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【感想】Nintendo Switch『バベル号ガイドブック』

暑くて外に出たくない。
映画館で観たい新作が今週末は無い。
ドラマは録画も配信も溜めずに消化できているから週末イッキ見の予定も無い。
何か面白そうなインディーゲームでも探してみるか。

そんなわけで任天堂のサイトを眺めていたら気になるソフトを見つけた。

「バタフライ・エフェクト」を軸としたシナリオ型アドベンチャーゲームです。幻想的な巨大船「バベル」に乗り込み、奇妙な輪廻転生の旅を経験する。

https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000041165.html

たった2文の中に敬体(ですます調)と常体(である調)が混在している…!
この拙さが私の心を掴んで離さない。
まぁ冗談はさておき昨今のエンタメ界隈のトレンドであるタイムリープをシステムに組み込んだゲームというのが気になった。

大作だけでも挙げ切れない。
本当にブームだな…

もちろん本家本元(?)のこの作品も忘れてはいけない。

ゲームの過去作では『勇者ああああ』でヤマグチクエストが紹介していた『428 封鎖された渋谷で』というソフトが本作と近いらしい。
※自分は未プレイ

ちなみに自分は普段は映画やドラマを観ることが多くゲームは初心者なので、この手の作品が珍しいのか実は多いのかはよく知りません。
「こんなシステムの作品は掃いて捨てるほどある」とかだったらごめんなさいw

というわけで直感で買ってみたこのソフト、いざ遊んでみたら良い意味で予想を裏切られる秀作だった。

本作は主要キャラクター4人それぞれのストーリーを進めていく形になっている。
といっても例えば「今はこのキャラクターは第3話までしかプレイできないですよ」みたいになっていて、第4話を選択可能にすべく他のキャラクターのストーリーを進める形になるので「誰のどのエピソードから手をつければ…?」みたいなことにはならない親切設計。

で、いざ意気揚々と始めたら早々にミッション失敗w
このミッションを成功させるために過去に戻って何かを変えてバタフライ効果を起こすのが本作の醍醐味。
面白いのは同じキャラクターの過去に戻るだけではなくて、他のキャラクターのエピソード中の行動が影響してくるパターンもあるということ。
「キャラCのこのミッション成功のためにはキャラAの第2話に登場するあれを◯◯しておく必要があるから…」みたいな。
つまり、1人がタイムリープして過去を変えて未来を変えるだけでなく、4人のタイムリープが文字通りバタフライ効果として相互に作用していく。
頭フル回転w

慣れない内は難しいが、作中の様々なイベントを整理・連携してくれるノートという機能もあるので困ったら頼れる。
後半の謎解きは自分には結構難しくて、ぶっちゃけ偶然というか「え?これを変えたらそんなことになっちゃうの!?ラッキー!」みたいにして解けたものもあった。
バタフライ効果a.k.a.風が吹けば桶屋が儲かるって本来そういうもんだろと言われればそれまでだけどw

そんなわけで本作は完全に頭脳勝負。
自分のようにゲーム初心者で華麗なコントローラーさばきなんて夢のまた夢みたいな人でもクリアできる。
最大の魅力はやはり物語。

  1. 登場するキャラクターの魅力

  2. 耳に残る音楽・劇伴

  3. 練られたシナリオ

2Dでデフォルメして描かれたキャラクターたちはプレイする内に愛着が湧く。
実はストーリー上は結構(かなり?)悲しい事態が起きているのだが、このデザインのおかげで深刻になりすぎない。
終盤は上質なアニメ映画を観ている時のような感動が。

魅力的なキャラクターたちが躍動する画面を聴覚から盛り上げるBGMも良かった。
音楽が鍵を握るミッションもあるし、やっぱりある程度こだわってるのかな?

そして何よりシナリオ。
前述の通り4人のストーリーが相互に作用しながらミッションクリア可否に影響していく構造はまさに超絶技巧。
あれぞ真の伏線回収。
Netflixの傑作ドラマ『ダーク』を思い出した。

小粋でコミカルな会話によって進行する群像劇という点では伊坂幸太郎の小説も近いかも。

初見では謎を解きながら固有名詞がたくさん出てくる世界観を把握して4並列のストーリーも理解して…と頭はパンク状態。
しかも各エピソードの時系列はバラバラw
こんなにも時間操作に変態的なのはクリストファー・ノーランか上田誠か。

しかもその本筋とは別に、背景を補完するストーリーが用意されているのも面白い。
ある“動物”を捕獲することで本作の前日譚のような物語を“読める”ようになっている(いわゆるコンプリート要素)

強いて言うなら、こういうゲームに慣れている人はバタフライ効果を謳っているのに本質的にストーリーが一本道であることは不満に感じるかもしれない。
(自分は普段ゲームよりも映画・ドラマに多く触れていることあってかそこはあまり気にならなかった)

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