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【読書メーターまとめ】2023年1月に読んだ本

 早くも2023年も1カ月過ぎた。
先月に引き続き、読書メーターで記録している「2023年1月に読んだ本」の紹介をしたい。

1月の読書メーター
読んだ本の数:9冊
読んだページ数:2684ページ

■コード・ブレーカー 上 生命科学革命と人類の未来

読了日:01月02日 著者:ウォルター・アイザックソン

「科学は往々にして、飛躍的な大発見によってではなく、小さな前進の積み重ねによって進歩する。」クリスパーと呼ばれるゲノム編集技術の発明過程をみると、ダウドナを主軸としつつ、一人の天才によるものではなく、様々な専門分野の研究者の協業や過去の巨人の肩に乗った研究によって生み出されたと認識。一方で、それを商用化するプロセスは、基礎研究とはまったく異質なもの。前半は、生物や化学の知識が不足しておりなかなかに難しかったが、後半の、フェン・チャン陣営との特許をめぐる争いは手に汗握りながら読み進めた。下巻も楽しみである。

■コード・ブレーカー 下 生命科学革命と人類の未来

読了日:01月06日 著者:ウォルター・アイザックソン

著者は、Covid19流行前に取材を開始、当然ダウドナのノーベル賞受賞前、絶妙なタイミングである。ゲノム編集技術クリスパー・キャス9により「人類は、自らの遺伝子構造を編集する能力を身につけた初めての種」になった。そのことが生み出した倫理的な問い。そんな中でのCovid19の流行。我々はmRNAワクチンの恩恵で社会活動を取り戻しつつある。ゲノム編集技術を得た人類はどこに行くのか?どう活用するのか?今答えはでないが、重要な問いである。そして「純粋な好奇心」を出発点にした基礎科学の重要性も本書の重要なテーマだ。

■最強の思考法で試練や試験に打ち勝つ クリティカルシンキング トレーニング77

読了日:01月07日 著者:日沖健

著者は、「地頭が良い」「天才」と言われる人は、たいていの場合、過去によく似た状況を経験したことを記憶しており、その時の思考パターンを新しい状況に当てはめている「エセ天才」であると言い、本書を通じて、思考パターンの幅を拡げ、「エセ天才」になる近道を提示するという。本書の特徴は一問一答形式で、77問の「問題」と「解説」を通じてクリティカルシンキング力を高めるというものである。内容は、「資料解釈」「文章理解」「判断数理」など、採用試験や昇格試験などでよく出題される内容であり、実践的な内容となっている。

■101のデータで読む日本の未来 (PHP新書)

読了日:01月09日 著者:宮本 弘曉

多くのデータで、世界経済を取り巻く3つのメガトレンド(人口構造の変化、グリーン化、テクノロジーの進化)を概観し、それが7つの分野(経済成長、財政、医療・健康、農業・食料、教育、エネルギー、地方・住宅問題)にどう影響するか見ていく。そして日本再生の鍵を「硬直的な労働市場」の変革とする。労働市場の硬直性が、財政政策を効きにくくし、ジェンダー平等の実現を妨げ、成長分野に人材が向けられず、経済成長できなくする。また「自己開発優遇税制」などの政策提言も行う。副作用も多いが、事実を直視し覚悟を持って変革できるかだ。

■みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」

読了日:01月14日 著者:日経コンピュータ,山端 宏実,岡部 一詩,中田 敦,大和田 尚孝,谷島 宣之

合併直後(2002年)と震災直後(2011年)の2度のシステムトラブルを経て「サグラダファミリア」と呼ばれたMINORIプロジェクトを「3度目の正直」として描く。本書は、2020年発刊で2021年時のシステムトラブルで退任することになる坂井社長が、MONORIプロジェクトの完遂者として描かれる。皮肉なものである。トラブルの要因として挙げる旧行意識、経営陣の意識の低さ、目的と手段の取り違え等は、他分野でも見られることだ。また経営陣の不甲斐なさに対するトラブル発生時の現場の奮闘もあるある。続編を図書館で予約。

■NHK「100分de名著」ブックス ニーチェ ツァラトゥストラ

読了日:01月15日 著者:西 研

いつか挑戦したいツァラトゥストラの前哨戦として手に取る。心に刺さった言葉。「固定的な真理や価値はいらない。君自身が価値を創造していかなくちゃいけない。」「ルサンチマン(無力感から生まれる復讐心)は、自分が人生の主人公であることを失わせるのが良くない。」「君が探している真理なんてどこにもないんだよ。真理を欲しがっている君がいるだけさ。君は真理を探すんじゃなくて、何が君に心からの悦びを与えてくれるか、と問わなくちゃいけない」。「これ”で”いい、ではなくこれ”が”いい。」自分のワクワクを大切にしたいものである。

■地球の未来のため僕が決断したこと

読了日:01月18日 著者:ビル・ゲイツ,Bill Gates

ビル・ゲイツの一人称での語りで気候変動問題が頭に入ってくる。静かな語り口ながらも熱い主張は伝わってきた。先進国や富裕層が、温室効果ガスを排出し、結果起こった気候変動で最も被害を受けるのが貧困層という皮肉な構図。ざっくり数字で捉えるという所もこの問題を考える上で役に立つ。温室効果ガス排出量510億トン/年や、ものをつくる31%電気を使う27%ものを育てる19%移動する16%冷房暖房7%など。また農業における品種改良の威力なども初めて知った。2030年までの削減と2050年ゼロの達成は違うというのは目から鱗。

■ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)

読了日:01月22日 著者:楠木 建

今まで読まなかったことを反省。べらぼうに面白かった。戦略は、シンセンス(総合)、一貫性であり、戦略の構成要素のつながりと他者との違いが重要と説く。ベストプラクティスではなく、個々の構成要素を取り入れても逆効果で、一見非合理なキラーパス(クリティカル・コア)があることがミソであるとも。20%のみが理屈であるからこそ、理屈で詰められるものは詰めるというのが面白かった。持続的に利益を上げることこそ、戦略の目的という考え方も納得。実行部隊もストーリーであるからこそ戦略に納得感持てるという話もなるほどと関心。

■魔法の世紀

読了日:01月29日 著者:落合陽一

著者初の単著。著者が研究者としてアーチストとして何を目指すのか。どうありたいかを知れる良書。「映像の世紀」から「魔法の世紀」へ。コンピュータがディスプレイの内側だけでなく、その外側に「染み出し」つつあり、平面の中で起こっていた出来事が、現実の世界へ踏み出している様子を描く。大抵のことをコンピュータがやる中、人がコンピュータに与えるべきは、モチベーションやビジョンそして行動へと舵を切るきっかけとしての「楽しむ心」と言う。著者のこの考えはぶれない。人間は、人間のインターフェイスとして残っていくというのも納得。

最後に:1か月の読書を振り返って

  新年は、コードブレーカーで始まった。タイムリーな内容でありかつ生命科学の発展について知ることのできる良い機会であった。
 その他、今まで読みたくて手の付けられていなかった、ビルゲイツの気候変動本やストーリーとしての競争戦略など良い読書ができた。
 落合陽一氏は、魔法の世紀に遡ってみて、彼の考え方の原点を知れた。ツァラトゥストラの入門本も読んだので、いよいよ本編に進めたい。

 先月も分野色々である。振り返る機会を持つのは大切だなあと改めて思う。

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