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福島だからこそできることがある― CANDLE JUNE (キャンドル・ジュン)さんと考える被災地支援のこれから

震災から11年。今年もFacebook Japanでは「あなたのいいね!が花になる Flowers for 3.11」キャンペーンを行い、たくさんの方々の被災地への想いをお花にして被災地に届けました。

東日本大震災の発生から11年が経ち震災の風化が懸念される中で、場所や被災経験の有無に関係なく、被災地や被害を受けた方々に想いを寄せ、震災風化防止のために一人ひとりができることを考える機会創出を目指したものです。

今年で2回目になるこちらのキャンペーン。どういった背景でこのキャンペーンに行き着いたか、どのような思いで開催しているかについて、少し話したいと思います。また、長年被災地に寄り添ってこられ、本キャンペーンにも一緒に取り組んでくださった、CANDLE JUNE(キャンドル・ジュン)さんに改めて被災地支援についてのお気持ちをお伺いしましたので、あわせて紹介します。

被災地で迎えられない11周年をどう人々と共有するか

そもそもこのキャンペーンは昨年、コロナ禍で震災10周年を迎えるというときに、想いはあっても、被災地に行きたくても行けないという人たちに向けてFacebook Japanとして何か取り組めることはないか、というところから始まりました。

ただオンラインで気持ちを表明するだけではなく、何かしらの形として気持ちを届けられないか?それがスタートラインでした。

そこで、考えたのが「花」という形に「想い」を乗せること。「花」であれば、遠く離れた人たちでも被災地に思いを届けられるのではないか?そう考えました。

世界中の人の「いいね!」が花という形となって被災地に届く。ささやかな取り組みですが、思った以上に共鳴してくださる方が多く、多くの人がコメントなどで反応し、思いを寄せてくださいました。

今年は、2月22日〜3月3日の期間中、Meta日本公式Facebookページの特集「11年目の3.11を考える10日間」に、計4,909ものリアクション、コメント、シェアが寄せられ、皆さまから届けられた被災地へ寄せる想いは、3月11日、3,110本もの花となり、LOVE FOR NIPPON主催の復興支援イベント「SONG OF THE EARTH 311 -FUKUSHIMA 2022-」の会場を彩りました。

また、花というビジュアルはやはりとても華やかで、実際に花を持ち帰ることができたり、用意したフラワーゲートでは多くの人が写真を撮ってシェアしてくれました。被災地での新たな経験、思い出をこうして撮影して形に残すということは、贈った人への気持ちを返すということもできる良いキャンペーンになったと思います。

被災地での活動を11年変わらず行うCANDLE JUNEさんとの出会い

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このキャンペーンに欠かせないのが、震災直後から福島を支援されていらっしゃり、同じ課題に向き合ってくれたCANDLE JUNEさんの存在です。

彼との出会いは昨年、3.11が10周年を迎えるにあたりMetaの今までのコミュニティ支援をプレス向けに説明を行った際、ご登壇いただいたのが最初です。私自身、福島市出身で、彼と出会う前からCANDLE JUNEさんのことは福島の家族や友人たちからよく聞いていました。

JUNEさんはLOVE FOR NIPPONの主宰として、2011年6月から毎月11日に東北被災地域でキャンドルナイトというイベントを現在も欠かさず行っています。

彼が活動を続ける原動力、それはもともと取り組んでいた原発反対運動にあると聞いています。もっと真剣に反対をしていたら、福島は今よりひどい状況にならずに済んだかもしれない。そんな後悔が強くあるそうです。

私の家族や友人たちはそんな活動を続けるJUNEさんについて口々に言います。多くの著名人が震災時に支援をしてくれたけれど、11年経った現在でも毎月11日に福島に来て継続して活動をしてくれているJUNEさんのような人はなかなかいない。福島の人々は彼にとても感謝している。福島で彼のことを知らない人はいないとまで。

この話を聞いたときに、私は反省しました。これまでは会社を通じて社会貢献していければ良いと考えていたからです。ですが、JUNEさんの話を口々にする私の家族や友人たちの言葉、表情を見て自分が現場に足を運び、活動することの大事さを教えてもらいました。

このソーシャルキャンペーンが今年も継続できたのは、JUNEさんがもう一度このキャンペーンをやりたいと提案してくれたからでもあります。

私たちも成長していかなければならない。支援活動というとその時だけになってしまうが、それぞれが「やってよかった」という経験を持って帰ってもらわないとやる意味がない。1年目や2年目に参加できなかった人も3年目、4年目に「こうやって人々の思いは繋がったり発展していくんだ」と感じて欲しい。そうして初めてコミュニケーションツールの有益さを伝えられるのではないか。

