見出し画像

[琉球戦]富山のステップアップと最後に足りなかったもの -第4節-

第4節。富山vs琉球。
今節の富山はこれまでとは大きく違った。

出だしから連続得点し、さらには長時間リードする時間帯も作るなど、内容に修正を見せた。

さらにGAME2ではこれまで課題だったリバウンドとターンオーバーも改善し、この2日間の中でもステップアップを見せた。

■GAME1
琉球  7ターンオーバー OR15/DR21
富山 14ターンオーバー  OR5/DR21

■GAME2
琉球  9ターンオーバー OR12/DR22
富山 12ターンオーバー  OR9/DR30

しかし、結果はGAME1で88-95。GAME2で80-83とあと一歩届かず。
惜しくも初勝利とはならなかった。

今回の記事では富山のステップアップ、富山のゾーンDFと琉球との駆け引き、勝負所であと一歩届かなかった理由。

これらについて解説していく。


富山のステップアップ

名称未設定-2_アートボード 1

1、上澤とマブンガのツーガード

今節のスタートのPGは上澤・マブンガのツーガード体制。

信州戦では上手く行かず、良いイメージの無かったこの体制だが今節では違った。

この日の2人の役割分担はこうだ。

■ボール運び
→2人で折半

■フロントコートに入った後
→上澤はウイングまたはコーナーでステイし、シューター的な役割を担う
→マブンガはトップでボールを保持し、自ら仕掛けてクリエイトを行う

■ゲームメイク、指示
→ボールを持っている、いないに関わらず常に上澤が行う
→マブンガは深く考えず、自らの仕掛けに専念する

言い方を変えるなら、

体で行うプレーはマブンガがPGを、上澤がSGを担う。
頭で考える内容は上澤がPGを、マブンガがSGを担う。

というような少し変わった役割分担だ。
しかし2人の長所を考えた時、この役割分担は最適解と言える。

そしてこの起用法が見事に成功する。

2、上澤が富山にもたらした4つの好影響

今シーズンの富山は各自の役割が繊細に絡み合っている。

故に誰かの不調が予期せぬ玉突き事故を生むことがあるが、
同時に1人のステップアップはチームに相乗効果をもたらす。

上澤はゲームメイクを担いながらもアウトサイドシュートを確実に決め、1QでFG3/3の8得点と最高のパフォーマンスを見せた。
(1Qのスコアリーダーは上澤選手である)

この上澤のパフォーマンスはチームへ4つの好影響をもたらした。


1つはスミスにスペースを与えたことだ。

基本的にBリーグ内のすべてのチームはスミスにダブルチームをする。

そこで富山がカウンターとして多用しているセットオフェンスが例の "富山ハンナリーズオフェンス" である。

(いつまでも「ハンナリーズ」と呼ぶのは何なので以降はこれを "スミス&4アウト" と記載することにする。何か良さげなコール名があったら提案して欲しい。)

富山はこの日もこの "スミス&4アウト" を活用。

画像6

これが富山の18点目の形である。

東京戦ではKJが担っていたシューターポジションをこの場面では上澤が担当し、これを決めた。

逆サイドのコーナーのダイブとウイングのスリーの2つが決まると "スミス&4アウト" はわかっていても止められない、詰将棋のような再現性の高いオフェンスになる。

これによって琉球は「スミスのヘルプは最悪上澤を空けて行けばいい」という選択が取れなくなり、以降もスミスに勝負できるスペースを与えた。


2つ目はラモスがウイングの仕事に専念できるという点だ。

"スミス&4アウト" のKJポジションを担った上澤だが、KJと違うのはPGを兼任しながらこの役割を遂行しているという点である。

これによってラモスがボール運びのタスクに追われることなく、ウイングポジションでプレーできるようになる。
本来の得点能力を発揮することができるようになった彼はターンオーバーを1本に抑えながら16得点を挙げている。


3つ目はマブンガがクリエイトに専念でき、且つ自分で無理をしないで済むという点だ。

シューターに『渡せば入る』という安心感が無い時、クリエイターは多少無理をしてでも自らファールをもらいに行かなければならない。

しかし、こうして1Qから相方が決めてくれるのであればクリエイターは非常に楽である。
目の前のDFを一人抜けば、あとは自分かシューターか。
より空いた方を選ぶだけでいい。

マブンガの考えるタスクを減らしたことにより、彼に10アシストと冴えた選択をすることができた。


4つ目はオフェンスの統率だ。

名古屋戦後の記者会見で水戸選手は
「司令塔がいっぱいいるみたいな状況がよく起こっていて、それがチーム内で混乱に繋がっていることがある。」
というようなことを語っていた。

上澤がここの役割を果たしたことで名古屋戦でよく見られたちぐはぐさが無くなり、オフェンスの統率が取れるようになった。

セットオフェンスへの入りもこの2日間はスムーズであり、ショットクロックが無くなってタフショットに至るケースも目に見えて少なかった。

これらのことから彼がスタートで果たした仕事は非常に大きかった。

3、要所でらしさを見せたスミス・宇都・マブンガ

やはり富山のクリエイトを担う重要人物はこの3人である。
(今シーズンはラモスもいるが)

積極的にペイントへアタックし、得点、ファールドローン、クリエイトなど、相手に多くの脅威を与える彼らは富山の得点力の象徴と言ってもいい。

今シーズンは中々本来の影響力を出せない彼らだったが今節では要所でらしさを見せ、3人合計で平均39.5得点/15.5アシストを記録した。

■GAME1
・スミス     19点3A
・宇都         11点3A
・マブンガ 5点10A

■GAME2
・スミス    16点3A
・宇都           4点5A
・マブンガ 24点7A

彼らの果たしたプレーについてもそれぞれ解説していく。

ここから先は

4,116字 / 5画像

¥ 150

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が参加している募集

#スポーツ観戦記

13,622件

頂いたサポートは、執筆環境、グラウジーズ観戦費に当てさせていただきます。