デザイナー、東南アジアの3ヵ国へ行く
Why 東南アジア?
新しいプロジェクトにデザイナーとしてアサインされた為、ローンチを想定している東南アジアに視察へ。目的としてはデザインを行う上で現地の文化や人を肌で感じた方がデザインアウトプットをより確実な物に出来ると思った為である。
※記事にはデザイン的な話はほぼ書いていません
訪問した国はマレーシア(クアラルンプール)、タイ(バンコク)、ベトナム(ホーチミン)で主に首都圏の様相を観察。ちなみに東南アジアに上陸する事自体が今回が初めて。
1ヵ国目:マレーシア(クアラルンプール)
正直な所、マレーシアについては全く知識が無かった。そしていまのいままで調べる事すらしておらず全く知識が無い状態で上陸。
まず驚いたのが、様々な民族が共生している事。大きく3つの民族が生活していて、分布としてはマレー系>華人系>インド系の順で多い模様。
マレー人はイスラム教を信仰しているが華人系やインド系はまた異なる。日本では生活をしていると宗教・信仰とは距離があるので新鮮である。そして信仰する宗教が異なる事の問題も。
ちなみデザイナー的な観点で考えてみると色が持つ印象やイメージは民族によって異なる事が多いので色彩設計の難易度が高くないか?と感じた。
GrabというUberの様なアプリがほぼインフラ化していて使用率がすごい。この旅では3ヵ国でGrabを使いまくった。これは旅に必須なアプリだった。
夜のクアラルンプール。デジタルサイネージがとても多くギラギラしている。デジタルサイネージの方が紙媒体よりコスパが良いのだろうか。
市街地はかなり都会的で背の高い建築物も多く、日本人でも知っているブランドのお店がいたる所にあり商業的にマーケットとして注目されているんだなという印象。dondon-donki(ドンキホーテの海外バーバルアイデンティティ)もある。
繁華街のど真ん中位にPavilionという巨大なショッピングモールも存在。世界的なハイブランドを筆頭に様々なお店がテナントとして入っている。繁華街のど真ん中にこれだけの巨大なモールがある都市計画に驚き。ちなみにモール内にはTOKYO STREETなる物も。JAPANではなくTOKYOという部分からも東京ブランドはいまだ健在なんだなと感じる。
街中どこでも基本的に英語を問題無く使う事ができるし、街中にアルファベットが溢れている所も驚いた。学校教育でも英語に力を入れているらしく世界での英語力ランクも上位国らしい。中学レベルの英語力しかないので焦りを感じた。
国民の平均年齢も20代と若く、未来への活力を肌で感じられる都市だった。10年後、20年後はどんな発展を遂げているんだろうか。
2ヶ国目:タイ(バンコク)
バンコクは滞在時間が非常に短くそこまで多くの文化を感じられ無かったのが心残り。
マレーシアと違いアルファベットでは無くタイ語が街中に。全く読めん。 繁華街にセントラルワールド、サイアムスクエアといった超大型モールが何棟も密集していて経済の成長を感じる。
凄まじい車とバイクの交通量。バイクはスルスルと車の間を高速ですり抜けていく。運転の技術力が高い。バイクタクシーはなかなか儲かるようです。(歩合制なので頑張りによる)
マレーシアでは多くは見かけなかったグラフィティがとても多く、ストリートカルチャーが盛んな印象。国としての歴史の長さなのか、国民の気質としてhiphopを筆頭にカウンターカルチャーが馴染みやすいのかわからないが、違いがあるのは興味深い。ある程度都市化が進んでいる地域で発生しやすいカルチャーなんだろう。
繁華街から観光地で有名なカオサン通りへ。歩いて行こうとしたが思いのほか距離があり途中で断念。そこでGrabを使ってバイクタクシーで。ノーヘルで車の間をすり抜けながらすぐ到着した。これは便利だね。(危ないけど)
カオサン通りは週の半ばなのか人通りは少なく、すこし寂れた観光地みたいな雰囲気になっていた。医療用大麻の解禁からディスペンサリーがそこかしこに。大麻ビジネスが盛ん。儲かるんだろうか。
食事は日本で食べるタイ料理となんら変わりない味で楽しめた。日本のタイ料理はかなり頑張っている。
3ヵ国目:ベトナム(ホーチミン)
これまでの2ヵ国とはまた様相が異なるホーチミン。 特徴的だったのはとにかくカフェが多い。多くの人が店先でお茶をしながら語らいでいる。フランスの文化が色濃く残っている。
建築物の意匠にも欧州の建築様式の名残があって不思議な感じ。それがユニークさにも繋がっている。
アルファベットが基本だがフランス語と同様に何が書いているかはよくわからない。
バイクの交通量がタイと同じく凄まじい。犬をバイクに乗せて移動している姿に癒される。(危ないけど)
地下鉄をいままさに建設中な模様。運行が開始したら都市計画や生活様式にも色々な変化が起こるんだろうなぁ。
ベトナムといえばフォーのイメージが強かったがブンチャーハノイというつけ麺のような料理が美味しすぎた。これは日本でも流行って欲しい。ホーチミンにきたのにハノイ料理にハマる。
モールなどは前述の2ヵ国よりは発展していない印象。
海外拠点メンバーとface to faceで話す事の意味
クアラルンプールでは海外拠点で勤務しているエンジニアとも合流。彼とはオンライン上では何回もやりとりを交わしているがオフラインでは初対面。
会話をしてみると、このプロジェクトに掛ける熱量も高く国を越境しながら仕事をしているんだなという事を改めて実感した。日本から出ずにリモートのみのコミュニケーションだけだったらこの熱量の高さを感じる事は無かっただろう。熱量はオンラインでは伝わりづらい。
諸外国の文化を肌で感じる事を目的として視察に来たが、正直プロジェクトのメンバーと現地でオフラインで会えた事が一番の収穫だったかもしれない。
総括
3ヵ国を通してそれぞれ国自体のエネルギーをとても感じた。「発展していくぞ!」という気概が街中から感じられた。建造物やデジタルテクノロジーの導入、発展している部分とそうでない部分のコントラストといった部分から感じ取ったのかも知れない。
渡航する前は「東南アジア」という一括りのラベルが自分の中にあったが、訪れてみて3ヵ国すべて違う国なんだという至極当たり前の事を実感した。国同士の距離も近い所からそう思っていたのかも知れない。「東南アジア」というのは周辺地域をまとめるラベルなだけであって東南アジアという国は存在しない。
一方で日本の事を考えてみると「発展していくぞ!」というこの街中から溢れるエネルギーは日本では高度成長期にもあったんだろうなと。自分たちの未来を良くしていける事を確信し、心から信じているからこそエネルギーが生まれているのかも知れない。いまの日本はとても成熟していてこのエネルギーをまた生み出せるかどうか。
あとよく言われている事だが日本と比べると建物を含めてスケールが非常に大きい。特にモールは数時間かけないと建物を回りきれない。地震も日本ほど発生しないので建築の意匠も見ていて楽しい。けど大きいから良い、意匠が日本よりこだわっているから良い、とは一概には言えない。限られたスケールの中で最大限の機能性を持たせる設計であったり、自然災害に負けない堅牢な建築だったりと日本の良さも改めて感じ取れた気がする。優れている部分に目を向けてより研ぎ澄ましていく視点も大事である。(ただ都内で似たようなモールが立て続けに建設されているのはちょっと…とは思うが)
そして最後に感じたのは今夏はどう考えても東南アジア諸外国の各都市より日本の東京の方が暑かった。
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