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排他的地域で暮らす苦悩

母の仕事が安定し、落ち着いた生活が送れるようになった頃、近所とのトラブルが発生した。
以前に住んでいた地域では基本的に近所付き合いがなかった。
地方への移住により、自治会(町内会)という組織が存在することを知った。
この自治会を通じて、近所付き合いによる新たなトラブルが発生することとなった。

自治会という地域組織

私たち家族が住んでいる住宅街は、新しく分譲された住宅地で、自治会(町内会)という組織が存在していなかった。
約50世帯の住民が住み始め、地元出身者によって自治会を設立する動きがあった。
この地域で自宅を持つ場合、自治会への加入が必須となっているようだ。

私にとっては、自治会がない地域出身なので、存在しなくても問題ないと感じている。

「よそ者」扱いする地域

私も就職する際に経験したが、この地域では地元市町村以外から来た人を「よそ者」と呼ぶ傾向がある。
実際、私が就職した際にも、先輩社員の数人から言われたことがある。

そのため、都内に住んでいる人がほとんどよそ者であることを指摘したかったが、言い出せなかった。

近所のことについて母も詳しく述べないが、何らかの嫌な経験をしたと推測される。
さまざまな地域ルールがあり、理解しづらいことも多い。
運動会、球技大会、草むしり、忘年会、消防団、子供会、相互監視、お揃いの運動着などがある。

特筆すべきは、自治会に入会しないとゴミ捨てが妨害されるという事実である。
きちんと税金を納めているため、不満を言われる筋合いはないが、理不尽な事態である。

この地域だけで暮らしたことがある世帯がほとんどであり、さまざまな地域から引っ越してきた世帯との間には大きなギャップがある。

運動会での出来事

ある秋の日、母から「地域の運動会があるので出て欲しい」と頼まれた。
何も考えず、暇だったので「いいよ、出るよ!」と伝え、翌週の運動会に参加した。

実際に運動会に参加してみると、何か問題があったようだと感じる出来事があった。
当時20歳だった私は、若いからという理由でさまざまな競技に参加していた。
競技の合間には飲み物や食べ物をたくさんもらい、楽しんでいた。心の中で「皆さん良い人だな」と思っていた。

母の息子と分かった瞬間

運動会のプログラムが進み、午前中の競技が終了した。各参加者に弁当が配られ、お酒が好きな人はビールを飲んでいた。
お昼休憩に入り、午前中に多くの競技に参加したこともあり、名前は分からないが話をする人も増えていた。

あるおじさんが私に話しかけてきた。「お兄さんはどこの家の人だい?」と聞かれたので、「〇〇の母の息子です」と答えた瞬間、顔色が変わり、「そうですか」と言って数人が去っていった。
その人たちは、その後私には絶対話しかけることはなかった。

確かに、良い人もたくさんいて、問題なく運動会に参加できたが、この時から「何かトラブルがあったのは間違いない」と確信した。

私は細かいことは気にしない性格なので問題ないが、母が今後自治会活動に参加するのは厳しいと感じた。

このように、地域の慣習やルールに馴染むことが難しい場面もあるが、地域住民とコミュニケーションを取りながら、少しずつ理解し合い、共生していくことが大切だと思う。

違いを受け入れ合い、お互いに協力し合える地域社会をになって欲しい。

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