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私をずっと側で支えてくれていたのはコーヒーだったのかもしれない

コーヒーは、カフェイン量が多いような気がして、ある程度大人になってからの解禁だった。

父も母もコーヒーが好きで、休日は10時と15時頃にコーヒータイムがあった。

間食の時間ということで、私も便乗していた。

父が率先してコーヒーを淹れてくれていた。
透明なサーバーに少し澄んだコーヒーが溜まっていくを眺める。
家族で雑談しながらコーヒーをいただく。
今思えば、なかなか幸せで、優雅な時間だった。


* * *


社会人になってから、コーヒーを飲む頻度も、目的も、がらっと変わってしまった。

私は朝が弱い。
激忙な時期は、誰よりも朝早く出社して、一番遅くに帰るなんて事態にもなっていて、まぁこれは私の仕事の仕方が良くなかったのもあるのだけれど、とにかく睡眠時間も足りていなかった。

職場に着いて荷物を整えたら、自販機に直行。
眠気覚ましが必要だった。
からっぽの胃にブラックコーヒーを平気で流し込みながら、ゆっくりと仕事を開始する。

夕方や夜にも平気で飲んでいた。
朝のコーヒーの効果が切れ、集中できなくなってくるのもあるのだが。

一番の理由は、リラックスしたかったのだと思う。

仕事の期限と品質のプレッシャー。
相性が良くない上司とのやりとり。
それでも仕事を進めることが最優先。
感情を殺して成し遂げねばならない。
もう嫌だと心の奥底で暴れだす本音を、コーヒーでなだめていた。

コーヒーの香りと暖かさは、固まった心をほぐしてくれた。

カフェインの効果で少しでも仕事に集中できますように。
飲んだら、よし、頑張るかと、気持ちをリセットできる。

私はコーヒーに縋っていた。
もしかしたら少し依存していたのかもしれない。

あまりにも私がよくコーヒーを飲むので、
「コーヒーが好きなんでしょう?」と友人に尋ねられたのだけれど、
なぜか内心、肯定できなかった。


* * *


ストレスに潰される前に、私は転職した。

転職後のお仕事は、ノルマと緊張感はあるけれど、私に適した程よさだった。

上司は驚くくらいたくさん褒めてくれて、同じ部署のメンバーも私を受け入れてくれて、良好な関係を築けている。

感情を殺して仕事をする必要がなくなった。
目の前のお客様に心を尽くす。
これがなにより私が大切にしたいことで、この会社はそれをさせてくれる環境だ。

シフト制で残業がないので、しっかりと睡眠時間が取れている。

でもやっぱり私は朝が弱いみたいで。

業務中にコーヒーに縋ることはなくなったのだけれど、
出社後のコーヒータイムだけは今も残っている。

始業より1時間ほど早く出社して、
晴れた日には、日当たりと見晴らしの良い場所を確保して、
コンビニで買った、100円のカップコーヒーと、サンドイッチを、
少しぼんやりしながら、のんびりいただく。

コーヒータイムが、優雅な時間に戻ってきた。


* * *


ここまで書いた今思えば、
大人になってコーヒーを飲み始めてから、
リラックスしたいとき、辛いとき、頑張りたいとき、何も言わず側にいて支えてくれていた存在、それがコーヒーだったのかもしれません。

コーヒーには感謝しないといけません。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
素敵なコーヒー時間を!

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