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【読書感想文】《ヒエログリフを解け》

図書館で予約していたのがようやく。

Twitter、いやもう今はX?のこのアカウント↓や、このアカウントのフォロワーさんのアカウントから面白そうな書籍がよく紹介される。

それで興味を持ち、買うのはアレなので図書館に予約を入れた。

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『ロゼッタストーンの解読』がシャンポリオンに依ってなされた、というのは国語の教科書で知ったようなそうでないような。

もちろん高校時代には世界史選択だったのでそこでも覚えさせられた。

ただ、その背景やら何やらには詳しくなかったので、とても楽しく読むことができた。

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ロゼッタストーンがナポレオンによってヨーロッパに運ばれた、までは知ってても、ナポレオンおよび当時のフランス軍の動きやそれに対する欧州諸国の動き、特に(今でも)フランスに対抗意識の強いイギリスの海軍の動きが著者の分かりやすい文章で説明されて「ほ〜〜、そうだったのか!」な私。

表面をサラッと流しただけの浅い知識しか持ち合わせていなかったので、当時すでにエジプトでもアラブ語しか使われていなかったこと、エジプト語の後継的な古代コプト語すら危うくなっていたこと、ローマ時代にはもうギリシャ語などが主流に使われていたこと、など断片的な知識はあったものの時系列で系統化されて、エジプト語のヒエログリフの解読がいかに困難であったかを改めて確認した。

古代ギリシャ世界ですでに《エジプト》という国・文化・文物への憧憬が確立されていたということ。
そしてその流れを汲むルネサンス以降の欧州における《エジプト礼賛》の意識がロゼッタストーンという一大発見によって欧州中の考古学者や言語学者をはじめとする知識層の興味と好奇心を爆発させたこと。

イギリスの博学者ヤングと、フランスのエジプトオタクのシャンポリオンの二人を中心に繰り広げられた解読合戦。

ヒエログリフの挿画(?)と相まって手に汗握る二人の動きが鮮明に描かれている。

また、著者によって挟まれる『言語とは』『文字とは』『死滅した言語の文字が残ったことによる後世の反応とは』の考察が面白く、理解のアシストになっている。

著者が過去に新聞記者であった事から【分かりやすい文章】【伝わる文章】で記されていたと推測され、またその原文がこなれた日本語に翻訳されているので、それも『ただちょっとだけ歴史好き』レベルの私にもしっかり伝わってくる理由だと思う。

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当時のエジプトの人たちからいかに遺物をもぎ取ってきたのか。
砂に埋もれた遺跡をいかに掘り返して現在目にする事ができる状態になされたか。(スフィンクスですら18世紀半ばには半分くらい埋もれていたそうだ)

大英博物館やルーブル美術館に収蔵されている文物が、当時の研究者や裕福な好事家の情熱によって発掘調査された様子もリアル《インディ・ジョーンズの冒険》だ。

私のような『ちょっとだけ歴史好き』なそこのあなた、ぜひご一読を。

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ではまた。

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