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農家とはなにか?

タバコをやめて1年近く。
その反動で始めた趣味のシーシャをくゆらせながら考えてみる。

そういえば農業の世界に踏み入れて8年以上。
自分は農家だと思い続けてきたし、これからも農家でありたいと思う。

でも僕は一般的な農家のイメージとはおそらく違う働き方をしている。

農業を主体とする株式会社に勤めるサラリーマン。
僕は何者なのだろうか。

農業という仕事

そもそも農業という仕事を少し作物で分類してみる。
※順不同 思いつく順ね

農業の簡単な分類

  1. 穀物
    米、麦、大豆(豆類)、場合によってはトウモロコシかな?
    あと、そばもそうだろう。

  2. 野菜
    果菜、根菜、葉物などいわゆる野菜ね。
    イメージは違うだろうけどイチゴはこっちかな

  3. 果樹
    リンゴやなし、柑橘、柿、モモ、ぶどうなど

  4. 畜産
    牛、豚、養鶏、卵、乳牛、ヒツジやヤギ、アヒルとか
    食や皮(革)にまつわる家畜の飼育か

  5. 花き
    食用、観賞用含めた 花や植物だね

  6. キノコ
    シイタケ、シメジ、エノキ、きくらげとか
    食用キノコだよね

  7. その他
    分類分けが難しいのが 養蜂、お茶、麻、タバコ

ほんとはもっとあるんだろうけど
ざっくりイメージできるところではこの辺。

それをさらに作業として 分類してみる。
僕は野菜しか経験がないから今回は野菜で。

んで、どこから始めるか、栽培方法や品目の掛け算によって作業工程は無限でめちゃ難しいので一般的なイメージの範囲で。

子供が畑で遊ぶのはうれしい。

ざっくり農作業

  1. 畑を耕す(畝を立てる)

  2. 肥料をまく
    ※自然農法なら耕さない、肥料も入れないこともある。

  3. 種をまく
    ※苗を植える野菜なら 育苗が1,2らへんで同時進行。
    もちろん買うこともできる。

  4. 潅水する(みずやり)
    天水(雨)のみでの栽培もある。

  5. 防除・農薬をまく(殺虫、殺菌)
    もちろんこれも栽培方法による
    基本的に害虫は後からでも叩けるが、植物の病気は予防しかない。
    病気にになるとほぼ直らないのだ。

  6. 作物が育つ
    葉物ならこの辺で4,5を繰り返して収穫に至る。

  7. 誘因や芽花き
    この辺の仕事は主に果菜類(トマトやナスなど)

  8. 収穫
    白菜やキャベツ、レタスなどの葉物は畑で切って、そのまま段ボールに入れることが多い。そしてそのまま出荷。

  9. 調整
    選別や袋詰め、箱詰め

  10. 出荷
    トラックに詰め込み 出荷先へ配送

いっぱいある感じがするけどこれでもかなりラフ。

一般的には農業ってこんなイメージなんだろうけど
農業はこれでは成り立たないよね。

JA(農協)のみの出荷だとこれで 勝手に相場と言われる値段がつけられてそこからなんやかんや手数料引かれて差額が振り込まれる。

そう、作物は売らないことにはお金にならないので生活はできない。
原始的な自給自足がしたい人は8で終わって 自分が育てた作物だけ食べて生きることはできるけどね。

でも人間社会で生きるためには お金は必要。
すべてに値段がついているんだもの。

実際に農業であまり見えてない仕事

  1. 営業
    最近はECサイトでBtoCみたいなことも増えてるけど 卸やスーパーのバイヤーさん、直売所への登録や飲食店とのやり取り、そして無人販売とはいえ 買ってもらうための努力をしている。
    通常、売る前から作ると痛い目に合う。

  2. デザイン
    スーパーだと裸で売られてる野菜も多いけど、それを運ぶための箱にもデザインやロゴが入っている。パッケージはもちろん、「OOファーム」という名前やロゴにもデザインがあり、そこに作り手の想いや売るための戦略があるのだ。

  3. 流通・物流
    意外に思われるかもだけど、届けるという仕事が思いのほか農家の頭を悩ませる。消費者は100円の野菜を買っているとき、そこには物流費もしっかり乗っているし、お店の利益もしっかり乗っている。ついでに言うと野菜を運ぶための箱って大体100円くらいはしてるから 段ボール屋さんとの値段交渉も戦争です。

  4. ブランディング・PR
    デザインとも被るけど、最近は農家のYouTubeやインスタグラムなどSNSの活用も活発。みんな自分の作物を知ってもらおう、ファンを増やそうと日々の作業や自身のキャラクターをさらけ出し、差別化を図っている。

