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脳の構造と愛着形成:家を使ったわかりやすい例え

脳単体で機能や名称、位置関係などを網羅するのは大変です。タイトルにあるようにおおまかな構造や流れを掴むために家に例えるのはとてもわかりやすかったのでご紹介します。この例えに出会ったのはダニエル・J・シーゲルさんとティナ・ペイン・ブライソンさんが書いた『愛着の子育て〜生き抜く力をはぐくむ〜』という本です。

まず、1階に脳幹や大脳辺縁系などがあります。ここは人間の身体機能や本能的な感情や衝動に関係するところです。自分の意思ではコントロールが効かないところです。2階は前頭前野などがあり、理性や共感性といった人間が人間たらしめている部位です。2階の部分が正しく機能しないと本能のままに動くことなりますので、考えられないような犯罪が起きる一つの要因になるかもしれません。また、生まれたての子供は1階にある機能から徐々に育まれていきます。また、成長する過程の中で2階の機能が時間をかけて育まれていくのです。1階から2階への階段がスムーズに通れることで共感性や抑制、社会性、実行機能など人として豊かな人生を歩んでいく上でとても大切な機能が発揮されやすくなります。この階段部分がスムーズに通れるようになるためにも親からの愛着形成は重要なのです。

この本で書かれている回避型の愛着でいうと、赤ちゃんの頃に親が無関心な対応をしたために赤ちゃんは自分の本能に向き合わない(回避)ことを誤学習してしまいます。赤ちゃんの脳はまだ2階部分が建設中のため、お腹が空いたなどの本能(1階)で感じたことをうまく表現できません。なので、泣くことにより表現します。無関心な親だと泣いていてとすぐに対応をしなかったり、その背景がすぐにわからずにお腹が空いている赤ちゃんにすぐにミルクを上げられないということがおきます。そのような要求に答えてもらえなかった経験を積み重ねると本能的な欲求に向き合ったり要求をすることを回避してしまいます。

その結果として送り迎えの時に具体的な行動として表れます。安定型愛着スタイルの赤ちゃんが保育園に預けられて母親と離れる時は嫌がり泣きます。しばらくすると泣くのをやめて落ち着きます。そして、母親が迎えにくると喜んで母親のもとにいきます。
回避型の場合は母親と離れる時に泣くこともなければ、迎えに来てくれた時にも喜ぶ様子もないそうです。1歳半ごろまでに築かれた愛着のスタイルは大人になっても変わらないデータが出ているようです。

建設中の2階に続く階段は愛着の報酬が通ります。なので、回避型の場合は報酬の回路である階段を遮断してしまうのです。このように考えると私はとても脳の機能と回避型愛着スタイルについてイメージがしやすかったです。ぜひ、参考にしてください。

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