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発達障害と反応性愛着障害の見分け方


反応性愛着障害と発達障害というのは、似た特徴があります。多動さ対人関係、不器用さなど様々な面で類似している事があります。
しかし、根本原因は違います。
発達障害は脳の機能障害になります。
反応性愛着障害は養育環境に原因があります。

当然、アプローチ手段も違ってきますので、発達障害へのアプローチをしたとしても期待した効果が得られにくいです。

従って、正しい実態把握が必要です。
多動という行動だけに着目して、ADHDから来るものだと判断してしまっては誤った対処をしてしまいます。
行動の背景にある実態を的確に把握する事が大切です。
そのためにも、反応性愛着障害と発達障害の特徴の違うポイントを押さえておく必要があります。

◯反応性愛着障害とは?

乳幼児期より虐待を受けてきたことやネグレクトに起因します。多動や目があいにくい、攻撃的な言動、表情が乏しいなど様々な特徴が見られます。自閉スペクトラム症やADHDと似た特徴を見せることから混同されやすい面もあります。

しかし、よく観察したりこちらからのアプローチに対する反応を見ると違いが見られます。

また、ADHDへの対処をしたところで効果は得られにくいです。

反応性愛着障害について

WHOの診断ガイドライン「ICD-10」に記載されている「小児期の反応性愛着障害」は、素直に大人に甘えたり、頼ったりできないことが基本的特徴です。0歳児の頃から親に無視されたり、虐待されたりするなど、著しく不適切な養育環境におかれた子どもにみられます。言葉の遅れや、低栄養による身体的な成長の遅れがみられる場合もあります。 この障害のある子どもは相手を過度に警戒しており、大人に近づくときに視線をそらしていたり、抱っこされている間もとんでもない方向をじっと見ていたりします。なだめたり、はげましたりしても効果がありません。自分や他人への攻撃性がみられ、みじめさを感じています。
アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル「DSM-5」においては「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」として解説されています。選択的アタッチメント(養育者との愛着関係)を作る能力はあるのに、産まれてから早い段階で無視されたり、虐待されたりしたため、苦痛を感じたときにも抱っこされたり、はげましてもらったりしようとしません。陽性の感情(楽しい、嬉しいなど)を表すことが少なく、陰性の感情(恐怖、悲しみ、いらだちなど)をよく示します。
なお、この障害は愛着関係を作ることができる発達段階以前の子どもには診断されません。 少なくとも生後9ヵ月の発達年齢に達していることが診断要件の一つです。

https://www.e-heartclinic.com/kokoro-info/special/motion_7.html


〇発達障害と反応性愛着障害の違いは?

  • 解離が見られる

    例えば、普段の学校生活では多動で問題行動が多いにも関わらず、参観日などは別人のような姿を示す場合があります。
    このように慎重に観察することで、場面によって別の人格になることがあります。

    虐待を受けている場合に、参観日は親が来るわけなので、身を守るためにも大人しく取り組むことができるのだと考えます。

    逆に発達障害の方は一貫しています。
    人格の解離は見られにくいです。

  • 対人関係の特徴
    ADHDの方の対人関係の特徴は単純で率直です。
    ASDの方の場合は人への無関心なことが多いと思わまれます。
    反応性愛着障害の場合は逆説的で複雑なのです。

    DSM-5(APA.2013)によると『大人の養育者に対する抑制された情動的に引きこもった行動の一貫した様式で、持続的な対人交流と情動の障害』が特徴とされる。

    他者を信頼するのが難しく親密な関係が結びにくいです。
    また、情動の不安定さから対人関係を築くのに難しい面もあります。
    その他にも、共感する力や攻撃的な行動をとってしまったり、マナーやルールを守ることが難しいなどあらゆる面で対人関係を結ぶための障壁が出てきます。
    一般的に突然怒り出したり、マナーを守らなかったり、暴言を吐いてくるような人と仲良くなることは想像しにくいと思います。

  • 褒めることによる効果の違い
    ADHDの子供に対しては褒めることはとても有効です。事前にルールを明確に伝えてできた時にはしっかりと褒めることで子供の脳には報酬物質であるドーパミンが放出されます。

    しかし、反応性愛着障害の子供達には通常の子供の何十倍も褒めないと効果が表れないのです。
    また、ルールで規制することは反抗的な態度に繋がりやすいです。

◯どんな対処がある?

反応性愛着障害の場合は、行動を正したりルールを設定することで、より反抗的な態度や言動に繋がります。

ストレスに対する調整能力が損なわれているのです。
なので、本来は抑制できるものも脳のシステム上、コントロールが効かない状態です。
なので、本人の理性に改善を求めても結果が出にくいと思います。

まずは、その子供や生徒が抱えているしんどさを理解してあげることです。ストレスに対する脳の調整機能の改善を図る必要があります。

改善を図るためには愛着アプローチが必要です。

具体的な方法については下記の本が詳しく書かれています。


安心安全な身体感覚を体験し直すことによって改善が見られやすい。
動作法を活用して安心安全な身体感覚を体験し直すこと取り組みについての論文がありました。


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