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仙腸関節の基本的なあれこれ

こんばんわ。


今日は敬老の日でしたね。僕は昔からおばあちゃんっ子なんですが、このようなご時世なので直接は会えないので、電話をして短い時間ではありましたが話しをしました。
電話口でしたが祖母の元気そうな声が聞けてよかったです。

さて今回は仙腸関節について書いていきます。

仙腸関節と言えば、一昔前?くらいには「動くor動かない」などの議論があったりブラックBOXのようなイメージがありませんか?

仙腸関節は腰痛や歩行時の不安定性の原因となりやすい関節です。

・長後仙腸靭帯?
・ニューテーション??
・カウンターニューテーション???

となる方には特に読んでほしい内容となっています。


仙腸関節について

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仙腸関節は仙骨と腸骨からなる滑膜関節(関節軟骨面は硝子軟骨、腸骨側は線維軟骨)で、「安定性」を維持するために構成されている関節となっています。

主な特徴として

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・広さや形状の異なる2つの関節面(個人差が大きい)
・厚さが異なる関節軟骨
であり、これらの構造的特徴から骨性の支持を得ています。

特に関節面の形状が異なるため、臨床で仙腸関節の他動運動の評価をする際に、解剖学的な不確実性を考慮する必要があります。

さらに、仙腸関節は靭帯が密に付着しているのでその分関節にズレが生じた際に靭帯組織に大きなストレスが生じてしまいます。

それに加えて侵害受容器が多く占めており(28個が侵害受容器、1個が固有感覚受容器)、PSISや関節面に痛みを感じやすくなります。

その他機能的な役割として
・体幹重量と床半力が交差する位置にある
・体幹から下肢への伝達機能を有する
で、この伝達の破綻により腰痛および殿部痛の原因の1つとなります。


仙腸関節のバイオメカニクス

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仙腸関節のバイオメカニクスについてです。

下図は寛骨に対する仙骨の動きを説明したもので

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                       図:筋骨格系のキネシオロジー

それぞれの特徴は以下のようになっています。

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上記の特徴から、スランプ姿勢↓といわれる「だらんと丸くなった姿勢」はカウンターニューテーションになりやすくなります。

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そうなると、仙腸関節の後方に身体重心が位置し、仙骨が重力の影響でカウンターニューテーションとなり、腰痛の原因となります。

さらに尾骨に直接的な圧縮がかかることから尾骨の痛みにもつながってきます。


ちなみに・・・この姿勢ってデスクワーカーの方に多くないですか?

パソコンを打ちながら自分もこのような姿勢になることもあるため常に意識しないといけないですね。自戒も込めて・・・・。


つぎに、ニューテーション・カウンターニューテーションの制限因子についてです


【ニューテーション】

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・骨間靭帯
・仙棘靭帯
仙結節靭帯

仙結節靭帯はハムストリングス、大殿筋、梨状筋、大腿二頭筋と連結をもつ靭帯です。そのため、SLRが固い人はニューテーションも制限されやすくなります。


【カウンターニューテーション】

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長後仙腸靭帯

長後仙腸靭帯は、仙腸関節後方の安定化機構として重要な役割があり、この部位の疼痛は仙腸関節の機能障害を指摘します。また多裂筋と連結をもつのも特徴です。

ちなみに体育座りで痛くなるのはこの部分になります。


仙腸関節の触診

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最後に仙腸関節周囲の触診について書いていきます。

この辺りはしっかり練習して確実に触れるようにしていきましょう。

<ASIS(上前腸骨棘)・PSIS(下後腸骨棘)>

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左右の高さを見る場合は特に突起の下(矢印の方向)から触ることをおすすめします。

<ILA(下外側角)>

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お尻の割れ目から2横指外側にあります。

<恥骨・坐骨結節>

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とくに恥骨は強く触れると痛いため優しく触れるようにしましょう。
また触る方向も矢印の方向から触るようにしましょう。


ちなみに
<ASISとPSIS>は寛骨の位置関係
<ILA>は仙骨の位置関係
をみるのに必要になってきます。


まとめ

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今回は仙腸関節の基本的な内容について書いていきました。

・仙腸関節は可動性よりも安定性を有する。
・侵害受容器が多く占めておりPSIS関節面に痛みを感じやすい。
・体幹から下肢への伝達機能を有する。
・(伝達機能の破綻により)腰痛および殿部痛の原因となりやすい。

複雑なイメージのある仙腸関節ですが、触診含めて1つ1つ整理していきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

Diane Lee at al(2013);骨盤帯 原著第4版ー臨床の専門的技能とリサーチの統合,医歯薬出版株式会社

KAPANDJI(1986);カパンディ関節の生理学III 体幹・脊柱,医歯薬出版株式会社

荒木秀明(2014);非特異的腰痛の運動療法 症状にあわせた実践的アプローチ,医学書院

町田志樹(2018);PTOTビジュアルテキスト専門基礎解剖学 第1版,羊土社

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