拘置所に面会に行って、1時間ほどじっくりと話を聞いてあげると、大抵の被告人は、自分の話をちゃんと聞いてくれたことに感謝の意を表するほどです。私は、それと、こまめに手紙をするよう心掛けています。これにより、特に面会が遠方で中々行けない場合でも、信頼関係を作ることができます。

さて、ある日突然逮捕されたりすることが、普通の方にも起こり得ることは、これまでの記事でも述べました。
万が一のときのために、まずは、一人、何でも弁護士の先生の知り合いをつくりましょう

知り合いの知り合いや、ちょっとしたことで法律相談に行ったりして、とにかく1人、何でも話せる弁護士を確保することです。

その弁護士が、刑事事件を扱っていなくても構いません(特に都心では、刑事事件を一切扱わない弁護士も多いです。)。万が一のときは、その弁護士から、きちんと刑事弁護ができる先生を紹介してもらえばよいのですから。

でも、できれば、しっかりと弁護してくれる弁護士の先生を確保し、名刺(連絡先)を常に財布に入れておきましょう。

おそらく、法律相談した際に、熱心に話を聞いてくれ、また、熱心に説明をしてくれる弁護士が、一般的には良い弁護士です
刑事弁護の知識や経験も重要ではありますが、たとえそれが少なくても、熱心な先生であれば、色々調べたり、経験のある弁護士に聞いたりして、十分に補うことができるからです。1年目の先生かだらダメだということは決してありません。

あと、人間ですので、合う合わないというのもありますね。お互いに。



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