「最後の物たちの国で/ポール・オースター著柴田元幸訳」(白水uブックス)

僕は遅読で、最近はあまり本は読めていませんが、一番好きな小説は、上記の小説です。オースターのポールも好きだし、柴田の元幸も好きな訳者です。

 僕の友人に、大阪は泉佐野に住むアーティスト、石川宗明君がいます。大学卒業直後に、まだ名古屋に住んでいる時に知り合いました。ある時に、家に遊びに行きました。勿論、「My fair prisoners!?」で撮影させてもらうためでした。 

 そこで、色々と話を聴かせてもらい、最後に「あなたの名前がなかったら、ご自分の事を言葉でなんと説明してくれますか?」と聴き、石川宗明君ではなく、石川君が自分でその時に作った名前で撮影しました。その名前は、「人となろうとしている人」でした。 

 撮影後、二人で近くの温泉に行きました。色々と話し合った中に、気学風水の話もありました。それを用いたものを利用して、まだ38歳だった石川君は家を建てた。芸術家が若くして家を持てるのは本当にわずか。でも立派な一軒家を建てた。その話の中の、気学風水をやっていた事も理由だと。(ちなみに気学風水創始者は田口真堂君です。僕も気学風水で世話になりました。)

 ある時、石川君に「何か面白い小説教えて」と頼まれたので、紹介したのが、タイトルの「最後の物たちの国で/オースターのポール著柴田の元幸訳」(白水uブックス)でした。 読んだ後、石川君から電話がありました。

(石川君)「ねえ、山下君、この小説を読んで思った事がある」

(僕)「何でしょう?」

(石川君)「これは、まさに阪神淡路大震災の時の、メディアに出なかった話が出ていると思ったよ」

こんなやりとりがありました。実は、昔のメディアは、情報を出す側の節度があり、出さない情報もあった。だから、阪神淡路大震災の時も、節度のお蔭で、知らされなかった事が多々あったんです。それが、「最後の物たちの国で」には出ている。

 今はと言えば、誰もが携帯を持ち、誰もが節度がある訳ではないので、無駄な情報が世間を賑わしている事もある。これを、情報を出す側の人々、メディアには気をつけて欲しいと心から願います。




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