見出し画像

いつまでも居座る経営者

去り際の美しい経営者がいる。
しかし、一方で「いつまででも居座る経営者」もいる。
今回は、この辺りについて書き綴っていく。


役職に居座る人

役職に執着があるという人は、必ず一定数居る。
当然、経営者の中にも居る。

役職に応じた働きをしていれば問題はない。
そう思えるが、一つ、問題がある。
後世が育たない。

権限と責任と経験。
この3つが揃わないと、経営は上手く行かない。

最近では、代表取締役を若い世代に渡すタイミングが早まっているように思える。
しかし、実際には「代表取締役 会長」という中途半端な役職が増えているだけだと思う。

「代表取締役 社長」と「代表取締役 会長」が共存する会社はどうなるのか?
大抵の場合は、社内で揉め事が増える。

理由は想像に容易い。
「社長」と「会長」で言うことが違う。
2つの指示系統がそれぞれ逆の判断をする。
こんなパターンが多い。

私は「会長」は「取締役」で良いと思う。
そして、「取締役 会長」は、「代表取締役 社長」を超えて、勝手に指示をしてはいけない。
相談役に徹するべきだ。

役員報酬に居座る人

引退しても会社に席を置き続ける人がいる。
そして、その中には、いつまででも役員報酬を貰い続ける人がいる。

資本を受け継ぐ過程や配当として役員報酬を受け取っている人もいるだろう。
しかし、現実には「後出しの退職金」か「後出しの企業年金」として役員報酬を受け取っているパターンが多い。

年金受給額に影響がない少額の役員報酬なら良いかもしれない。
しかし、しっかりと役員報酬を貰う人も少なくない。

私は、このような特別な役員報酬は、どこかで切らなければいけないと思う。
過去の貢献度をリスペクトするのは重要だが、永遠と支出を続けるのは違う。
「会社のため」に、必要以上の支出は避けるべきだ。

後世に依存する人

私は、これが社会問題にならないのが不思議だ。

個人事業主は、厚生年金がない。
退職金も自分で意図的に用意しなければいけない。
これが、かなり難しい。

業種にもよるが、私の感覚だと「所得800万」あたりが個人事業主から法人へ切り替えるタイミングだと感じている。
逆に言えば、それ以上になれば、例え一人で事業活動をしていても、法人へ切り替えることが多い。

個人事業主としての「所得800万」で、自分自身に退職金まで用意することは難しい。
(会社員や法人役員の所得とは少し感覚が違う)
そして、年金受給額は、国民年金のものとなる。
現役中にしっかりと貯蓄をしなければ、老後の生活を豊かに暮らすことは難しい。

――― これが現実だ。

思ったように貯蓄ができなかった経営者はどうなるか?
言い辛いことだが「子供に頼る」ことが多い。
子供に後を継いでもらう。
そして、「年金では足らない生活費」を子供から給与として貰う。
(土地や設備の賃料として貰うことも多い)

子供が経営者として優秀なら成り立つかもしれない。
ただ、それも含めて「後世への依存」だ。

美しく去るために必要なこと

法人の経営者であれば、ある程度の利益を出し、納税を続けていれば選択肢は増える。
逆に、会社に資産を残し過ぎると相続税が危ない。
ただ、これはまだ嬉しい属性の悩みだ。

個人事業主の場合は複雑だ。
法人と違い、個人資産と事業資産の境目がない。
年間を通して稼いだ金額が全て個人の所得となり、会社の資産という概念がない。

個人の所得は、個人の意思で使えてしまう。
使い切ってしまう人も多い。
その時に必要な金額を稼いでいれば、良しとしてしまう。
どうしても、未来のための資金を後回しにしてしまう。

経営者が仕事場から美しく去るためには、思った以上に稼がないと難しい。
未来のことをグダグダと考え過ぎても意味はないが、「とにかく今は、しっかり稼ぐ」という前提条件は持っておいた方が良いと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?