「もやもや」が、あることをきっかけに晴れて行った話(前編)
マネーフォワード取締役 グループ執行役員、ビジネスカンパニー COOの竹田です。
突然ですが、実はこの1年ずっと「もやもや」した悩みを抱えていました。それは「もやもや」という柔らかそうな言葉とは裏腹になかなかに手強く、時にはダークサイドに行ってしまいかねないほどのものでした。
ところがそんな「もやもや」が、あることをきっかけに晴れて行ったのです。いったいどうしてそうなったのか。
(ちなみに今回のnoteはわたしのお悩み大公開みたいになってしまっていますので、先んじてご了承ください)
1年ほど前のわたし
昨年の春頃、私は長いこと騙し騙し付き合ってきた「もやもや」に対して、いよいよ見過ごせない気持ちでいっぱいになっていました。その「もやもや」というのはざっくり以下のようなものです。
日々、仕事に追われているようでツラい
人前で話した内容が特に誰にも刺さらなくてツラい
自分が真にやるべきことがよく分からなくなってきてツラい
新卒の悩みみたいで、すいません。でも、恥ずかしいのですが事実な上にこれが手強かったのです、とても。
恥ずかしいついでに、それぞれがどんな症状だったのかも詳しく書いてしまいます。
1.日々、仕事に追われているようでツラい
これは、仕事をしている人はもちろん、責任が重くなれば、みんな似たような状況だと思います。ただ私の場合、問題は「仕事に追われて1日が終わる不健全な忙しさ」でした。
1日の終わりに達成感や充実感がない。むしろ「今日、なんか意味のあることやったのかな・・」と思ってしまうダメな感じ。さらには、そんな風に自分で思ってしまったせいで、仕事のパフォーマンスも落ちていってしまったりします。
普段なら特に悩むこともなく対応できていたことがなぜかうまくできない。判断、進め方、コミュニケーション・・あらゆることにキレがない。
なんとかしようと、例えば「予定を棚卸して定例のミーティングや1on1を断捨離しよう!」とか思うわけですが、そもそもその作業の時間がスケジュールに入らない。なんとか試みるも、大して削れなかった上に、ナゾに新たなタスクを積んでしまったりして、なかなか解決には至りません。
2.人前で話した内容が特に誰にも刺さらなくてツラい
大変ありがたいことに、社外のセミナーや勉強会、カンファレンスなどで登壇の機会をいただくことがあります。
そんな機会では、他の登壇者の方とお話しすることはもちろん、準備をすることで気づきが得られたり、振り返りになるので、勉強の機会としてもとてもありがたいです。
しかしながら、事後アンケートの結果がツラいのです。というのも、ほぼ大半が「評価:よかった」か 「評価:普通」。つまり、5点満点で言うと3ばかりなのです。
さらには、フリーコメントも問題です。私の発言した内容について書かれていることがまったくない。つまり、誰に対しても可もなく不可もない話しかしていないということです。意味ないですね。
3.自分が真にやるべきことがよく分からなくなってきてツラい
もうここまでくると「大丈夫ですか?」と自分でも思いますが(笑)、一番の問題はこれです。
周囲には優秀な方がとてもたくさんいます。優秀という定義はさまざまだと思うのですが、私が一番思うのは、学び続ける姿勢を高く持ち、どんどん進化している人がたくさんいるということです。
加えて、この1年で当社の従業員は500名以上純増しました。
以前ではご一緒できなかった高いレベルのスキルや能力をお持ちの方や、これから我々が経験するであろう未来をすでに通り抜けてこられた経験豊富な方も仲間に加わってくださっています。この環境は本当にありがたいことですし嬉しいことです。
ただ一方で、みなさんが思い切り力を発揮してご活躍いただけるよう、ミッションをお渡ししたり、ご支援することはとても難しいわけです。私自身ができないことや、自分では思いつかないこと・やり方をたくさん知っていらっしゃる方々なわけですから。
そういう中で、自分がその方々の進化や成長、事業の発展のキャップになってしまうのではないかという危機感と、そうならないようにどうしたら良いだろうかという、にぶい痛みを伴う重さがどんどん大きくなっていく日々でした。
(「もやもや」を抱えていたちょうど1年前頃の投稿です(笑))
きっかけはある日の会話
「そろそろ限界かな」「いや、まだだろ」そんな葛藤の中のある日、仕事での話の流れから
とメンバーから言われたのです。
「コーチング」?
