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労働者は在宅勤務の選択肢のために 8% の低賃金を受け入れる。 ハーバードビジネスレビュー

リモートワークについて、在宅勤務(Work From House)と、どこでも働く(Work From Anywhere)
ハーバードビジネスレビュー Prithwiraj(Raj)Choudhury 【和訳】


ここ数年、リモートワーク政策からの撤退が目立っていたにもかかわらず、米国の労働力に関するデータは、リモートワークが増加していることを示唆しています。2017年のギャラップの世論調査では、雇用されているアメリカ人の43%が少なくとも何らかの時間をリモートワークで過ごしたことがあると報告され、2018年に発表された米国国勢調査のデータでは、米国の労働者の5.2%が完全に自宅を拠点としていると報告されています。

在宅勤務(WFH)が比較的一般的になってきた今でも、リモートワークの新しい形が台頭してきています:どこでも勤務(WFA)とは、従業員が選んだ場所に住んで仕事をすることができるもので、一般的には特定の国内ですが、場合によっては信頼できるインターネット接続のある世界中のどこでも勤務することができます。多くの企業が、従業員がどこからでも働けるようにすることを検討し始めたばかりですが、アカマイ(クラウドセキュリティ会社)や SAP(ドイツのソフトウェア会社)などの企業では WFA プログラムが開発されています。

従業員はリモートワークの選択肢を高く評価しています。2017年の調査によると、平均的な労働者は在宅勤務の選択肢のために 8% の低賃金を受け入れるという結果も出ています。 これは、労働者が WFH 政策によって提供される柔軟性に金銭的価値を見出していることを示しています。そして、どこでも仕事ができる政策では、雇用主は地理的な柔軟性を与えることで、従業員にさらに多くの価値を与えています。 WFHの従業員は子供を学校に迎えに行ったり、犬の散歩をしたりしてランチタイムを過ごすことができますが、WFAの従業員はこれらすべてを行うことができ、高齢化した親の近くや生活費の安い場所に転居することもできます。

しかし、私たちの経験では、管理者はリモート社員の仕事量が減ったり、マルチタスクになったり、個人的な責任と仕事が混ざったりすることを心配していることがよくあります。 また、社員がどこからでも仕事ができるようにすることで、同僚間のコミュニケーションやコラボレーションが減り、オフィスで行われるインフォーマルな学習が制限されるのではないかという懸念もあります。

しかし、2015年に中国の旅行会社で行われたある調査では、コールセンターの従業員が在宅勤務に移行した場合、その生産性は平均13%向上したことが明らかになりました。 この発見は、次のような疑問を投げかけています。どこでも仕事をするプログラム(WFA)に参加している従業員も、同様の生産性向上の恩恵を受けることができるのでしょうか?

現在審査中のワーキングペーパーでは、米国特許貿易局(USPTO)の特許審査官を対象に、2012年に開始された「どこでも仕事ができるプログラム」の効果を調査しました。在宅勤務からWFAプログラムに切り替えた特許審査官(高学歴・専門職)の生産性データを分析しました。

その結果、WFAへの移行後、審査官の生産性は4.4%増加し、リワーク(発明者からの不服申し立てによる特許決定書の書き直し)は有意に増加していないことがわかった。また、補足分析では、特許の質(審査官の追加引用数で測定)は低下していないことが示されました。4.4%の生産性の向上は、特許付与1件あたりの平均的な経済活動に基づくと、年間13億ドルの付加価値を米国経済にもたらしたことになります(本研究の焦点ではありませんが)。(本研究では取り上げませんが、在宅勤務とオフィス勤務との間には相関関係があり、先の研究で得られた知見と一致しています)。

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