見出し画像

〝ガス湧き〟と格闘した、今年開墾した田んぼ

田植えを終えた後は、田んぼの水管理をするために、ほぼ毎日田んぼに行くというのが普通だと思うのですが、僕らはたまに様子を見に行く程度です。そこはテクノロジーのチカラをお借りして、センサーとスマホアプリを使って水管理をしているからです。

ちなみに、水田ファーモという仕組みを使わせていただいていて、センサーで水位や温度が定期的に測定されて、スマホのアプリで見ることができますす。水位が減ってきたらこれもアプリでゲートを開ければよいのです。ですので、農業複業化プロジェクトのメンバーで当番制で管理していて、昨日までは東京のメンバーが管理していました。

水門開閉ゲートと、田んぼの中に水位&温度センサーを設置して管理


定期的に推移等チェックできて、通知管理もできる
水門の開閉もアプリで行えます。

いやー、使ってみて思うのですが、これは本当に便利です。ちょっとなんか変だな、と思う時だけ現場に行けばいいので。これはもう手放せません笑

でも、6月は結構な頻度で、特に6月後半は毎日田んぼの様子を見に行っていました。それは、今年開墾した田んぼにて、訳あって田植え直後に「中干し」を行ったので稲の様子を見に行くためでした(こうなってくると定点カメラとかほしくなる)

中干しとは、通常稲がそれなりに育ったころに行われる作業です。水を抜くことで、根が強く張ったり、過剰な分けつを防いだり、土を干して固くして稲刈りの作業性を高めるために行われる作業です。

ですので、田植え直後にはふつうやりませんし、僕らの農法では「中干し」自体をやらないので、初めての体験となりました。

◆この時期になぜ「中干し」をしたのか?

なぜ、「中干し」をしたかというと、土の中に有毒ガスが発生してしまったからです。田植えをして、翌週除草作業に入りましたが、ガスがたくさん発生し、まるで土が生クリームのようといえばいいでしょうか、田んぼの下の堅い層の上に浮いているような感じだったのです。植えた稲も、田車(除草の器具)に引っ張られて抜けてしまいそうだったりと、非常に心もとない状態です。

その状態の写真を撮り忘れてしまったのですが、除草に数名で田んぼに入り歩いていると、田んぼ一面がガスの泡で白くなるほどでした。

※一部、中干しがうまくいかなかったか所の7月入ってからの動画の様子を張り付けておきますが、こんな感じで歩くとガスが出てきます。田植え直後はこの何倍もひどい状態でした。

◆なぜ有害ガスが発生してしまったのか


さて、なぜ有害ガスが発生してしまったのか。それをプロジェクト講師をお願いしているイソップさん(磯村さん)やメンバーと共に原因を探りますが、結論としては、ちゃんとしたステップを踏んでなかったからということになります。やはり自然相手なので、その時期その時期にやっておかなければならない作業があり、それをやらないとこういった事態が起きてしまうのです。

このガスが発生した田んぼは、今春開墾しました。
こちらが今年4月の様子です。草原・・・。

10年以上は使われていなかった田んぼ
管理機でひたすら耕す
何とか田植えの時期にまにあった・・・

かなり苦労をして田んぼにしました。開墾の様子はこちらに綴ってあるのでもしよかったら読んでみてください。

さて、このステップの何がいけなかったのか。

それは時期です。

講師のイソップさん曰く、お米の出来は稲刈り直後の「秋耕」すで決まっているのだそうです。稲刈りが終わって藁などの有機物を入れ、秋のうちに耕しておく。そうすると有機物を微生物が時間をかけて分解し、良い土になるのです。でも僕たちは4月に草原を耕したわけです。形としては田んぼになりましたが、有機物(草や根)が「腐敗」してしまったのです。これが有害ガスが発生してしまった原因です。

農に触れていると、すべての作業がつながっていること、そして適正な時期にその作業をしなければならないということ、というあたりまえのことを痛感させてもらえます。(リスケできないもんなー、デスクワークと違って汗)

◆経過観察

さてどうしたものか。こちらの田んぼの田植えは、ほとんどゲストの方たちが頑張ってやってくれたのです。あぁこの笑顔を見ると、失敗できないよなー、、、と思ってくるわけです。

ゲスト中心に田植えをしてもらった今年開墾した田んぼ

そして、僕らメンバーとしても、大変な思いをして開墾したわけですから、この田んぼで育ったおいしいお米を食べたいわけです。

なんとかせねば・・・。

ということで、行きついたのが「中干し」でした。

田植え直後の6月初旬

田植えをしてから2週間程度で水を抜きます。(2022年6月15日)

ただ、梅雨の時期を迎えてしまったため、なかなか干上がってきてくれませんでした。とはいうものの、水はほとんどない状態が続きます。でも稲ってしっかり生長していくんですよね、強いですよね。

水を抜いてから1週間経過(2022年6月21日)

干上がり始めているところを歩いてみるも、ガスはまだいそうな雰囲気。やっぱりヒビ割れするくらい干上がってこないとダメみたいです。

更に1週間、6月28日。この週、実質的に梅雨明けっぽくて、いきなり猛暑日が続きます。何と翌日29日は佐久市では観測史上で最も高い37.1度を記録します。こうなってくると日に日に干上がっていくので、さすがに稲の生長が枯れないかが不安で毎日夕方チェックしに行ってました。

猛暑日が続く6月最終週。2022年6月28日。
水が張られてないけど、しっかり分けつしています。

7月2日の状態。ヒビも入ってきて干上がってきています。稲もまだ大丈夫そう。もう少し干上がらせたいとも思いましたが、翌週からまた雨続きの天気予報だったので、これ以上やっても仕方がないという結論にして、雨の降り始める日から再度水を入れることにしました。

ひび割れしはじめてきました。2022年7月2日。
普通に田んぼに立てるくらい固くなりました。
場所によってはまだ全然ダメなところもあったけど・・・これは秋の検証材料ということで。

さて、再び水を入れて田んぼに入ってみると、ひび割れしていたところはガス結構抜けてくれたみたいです。土もしっかりして、稲もしっかりと根付いてくれています。

一部うまく水が抜けなかったところはガス発生してしまっていますが、田植え後1週間の時に比べれば全然改善されました。


なんとかうまくいったっぽいです。でも、この後どうなっていくのかわかりませんので、引き続き観察は続きます。

◆倒しがいのある奴らと「クサトリート」ができました。

さて、水が再び入ったたんぼといえば・・・雑草だらけ。でも雑草退治はお手のもの、逆に「クサトリート」として楽しんでいるメンバーですから、ちゃちゃっと退治して、きれいな田んぼに戻りました。

干上がっていたところ、見事に雑草だらけ
「クサトリート」で雑草退治

さて、この田んぼこの後どうなっていくのか、とても楽しみです。また経過報告させていただきますね。

こんなメンバーで農業複業化プロジェクトは営まれてます


この記事が参加している募集

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?