今思うと失礼でしかないのですが、私はコーチングというのを、どこか宗教とか占いのようなものに捉えてしまっていて、自分には縁遠いものだと思っていました。
ただ、「うまく行かない時は自分の固定概念を外すことが大事」と誰かが言っていたことを思い出して、食わず嫌いはせず、コーチングを具体的に検討してみることにしました。
最初に聞かれる「コーチングを受ける目的は?」
早速、コーチングを提供されている会社の方からお話を聞いてお願いすることにしました。コーチから最初に聞かれる問いはコーチングを受ける目的です。私はこのように伝えました。
問いを立てる力を磨きたい
具体を抽象化する力を付けたい
自分自身の特性(強みや弱み)を知りたい
先ほどの悩みを自分なりに整理し、解決につながりそうなテーマに変換をして、最初のセッションに臨んだのです。
1.「日々、仕事に追われているようでツラい」の変換
この点に関しては、先ほど書いたとおりで、量をコントロールするのは限界があるのだと思いました。
その上でよくよく自分の心情を振り返ってみると、ツラさを増幅させているのは、単に量に追われているからではなく、一つ一つの1on1やミーティングにおける自分のパフォーマンスが低いと感じているからだと思いました。
例えば、こんな経験をしたことはないでしょうか。ある人が口を開いて投げ込んだ一言が、それまで停滞していた議論の質を一気に引き上げて、とても活発で生産的な場に変えたシーンを。
私は多分そういうことができるようになりたいのに全然できず、会議においてバリューが出せていないと感じていることが根本にあるのではないかと思いました。
なので、この課題をクリアするために必要なのは、時間の質を上げること、すなわち「問いを立てる力を磨く」ことだと思ったわけです。
2.「人前で話した内容が特に誰にも刺さらなくてツラい」の変換
外部のセッションに行くと、いわゆる名物登壇者として名前をあちこちで見かける方が何人もいらっしゃいます。
そういう方たちのお話は、たとえ専門が異なっていてもおもしろく、持ち帰って自分でもやってみようと思うお話に溢れています。思わずマネをして、翌日には他の人に、まるで自分の言葉かのように話したくなるキャッチーな言葉選びのセンスにも溢れていらっしゃいます。
そしてそういう方達は共通して、どんな話をしてくれそうな人なのか、わかりやすい「売り」を明確に持っていると思いました。その人独自の希少な「売り」があって、それがきちんとマーケティングされている。
私のこの悩みは、そういう自分の「売り」が曖昧であることに起因していると思ったわけです。この力をつけるには、本質的には学習を重ねて、実績を積み上げ、自分自身のキャリアを形成してゆく他はないのですが、同時に、皆が共感して持ち帰れる話ができるようになるスキル、すなわちマーケティングの力も必要なのではないかと思いました。
そこで、「具体を抽象化する力を付ける」必要が自分にはあるのではないかと考えたわけです。
3.「自分が真にやるべきことがよく分からなくなってきてツラい」の変換
最後のポイントはそのままに、自分に自信が持てなくなっているのだと思いました。
以前だったら私自身がやっていたことや、私が発言して実行されていたことを、他の人がやっている現状。なんなら、私よりも上手にできる人がたくさんいるようになりましたし、私の頭からは出てこない指摘や示唆を与えられる人もいます。
私は何をすべきなんだろう。私は必要ないのではないか。悔しいような、嫉妬のような感情も少し入り混じって、もしかするといじけてしまった感じになっている私は、なんとかそこから脱したいと思っていました。
そのために「自分自身の特性(強みや弱み)」をもっと知りたいと思ったわけです。
そうして、初めてのコーチングに臨んだわけなのですが、その結果は──
(後編につづく)
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