スタートアップとストックオプション
夏に子供が産まれててんやわんやの日々です。やっぱり笑顔が出だすと可愛さが一層増しますね。仕事ではデータサイエンティストみたいなことをやっていて、勉強の日々だけど、楽しい。
更新遅れまくってますね。意外と留学話の反応良くて驚きです。その続きと、データ構造の最初の記事として計算量の話を書こうと思ってますが、今回はストックオプションの話。以前のポストで外資系大手が目指せない(学位とかが問題の)人はスタートアップで上場を目指すのもあり、と書きましたが、日本最大の悪の組織財務省がストックオプションに仕掛けてきました。が、同時に利益を合法的に最大化するチャンスでもある、という話です。
今更感ありますが、当事者以外は疎い話だと思うので、大企業で伝言ゲームエンジニアして潰し効かなくなるなら、スタートアップも悪くないぞ、的な記事書いた手前ポストします。と言っても、税理士でも弁護士でもなんでもないので、法的な詳細は下記引用記事等でご確認ください。とはいえ、多くの人にはわかりにくいと思うのでスタートアップで働いている人間の理解の範囲で説明していきます。
この記事のストックオプションの用語
読むにあたっての簡単すぎる説明。
SO
ストックオプションの略
発行価格
ストックオプションの権利を発行する価格
無償SOなら0円、有償SOなら契約書の発行価格
行使価格
ストックオプション付与時に決まる行使時に取得できる株価
ちなみに行使は権利付与後2~10年後ですぐは行使できない
売却価格
定義合ったっけ?行使して入手した株を売った額
ストックオプションに限定した話でなく株式取引全般
所得税
所得(ここでは給与扱いのもの)にかけられる税金
譲渡税
株式売却利益の譲渡所得税のことをこの記事では譲渡税と呼んでます
所得税15%, 住民税5%, 復興特別所得税0.315%
税制適格ストックオプション
税制適格要件を満たして税制優遇を受けられるSO
税制非適格ストックオプション
要件を満たさない、税制優遇を受けられないSO
こんだけわかれば読めるのでは。
信託型ストックオプションの扱い
以前信託型ストックオプションの話を書いた気がしますが、お得で使い勝手のいいストックオプションとして知られていた信託型が、実は税制優遇受けられず、給与扱い(給与一部として支給されるので、所得税の枠だ、という建付け)で2回課税、おかわり課税されるという国税庁の見解が示され激震が走りました。
PKSHA辺りは社員の負担を肩代わりして特損組んだみたいですね。そりゃ、すでに行使済のストックオプションで一部に55%(累進課税上限行ってたら)請求されたらつらいですね。20%のはずだったので発行時1万円、行使時3万円で5万で売却した2500株あったら、売却額5万から行使額3万を引いて株数掛けて(50000 - 30000) * 2500 = 売却額5000万の20%税金で4000万手元に残るはずが、給与所得だと行使時の3万と発行1万の差額と発行価額を引いたものにも税金(給与所得税)がかかるようです。当然売却時の譲渡税もかかるので、行使価格3万から発行価格1万と発行価額(記事で500円と出てた)19500*2500の55%(45%が国で10%が地方自治体)で2681万2500円が追徴課税される、と…。
ちょっとこの辺知識が曖昧なんですが、信託型は発行価格は受託者が払うっぽいですね。信託の受託者のようです。ストックオプション自体は有償だけど、その行使権が受益者(役員・従業員等)に与えられる感じですかね。
しかし、4000万手元にあったのが、1320万弱になるまで税金で持っていかれるとか地獄の大増税ですね。まぁ、信託型がグレーだったんでしょうが、上場する前に明確にしろよ、国税庁=日本の足を引っ張る財務省。金がない、と帳簿を少なく見せようとして、収入も小さく見せて増税、とかなんか財務官僚って経済やくざみたいですね。先日の国民民主玉木代表の質問でも4.4%GDP伸びて5~10兆税収増えるはずなのに還付金を理由に1700億とか言い出したりね。どんだけどこにステルス還付してんだよ、という。
そして信託金とか、顧問料もらってたコンサルとかどうしてるんですかね。実際の被害を受けたのは非適格で既に上場した信託型SOを発行していた会社で、影響は上場前の信託型SOの発行を予定した会社にも広がっています。
同時に今回は後述セーフハーバーが明確になったので、これから上場が本格化するスタートアップには利益を最大化できるチャンスとも言えます。
どうするITスタートアップ
