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中途半端の真っ只中を走る27歳の僕。|『フランシス・ハ (2012)』

27歳って、どんなイメージを持っていますか?


僕は今年で27歳になる(なった)んだけれど、どうもいまいち「27歳とは何か」が掴めていない。だんだんと管理職とか責任のある立場を任され始めたり、結婚して子どもができはじめたりするような年齢というのは自分も分かっているのだけれど(事実、自分も管理職をしていたりするが)、大学生の延長というか、もっと言えば「子ども」のような気さえする。自分が認識する「27歳」と実態の「27歳」が、うまくリンクしていないんですね。

だから、たまに年齢を聞かれてもとっさに答えられないときもある。この間、人に年齢を伝える場面があったのだけれど「一応27歳」というちょっとよくわからない回答をしてしまい、その場の空気が変な感じになってしまった。そのときはいわゆる食事会的なもので、普段そういう場に行かないから慣れていないのもあって非常に気まずい思いをした。まあ、それは年齢というか、別の問題のような気もするのだけれど。


とはいえ、その実感があまりにも持てていないから、ためしに世間的な「27歳」がどんなだったのかについて調べて見たんだけど、これは逆効果でした。27歳のとき、モーツァルトは「トルコ行進曲」を作曲しているし、イチローはマリナーズに移籍しているし、坂本龍馬は土佐藩を脱藩しているし。いちばん驚きだったのは、ポール・マッカートニーが『Let It Be』を作詞作曲していたということ。余談にはなるが僕はビートルズの曲でこの『Let It Be』がいちばん気に入っている。それを今の僕と同時期に作詞作曲をしているなんて。もちろん、彼らと僕を比べることがひどくおこがましいことくらい分かってはいるけれど、こうした偉業を見せつけられるとやっぱり、落ち込んじゃいますね。


映画『フランシス・ハ(2012)』

『フランシス・ハ』という映画がある。ニューヨークを舞台にモダンダンサーを目指すフランシスという27歳の性を描いた作品なんだけど、これもまた僕と同じように理想と現実の間で苦悩していて、「ははあ、僕も他の人からはこんなふうに見えているのかもしれないな」とやけにメタ認知できてしまう作品だった。本人的には頑張ってるつもりなんだろうけど、周囲の期待は全然別のところにあるから空回りしてばかりだし、それでいてプライドは高いから無理に張り合ってしまい、結果的に自分の至らなさを痛感させられたり。ある種の「恥ずかしさ」みたいなものも非常に感じ取れる作品だった。

不思議で切ない 人生は短いけれどそこに2人だけの秘密の世界があるの。他の人達には見えない。私たちの周りにはそんな次元がある。ただ、気づいていない。これが私が恋愛に求めるもの、人生にかな、いや、愛に、か 

映画『フランシス・ハ』

でもまあ27歳に限らず、そもそも定義や理想なんてものは最初っから無いのかもしれない。作中でフランシスが自身の思いを食事会の席で話す場面があるのだが、結構夢見がちな、人によっては気恥ずかしく思える内容なんだけど、自分の言葉で話すフランシスがとても立派に見えた。そういうピュアで温かい想いを吐き出せるのは間違いなく素晴らしいことだし、後々まで心に残るものだと思う。その席には一流企業に努めるビジネスパーソンがいたり、フランシスのダンスグループのトップダンサーがいたり、世間的には「成功」とみなされる人が多かったんだけど、フランシスの姿がいちばん、成熟してみえました。


いずれにせよ、年はとるものだから

まあ、それはそれとして27歳って「27クラブ」といって結構多くの有名人が亡くなってるみたいですね。カート・コバーン、ジミ・ヘンドリクス、バスキア…。真偽のところはよく分からないけれど、気をつけなくちゃいけないかもですね。

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