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判定は白黒2択、その前の「判断」は13択ある

この記事でわかること

・判定を下す前に「判断」がある
・判定は白か黒か2つに1つだけど「判断」は13もある
・客観的事実を主観的にどう捉えるかによって「判断」に差が出てくる
・その人のサッカー観や審判観、ルールの理解度の差が「判断」に影響を与える
・人には認知の歪みやバイアスがあり、それが「判断」に影響を与える

こんにちは。いえぽんです。

前回の "ジャッジリプレイ" の番組内で僕が使った「判断ボード」が意外と好評だったので、もう少し丁寧にお話しようと思います。よかったら過去記事もあるので、そちらも時間があれば読んでみてくださいね。その①その②その③

判定プロセス

審判は試合中に次のようなプロセスを経て判定し、問題解決に取り組んでいます。

① 事象の発生
② 事象を確認
③ 競技規則と照らし合わせてそれが反則に値するのか判断
④ 競技規則と照らし合わせてそれが懲戒罰(警告や退場)に値するのか判断
⑤ 試合の状況や競技の精神を踏まえて反則として笛を吹く、あるいはカードを出すことが望ましいか判断
⑥ 最終的な意思決定(判定)
⑦ 実行
⑧ 対応

前提条件

"妥当な判定(*1)" を下すための前提条件として大切なことが、次の5つです。
(*1 : 正しいではなく妥当としているのは、人によって正しさの基準や定義が異なるため、ここでは妥当としています)

1.事象の把握・・・自分は起きた事実をどれくらい正確に把握できているのか
2.状況の把握・・・試合は今どういう状況で、選手たちの心理状態はどうなっているのか
3.規則の理解・・・自分は競技規則をどれくらい正確に理解しているのか
4.精神の理解・・・自分は競技の精神をどれくらい深く理解しているのか
5.自分の理解・・・自分は落ち着いているのか、不安や恐れや怒りを抱いていないか、おきた事象をどの位置で、どの距離で、どの角度でみていたのか

この前提条件を審判自身が正しく認識せずに、直感的あるいは反射的な判断で意思決定してしまうと、たいてい "妥当な判定" を導き出すことは難しくなります。

この点はしっかりとおさえておきたいところです。

判断するときの考慮事項

審判は判定を下す前に、3つの判断プロセス(判定プロセスの③④⑤)を踏んでから意思決定することは先に触れました。

反則かどうかを見極めるための "考慮ポイント" は、次のようなものです。

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