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民法改正がIT業界に与える影響をサクッと理解するメモ

120年ぶりに民法が改正され、来年4月から施行となるわけだが、我々SI業界にも影響があるので自己の理解を深める意味でここで整理してみたい。ユーザー企業(システム開発を依頼する側)にも影響があるので、IT部門に携わる人にも知っていただきたい。

POINT①【請負】瑕疵担保責任
・瑕疵から契約不適合という呼び方に変更

・代金減額請求が可能になった
 改正前:修補請求+解除+損害賠償請求
 改正後:修補請求+解除+損害賠償請求+代金減額請求

・責任追及の期間が長くなった
 改正前:引き渡しから1年以内
 改正後:不具合を知った時から1年間、ただし引き渡しから最長5年の上限あり
 
・修補請求が認められにくくなった
 改正前:瑕疵が重要な場合、過分な費用がかかる場合でも修補請求ができた
 改正後:瑕疵が重要であろうとなかろうと、過分な費用がかかる場合には修補請求ができない

POINT②【請負】プロジェクトがとん挫した場合でも報酬請求が可能になった
 改正前:ベンダは成果物を納品して初めて報酬がもらえる
 改正後:完成していなくてもユーザーに一定の利益をもたらせば請求できる。またPJTが頓挫した場合も支払い義務があることを明文化

POINT③【準委任】成果完成型の準委任契約が登場
 改正前:完成には責任を負わず、業務遂行に責任
 改正後:準委任契約だが、仕事の完成を目的にできる


■実際どうなるの?
じゃあ実際の現場ではどうなるのよ?ってことだが、恐らくそんなに変わらないと思っている。なぜなら日本には契約自由の原則があり今まで通りの契約も可能だし、変化を嫌う傾向があるから。たぶんベンダ側、ユーザー側双方のメリットを織り交ぜながら契約書のひな型的なものが富士通や日立で作られ、下々で流用される感じになるだろう。

そして最も気になる開発費だけど、こちらも民法改正に伴って高騰というシナリオはないと考えている。ここ数年すでに10%以上単価は上昇しているし(著者の肌感覚)、来年以降、案件数は減少に転じることが予想される。そうなるとリスクが高まるからといって単価を上げるのは受け入れられないだろう。

■まとめ
ざっと要点をまとめたが、上記のことを頭に入れておけば問題ないだろう。本当はこれを機にアジャイル開発にフィットした契約をユーザー側、ベンダ側双方でつくって行ければいいんだけど…


【参考】
企業、システム受注の保証にリスク
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52279340W9A111C1EA2000/
120年ぶり民法改正へ、システム開発費「高騰」のリスク

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00989/112600009/?n_cid=nbpnxt_mled_itm

改正民法によるIT企業・システム開発への影響とは
https://it-bengosi.com/minpo-kaisei/

民法改正でシステム開発の何が変わるのか?3つのポイントを徹底解説
https://topcourt-law.com/internet_security/civil_code_reform

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