ハイブリッドファイブ。富山の目指すポジションレスバスケについて

プレシーズンマッチin船橋の2試合。
富山グラウジーズは千葉戦57-82、西宮戦72-77で終えた。

しかし、結果とは裏腹に内容は非常に面白いものだった。

らしくないことをしている。

この2試合にはこれまでの富山にあまりなかったプレーが多かった。

スミスとBJは外にいることが多く、ファイブアウト気味。
そこから綺麗なボールムーブメントで得点をするシーンが散見された。

ペイントタッチ→インサイドアウトのクリエイトはスミスとBJのポストアップよりも日本人選手のバックカットやドライブによるものが多い。
さらにKJやケビンもオンボールのP&Rを行い、小野やBJもボール運びをしていた。

ボール運びにしろ、クリエイトにしろ、シュートにしろ、選手ごとに役割を固定していないのだ。

さらに極めつけは今シーズン初の試合のスタメンのオーダーが
飴谷・水戸・晴山・BJ・スミス
だったことだ。

昨シーズンPGを務めた野崎も、正PGの浦野もスタートに入れなかった。
これに加えて今シーズンのロスターからわかること。

それは富山が選手の役割を固定しないポジションレスなバスケットを作り上げようとしているということだ。

今回は千葉戦と西宮戦から考えられる、富山のポジションレスバスケについて考えていきたい。
また、最後には各選手の総括も書いていく。


"ポジションレス"という戦術の成功事例


富山のポジションレスバスケに似た概念の成功事例は過去にもいくつかある。

ここでは2つの事例を紹介したい。

①2014年の女子バレー日本代表


別の競技の話になるが、今の富山がやろうとしているバスケットは2014年頃の女子バレー日本代表の ”ハイブリッド6” という戦術に近い概念だ。

ハイブリッド6とは簡単に言うと
通常2人いる専属のブロッカーを置かず、状況に応じて6人全員がブロッカー・アタッカー・セッターなどの複数の役割をこなすことで攻撃パターン、攻撃枚数を増やすというものである。

当時の女子バレー日本代表はこれで成功している。

富山も司令塔専属のPGを設けず、全員が複数の役割を状況に応じて担っている。
そういう意味では富山のバスケは"ハイブリッドファイブ"と呼んでもいいかもしれない。

②黄金時代のシカゴ・ブルズ

Bリーグしか見たことがない人でもマイケル・ジョーダンのいたシカゴ・ブルズというチームが強かったことは知っているのではないかと思う。

当時のシカゴ・ブルズにも富山のポジションレスバスケと共通点がある。

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