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『逆境に克つ力』 宮口幸治 神島裕子 〜第三章 親ガチャを乗り越えるための哲学〜

みなさんこんにちは!
子どもの笑顔を増やしたい高校通級を担当している高校教員のmasaです!

仕事や日常での学びをより深めるためにnoteにアウトプットしています!


◯親に縛らないために

親は親なりに子どものことを考えています。、(中略)余裕がなかったり、自分がされてきたことを子どもにしてしまうといった連鎖が原因であったりする


本にある通り、親は親なりに子供のことを考えています。私も子育てをする立場として自分に余裕がない時には感情的になることがあります。親は悪意から子供を苦しめているのではないのです。親は変えられないのです。そこを嘆いても変わらないことを受け入れなければならないのです。

どうしていくことが幸福に繋がるのか?

自分の『好き』を見つけて、それを追い求めてほしいと思います。それが親ガチャを乗り越えるということです。

親ガチャを受け入れてどう乗り越えるのか?という視点で生きていくことが重要だということです。
好きなものに取り組める時間があることは、幸せな時間でもあり、主体的な取り組みの中から学べることもあります。

私も担当している子どもたちを見ていると好きなことに没頭できているときの子供たちはイキイキとしています。なかなか話さない子も好きなことの話題になると表情が変わります。

好きなことが見つかったとしても、場合によっては親への恨みは変わらないこともあるでしょう。
そんな恨みにより余裕がないときの対処方法として『ネガティブ・ケイパビリティ』が良いとのことです。こちらは第四章で触れることになると思います。

◯ロングスパンで捉えること

好きなことや目標が今、この瞬間に手に入らなくても先々手に入ることは可能性としてあります。特に子供のうちは親の影響力が強いので、子供の思い通りにいくことの方が少ないと思います。本の中ではYouTuberが例に上がっています。子供がYouTuberになりたいと言っても機材の問題などで、すぐにはなれないかもしれません。

しかし、自立して仕事に就いてからは自分の思い一つで実現する確率は高まります。
そういったロングスパンで人生を捉えることができれば今すぐにできないからと諦める必要はありません。
ただ、子供のうちは人生経験も少なくイメージする力も発展途上なのでロングスパンで捉えることは難しいかもしれませんねり

◯嫉妬心から自由になる

本ではニーチェや福沢諭吉の本から引用して、悪い嫉妬心の不毛さが書かれています。

ニーチェはルサンチマンからまったく自由な『超人』を理想としていました。超人は、自分の生を肯定しているため、他者を卑下することによって自分の自尊心を満たす必要がありません。

ルサンチマンは『強者に対する弱者の憎悪や復讐衝動などの感情が内功的に屈折している状態』

周囲の不変的な要因に左右されることなく自分の人生を肯定して生きることの重要性を考えさせられます。親ガチャに限らずですが、『他人と過去は変えられない。変えられるのは自分と未来だけだ』という言葉が好きで、何か理不尽がある時はこの言葉を思い返して、自分のできることに目を向けるようにしています。不変の環境要因を嘆くより、アプローチできるものに目を向けることが大切なのです。

丸山によれば福澤の言う『怨望』は、言論の自由や行動の自由が制限されている社会の中でまた、自分の自由が利かないために、成功したり秀でていたりする他人を羨み恨むことを意味します。

何か問題行動があれば、制限をかけたり、事前に問題行動が起きないように制限をかけることがあります。そういった制限が結果的に他者に対する悪い嫉妬心に繋がるのだと考えさせられました。好きなことに取り組める自由の確保や支援はその子供が嫉妬心から自由になれるサポートに繋がると感じました。

ネット社会においてスマートフォンはこの制限の対象となるのではないでしょうか?学校現場においてもいじめや生徒指導案件はSNS絡みがほとんどです。そういった問題があれば、大人たちはスマートフォンを使わせるから…という結論に至ります。

大人もスマートフォンが手放せなくなっている現代において使わせないというのは現実的でなく、いかに正しい使い方を覚えるのか?という視点で考えた方が良いと考えています。全く知識なく使い方もわからず大人になって解放されて使い出すわけです。車で言えば、運転免許も持たない、練習もしていないのにいきなり車を与えて公道を走らせるとどうなりますか?すぐに事故につながりますよね?それどころか他者を傷つけかねないです。
使用制限をかけず自由の中でモラルやマナー、他者を傷つけないためには?そんな子供たちの視点を育むことが重要です。

◯好きを見つけるために

好きなことや目標などがない子供も少なくないように感じます。実のところは好きなものはあるが、それに気付けていないことがあると考えます。そのために、好きなものを書き出して改めて好きなものに気づくための時間を確保することが有効だと書かれています。

私も支援者として、子供の『好き』を認知させて背中を押してあげる支援も大切だと感じています。

余裕のない子供たちはそういった自分自身のことにも気づきにくい状況であることを理解して得手不得手の理解をサポートしていきたいところです。

◯自分の『好き』のために他者を傷つけるのはNG

人は自分の目的をかなえることに夢中になり過ぎると、他者をそのための手段・道具として扱うことに躊躇しなくなりがちです。ですが、他者を自分の目的をかなえるためのモノとしてのみ扱うことは、倫理的にはアウトです。なぜなら、人は誰しも自尊感情があり、他者が土足で踏み込んではならないスペースを必要としているからです。

他者への尊重が重要であり、winwinの関係性の中で自己実現をかなえていくことが倫理的に大切です。社会の中に自分という存在があること他者の存在があり、他者にも自分と同様に自己実現をかなえる権利があることを伝えていかなければならないと思います。

仮に他者の自己実現を傷つけてしまうようなことがあれば、結果的に自分にも返ってくることになります。そういった原則を伝えることも大切です。

発達障害のある子供たちは他者の心情を想像して配慮することは苦手な領域かもしれません。
だからといって、学ばないと傷つくのは本人です。私も通級の中で子供達とのやりとりをする上で、どのようにフィードバックするのが本人たちの学びに効果的かを考えています。
子供達の言動が他者はどのように受け取ったのか?その事実を他者の一人である私が率直に伝えてあげることが他者の心情に気づくことの一歩につながると感じています。

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