【感想】月刊ヤンマガ新連載『大怪獣ゲァーチマ』第1話
私事だが、先日祖父が亡くなった。
(94歳の大往生だったのと昨年7月・12月に会って話せていたこともあり、そんなに「悲しい」というテンションではないのだけど)
そんな祖父が私に遺した最大の功績(?)が1995年3月、小学2年生になる直前の春休みにある映画に連れて行ってくれたことである。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』
平成ガメラ三部作の1本目。
怪獣映画という意味では1992年の『ゴジラVSモスラ』から毎年ゴジラ映画に父が連れて行ってくれていたのだが、父はガメラはスルーだった。
父はゴジラはそこそこ好きだったのでガメラはあまり好きではなかったのか、それとも「12月に映画に連れて行ってまた3月はスパンが短すぎる」と考えていたのかは父もまた亡くなっている今となっては分からない。
あのとき祖父に連れて行ってもらった平成ガメラが日本特撮映画史に残る金字塔だと知るのはずっと先のことである。
当時も今も感謝しかない。
さて、そんな祖父が亡くなった数日後に「ヤンマガで面白い怪獣の漫画が新たに始まった」という情報が流れてきた。
その時点では「漫画なら『怪獣8号』が既にあるしなぁ…それに名前がゲァーチマって元乃木坂46樋口日菜の“ひなちま”じゃないんだから」と半信半疑(大変申し訳ありませんでした)
早速読んでみたら想像以上に硬派な怪獣漫画で素晴らしかった。
※ただ、オープニングシークエンスはじめ完全に東日本大震災を彷彿させるものなので(さすがにあの描写を「意識していない」とするのは無理があるだろう)人によってはダメかもしれないです。
自然災害のメタファーとしての怪獣。
平成ガメラの金子修介監督も2021年のインタビューでこう語っている。
本作も劇中で「自然災害」や「被災者」という台詞が出てくるように、がっつり災害の話として描いている。
やはり2010年代以降の怪獣はこの位置付けにした上で、人間サイドでどのようにドラマを作るかがポイントになってくるわけか。
ポリティカルサスペンスではなく少女が鍵を握るというストーリー展開もやはりシン・ゴジラよりも平成ガメラに近い。
ゲァーチマに対して憎悪にも近い感情を抱いている点と後半の「どうやらゲァーチマと彼女の心が繋がっているのか?」となる展開は比良坂綾奈(前田愛)と草薙浅黄(藤谷文子)が合わさったようなキャラクター。
ゲァーチマに魅せられた海洋学者の竜國のキャラクターは『ゴジラ2000 ミレニアム』で阿部寛が演じた片桐光男を彷彿。
ゲァーチマを近くまで見に行く場面とかね。
ただ、ゲァーチマ=倒すべき敵と考えているわけでもなさそう?
まだ第1話しかないのでストーリーやキャラクターは第一印象と予想の範囲を出ないわけだが、怪獣漫画と来ればやはり最重要項目は絵だろう。
本作も御多分に洩れず第1話から街を破壊し、人類の使う兵器は寄せ付けず、怪獣2体での肉弾戦バトルという怒涛の怪獣描写。
怪獣のデザインもそれこそ劇中で主人公がソフビ人形を作っている自己言及があるように特撮っぽいんですよね。
何だろう、スーツアクターが入っててもおかしくない古き良き造形というか。
首と腕のデザインが特に効いてるのかな?
第1話のクライマックスの敵怪獣を引き裂いてからの火を吹くシーンの絵!
最高!
擬音を表現するオノマトペの片仮名がデカデカと使われる構図も良い。
あのフォントデザインも込みでw
そしてゲァーチマが人類の敵か味方かまだ分からないという締め方もまたガメラを思い出す。
まぁあまり平成ガメラと結び付けまくる老害ムーブもアレですが(個人的に祖父が亡くなったタイミングが重なり余計にそういうモードになっているw)次回以降も非常に楽しみな作品です。
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