  5. 機械や建物のメンテ
    農業機械は恐ろしく壊れる。雨風、泥の中で仕事するので粉塵やさびなどメンテナンスをしっかりしないと機械より修理代が高くつくこともザラなのだ。

その他、作付け計画や労務管理、経費管理、加工や教育など様々あるけど、キリがないのでひとまずこの辺で。

一応言っとくと 野菜を作っていても 最近は土を使わない農業もめちゃ多い。プラント工場といわれる工場内で棚に人口太陽(LEDライト)を付けて水だけで育ててたり、完全に温度や湿度管理される水耕栽培、今後は培養肉や大豆ミートなんかも少しづつ一般化されていくだろう。

農業がここ10年で大きくその枠を広げ始めている。

けっこうほっといたのに思いのほか上手にできた
初めての家庭菜園たまねぎ。

じゃあ 農家ってそれをしてる人じゃないの?

まぁそうなんだけど、農家って言える人が時代とともに増えてきてるのも間違いない。

その一つが私の様な「サラリーマン農家」
上記のような作業はしているが 法人という組織に属し、作業を分担して行っている。

一概には言えないが、簡単に言うと
サラリーマン農家は「営農(経営)」をしていない。
例えば、僕は会社で未来開発室長という役職をいただき、農業を主体とした企画開発を主な仕事としていて、加工品の開発や海外事業展開、また4Hクラブ(全国農業青年クラブ連絡協議会)という若手農家の全国組織の役員も兼務し、農業界の横のつながりや情報収集も仕事の一つでもある。

一番多いのは、日本の農家の確か9割以上を占める個人(家族)農家
一般的な日本の農家のイメージはまだこちらの方が強い。

そしてそれとは別に半農半Xや兼業農家と言われる農家。
主に田んぼを先祖から受け継いでいる会社勤めのサラリーマンが週末に田植えしたり、収穫したりが兼業農家。
半農半Xはどちらかというと ライフスタイルって感じで農業を楽しむ人かな。

はたまた、農業法人を経営する経営者
家族農家で法人格を持っている人は違うと思うけど、例えば数十人の社員やパートを要した会社だと経営者の仕事はいわゆる「経営」。
会社によってさまざまだが、いわゆる農作業はせずに営業を主体とした会社外での仕事をしている社長も多い。
最近は農業界でも億越えのプレイヤー(農家・法人)はだいぶ増えてきている。やり方によるけど儲からない職業ではない。

あと、家庭菜園の人たち。
趣味でやっている人たちや、定年を迎え、老後の楽しみや仕事として農業を営んでる人も超高齢社会の中では数多くいる。

しかし、彼らも直売所に出したり、農協に出したりしている時点で作物を流通させているので農家ともいえるだろう。

別に販売はしていなくても、近所におすそ分けや自分で食べてる時点で農作物を消費しているので農業という視点で見れば影響はある。

私は山梨県北杜市の小さな部落に住んでいるが、周りのお年寄りはすべからく、なんかしらのトラクターや農機具を持っており、毎日のように子供の多い我が家に季節の野菜を山のようにおすそ分けしてくる。

我が家としては大助かりだが、農業を生業にしている専業農家からしたら 強敵だ。

そして、食料自給率の決して高くない日本では海外からの輸入の割合も大きいので外国の農家も存在価値が高い。

日本の農業を支えている農業界の外国人実習生、特定技能生も農作業にいそしんでいる。

同じように農業の発展を支えている農業系企業(アグリビジネス)。
また、日夜開発を続ける種苗会社農業系資材屋さん、時代からは好まれていないが農薬会社も日本の農業と食、値段を支えている。

水張って田植え直後の田んぼが好き。家から徒歩一分。

農家とは食や文化を守り続ける人たちの総称

と、何となくかっこよくまとめてみたが正直結論は出ない。

ただ、僕は農業が好きだし、農家であり続けたいと思っている。
今はいわゆる農作業という仕事は会社では行っていないが、家庭菜園では家族とともに利益や効率を無視して楽しんでいる。

「農」は自由であればあるほど、楽しい。

人に何と言われようが僕は、「農家」という言葉が連想する泥臭さやイメージの中にいたい。

だから、これからも日本や世界で「農業」をテーマに挑戦を続けるし、新しい選択肢を生み続けたいと思う。

おそらく、今後の僕の人生から「農」が消え去ることはないだろう。

30歳を過ぎて縁あって出会った農業。
それで大金を持っているわけではないけど、これ以上ないくらい可能性が広がるこのテーマに出会えた僕は幸せです。

この時期は家族で田んぼを鏡に写真撮影会。


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