かなり多くのスタートアップで現在進めているのは税制適格ストックオプションへの変更でしょう。なぜ給与所得扱いで所得税も取られたかというと、信託型SOの多くは税制非適格有償ストックオプションとみなされたからです。税制適格要件を満たしていなかったということですね。まぁ、税制適格は使い勝手が悪いしコストかさむのでとかで信託型だったので、そりゃ満たしてないことがほとんどでしょう。税制適格の場合、譲渡税だけで済みます。ただ、行使価格の基準が時価以上と難しく、使い勝手とかだけでなく信託型が税制的にも利益を最大化できる、ということで流行っていたと理解しています。
今回、信託型が税制非適格の扱いとなった一方で行使価格の設定の指標も示されたようです。それが行使価格が純資産以上であれば適格となる、ということです。つまり、資産から負債を引いたものを株数で割るという話ですが、厳密には優先株分は控除して良いという話なので、更に小さいスコープを株数で割るので行使価格はかなり引き下げが可能です。
というか、最初の引用記事だと、資金調達の際の優先株分が純資産をはみ出す場合、行使価格がマイナスになるので是正して下限の1円になるっぽいですが、これってすごいですね。無から金が産まれている感じ。出回るお金が増えるのは経済的には需要増になるのでプラスですがちょっとした錬金術感があります。
これをセーフハーバールールと言いますが、要は予め基準が示されて、それを守っている限りは違法にならないというルールです。これだけ守ってればOKという基準ですね。
スタートアップは基本的に調達の資金を食いつぶしながら成長して上場の前年度に黒字化する感じなので、それまでは資金が減ってていきます。借り入れや調達のタイミングも考慮し、純資産が最小になった時点での行使がベストなので、このタイミングで付与し行使価格が決まると利益が最大化できるということです。極端な話1円を目指すのが基本となるでしょう。税制適格なら税金は通常の株式譲渡の20%強のみです。
利益はどうなる?
行使価格3万だったもの(税制適格無償ストックオプションは当然発行価格0円)が1円になると、まず、前述信託型SOと同条件だと利益としては、3万の株を手に入れたことになるので、5万で売ると差額2万で2500株あると5000万になります。税金が1000万引かれて4000万残ります。
ただし、課税が売却時まで免除される行使総額の税制優遇は1200万まで(2024年から上がるとか)なので、年に400株しか換金できないですね。セーフハーバーでの1円での税制適格無償SO2500株だと行使価格合計2500円なので全部税制優遇で、49999*2500円=1億2499万7500円が利益で譲渡税20%を引くと9999万8000円≒1億が残ります。
結果として、今後数年後に上場予定の会社が行使価格を1円にできたら最強でしょう。信託やっちまったこの数年の上場企業と既に発行済の企業が地雷踏んで、むしろ数年後上場だとセーフハーバーからの船出で悠々自適ですね。
ただし、SOは付与から行使まで2年待たないといけない(2~10年の8年間で行使する)という条件があるので、我慢できない系のグレーゾーンで手っ取り早く稼ぎたいような人には向かないですね。まぁ、そもそもそういう人は積み上げていく理系職種向いていませんが。
あとがき
今回はみんな大好きお金の話でした。
Amazon欲しいものリストを作りました。
サポートチャリーンは何に使われたかわからず、あまり気持ち良いものじゃないかも知れないので、こちらも設けました。基本的にここの月額に消えるくらいのサポートではありましたが(あと数か月分は頂いています、感謝です)。
基本的にお金をもらうなら払う人の意思を次につなげたいので、欲しいものリスト、ギフト頂いた場合、こちらで関連テーマを取り上げたいと思います。その本を持ってる前提での解説記事とかだと、面白そうだけど理解できるかわからない、みたいな本をギフトに頂けると、一緒に読み進めて学ぶきっかけになるかな、と。できればそんな感じで進めたい。
こちらも執筆テーマになるので、良い循環になるかな、と思います。ギフトくれたのに書かない、とか書く書く詐欺なら晒してもらって構わないです(匿名だけど)。複数頂いたら、基本リストにして優先順位して書くと思います。筆不精がそれで尻叩かれるかもですね。
では、良いクリスマスを!
年末年始までにはもう一本位書きたい…。
ちょっと法的なあれのテーマでネタ少なめなので軽快な文章のも書きたいですね。
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