JUNEさんが熱く私たちに語ってくれたことは、キャンペーンを今年も開催する大きな動機となりました。

彼はこう言います。

被災支援のプロになりたいわけではない。有事の際に色んな人の思いを全て受け止めて無駄なく様々な人に届けたい。

この考えは私たちMeta、ないしはFacebook Japanとも通じるものがあります。有事の際にMetaが提供するプラットフォームがコミュニティを支援するツールとして機能し、さまざまな人の助けになれればと考えているからです。

すでに来年の構想も生まれつつあり、来年再来年、このイベントがどんな風に発展していくか、見守っていただければと思います。

CANDLE JUNEさんと考えるこれからの被災地支援

昨年と今年の活動を通じて、CANDLE JUNEさんとオンラインミーティングで今後の被災地支援について話すことがあり、とても重要なことなので、皆さんにもご紹介したいと思います。

その時の様子がこちら。

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JUNEさんとのオンラインミーティングの中で、もちろん、引き続き被災された人々に寄り添い、復興活動に力をいれていくのは大事なことですが、より未来を考えたときに必要であろうことについてJUNEさんが一つのヒントをくれました。

11年の活動を通じて、感じるのは福島の人々の強い思いです。僕の活動に共感し、毎年イベントに参加してくださる方の中には、普段行政でお勤めの方も多いです。毎月11日は休みをとって参加してくださる思いの強い方もいます。ご自身のお仕事の立場もおありだろうに、イベントのために時間を取ってきてくださる。並大抵の思いではないと思います。

そういったことも踏まえて県外の人に強く伝えたいのは、「行政の人」は被災者ですと言いづらいということです。災害時に家族のことを後回しにして住民の人のために頑張ってきている人たちなのです。ずっと福島の人たちを助けているのはそうした福島県内の行政で働く人々。また災害が起きたときに矢面に立つのはやはりその人たちなのです。

僕らが今後やっていかなければならないのは、そういう人たちを手助けし、様々な人たちがチームを組み、企業レベルでも、市町村、都道府県、国レベルでチームを作っていくということだと思っています。

人を助けるのもまた人です。特に被災地では自分が被災しているのに、誰かの支援のために奔走する人が必ずいるでしょう。彼らが必要以上に追い詰められないように、自身の気持ちを大事にできるように、何かできることがあるはずです。

JUNEさんのおっしゃるように、行政レベルでできないことを我々が担っていく、それが今後の課題であろうと私も考えます。彼とこの話をしたときに、改めてMeta、そしてFacebook Japanでも取り組んでいかなければならない課題であると思いました。

風化していく人々の記憶とどう向き合っていくか

震災から11年、人々の記憶は風化しつつあります。しかし、福島の人たちにとって復興は現実であり、これからも向き合っていく大切なことです。

ただ、国や行政では10年を一区切りとして活動を終了させてしまう傾向がどうしてもあります。企業としても支援を継続するのであれば、利益として何かを残さなければならない。それは企業として当然のことではありますが、支援の手が行き届かない現実でもあります。

ただ、福島の人々は現地にあって、悲しみから一歩進み、より未来志向の考え方にシフトしてきている段階でもあります。未曽有の災害を経験した福島だからこそできることがある。そういう前向きな考えができるようになってきていると、JUNEさんからは聞いています。

まだまだ具体的な案には到達できていませんが、こうした前向きな姿勢が新しいものを生み出す原動力。この前向きな考え方、アイデアを今度は福島から積極的に発信していくことで、災害を記憶の中に留めるだけではなく、未来のために役立てるのではないか。そんな福島の人々の活動や発信をFacebookがコミュニティツールとして手助けしていければと考えています。

災害支援コミュニティとしてFacebookがどうあるか

日本は災害大国。大なり小なり、災害を経験していくでしょう。そうした時にコミュニティの存在がとても重要だと私は考えています。

実際にJUNEさんも東日本大震災当時は、SNSを通じて被害状況を逐一チェックしていたと言います。新潟の水害の際も情報交換の場としてFacebookのコミュニティが役立ったと言ってくださり、コミュニティの重要さを再確認しました。

またFacebookの強みはお年寄りから若者まで幅広い世代で活用されているということ。先にも出した新潟の水害の際も70代の方が情報をポストしてくださっていたと聞いており、多くの世代に違和感なく使っていただけるプラットフォームだと思っています。

東日本大震災をきっかけに生まれたサービスもあります。Facebook上で大切な家族や友人の安否確認や必要物資のマッチング、避難場所を探せる「災害支援ハブ」ですが、これは今では世界中で有事の際に使用されています。

国や行政はその性質上、失敗のできない組織です。しかし、臨機応変に状況に対応していくには、新しいツール、新しい取り組みが不可欠です。だからこそ、こうした新しい取り組みは我々企業が担っていくべきだと考えています。状況に合わせて多くの人が活用し、意見を交換できる場をこれからも提供できるようにしていきたいと、3月11日のイベントを通して改めて考えるよい機会となりました。