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敢えてフランチャイズしないビジネス展開

行きつけのマッサージ屋さんから面白い話を聞いた。

敢えて特定の名前を出さないが、そのマッサージ屋さんは先日あるスクールに参加したという。1週間ほどの講座で数十万円という授業料を払ったそうだ。

そのスクールには、全国から同業者や、エステティシャン、整体師、美容師などが参加していたとのこと。もちろん、全くの異業種から参加した人もいたらしい。多くの人は、これまでの事業に、この講座で取得した技術をプラスにすると付加価値が生まれると思って参加したようだ。

マッサージ師さんが参加してみてわかったことは、この講座で習う技術は1週間やそこらでは身につかないものだったとのこと。それを証明するかのように、この講座に一緒に参加していた数十人の受講生の中で、最終日のテストをクリアできたのは1人だったそうだ。

なぜそこまでして参加したかったか。
それはこの技術がすごい評判・話題を呼んでいたこと。
そしてその技術を元々提供しているお店自体がなかなか予約が取れないこと。そのお店が、提供している技術を1週間の通しで学べるスクールも運営していて、それもとても人気だったからだという。

そんなに人気があるものだったら、習得すれば自分のお店の付加価値も上がるに違いないと思ったそうだ。

ここまで聞くと世の中そんな上手い話はないよね、で終わる話だが、マーケティングの視点で見てみると色々見えてくる。

まずそのお店は、敢えてフランチャイズ展開ではなく、スクールという道を選んだということだ。

そのターゲットとなるのは、技術を持っているのに加えて、市場的に何らかの課題を抱えている人たちだ。今でもある程度はビジネスはできているが、客単価が低いことや他店との差別化のポイントがないということが、現状のビジネスの飛躍のネックになっている人たちだ。

講座の受講料を、誰でも手が出る価格にしなかったところも上手い。技術取得に対してある程度、費用がかかることに理解がある人のみを抽出できているし、人数を絞ることで万が一クレームが発生した時に対応するコストも下げることができている。

そしてもう一つのポイントは、この技術を習得しても、お店の屋号を名乗ることができないということだ。名乗ることができるのは、その技術のカテゴリージャンルのみ。
つまり、その講座に参加した人たちは、市場を形成してくれるが、そのお店を頂点とするピラミッドの裾野だけが大きく広がっていくというモデルになっている。

結果として、月に2回、1週間ずつの講座を日本で数ヶ所行うことで、数千万円という一定額のキャッシュが直接入ってくるという仕組みなのだ。

フランチャイズにすると管理コストが高くなったり、提供するレベルに差が出てきて、ブランドを毀損するリスクがあることを考えると納得というわけだ。

応用しようとすると、できそうなフレームワークではあるが、コアとなる簡単には真似できない技術がないといけないところに、このビジネスのユニークさがあるなと思った。

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