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キレイな会社の畳み方

新しい会社を立ち上げるのは簡単だが、畳むのは難しい。
法的な手続きの話ではない。
簡単に畳めない諸事情があるからだ。
今回は、会社の畳み方について書き綴っていく。


キレイに畳む難しさ

まず、会社には、そこで働く人がいる。
その会社がなくなったら、給料はない。
中には、再就職が難しい人もいるかもしれない。
だからと言って、再就職先を経営者が代わりに見つけることも難しい。

次に、その会社の仕事を期待している人がいる。
消耗品ではなく、継続的にサポートが必要な商品もあるかもしれない。
中には、その会社の仕事抜きでは成り立たない取引先もいるかもしれない。

さらに、会社を畳むときには、資産の清算をしなければいけない。
負の資産がある場合、清算は難しい。
現金がマイナスになることはありえない。
マイナス分を誰かが背負わなければいけない。

こういった諸事情により、キレイに会社を畳むのは難しい。
会社の規模が大きくなればなるほど難しくなると思う。

不義理な解散

世の中には、突然、会社を解散する人もいる。
予告が無い、もしくは予告から解散までの猶予が殆ど無い。
こういった場合、非情に困る。
会社にはそれぞれ事情があるため、解散となるのは致し方ないが、突然の解散はあまりにも不義理だ。

ある意味、突然の倒産なら納得するしかない。
しかし、突然と意図的に会社を解散させるというのは、一種の恨みを買う可能性すらある。

例えば、最近はクラウド型のサービスが多い。
そのクラウド型のサービスの裏を支えているのは、サーバと呼ばれるもの。

A社は、クラウド型サービスを提供する会社
B社は、A社へサーバを提供する会社
そのB社が突然、解散したらどうなるか?

A社は途方に暮れる。
クラウド型サービスは停止。
売上がゼロになる。
倒産すら危ぶまれる事態だ。
(これはこれでリスク管理が甘いが)

A社のサービス利用者も途方に暮れる。
サーバに残ったデータが失われるからだ。

不義理な解散は、多くの人を苦しめることになる。

キレイに着地をするために

まず、会社の経営状態を良くしておかなければならない。
負の資産が多い状態では、キレイに清算して畳むことはできないからだ。

経営状態が良ければ、M&Aで会社を吸収してもらう。
上手く行けば、これが一番キレイに収まる。
社員も取引先も何も変わらない。
これが理想だ。
(上手く行かないケースも多いが)

しかし、現実問題として、都合良く会社の買い手が見つかるかは分からない。
買収前後の条件が合わないこともある。
その場合は、経営者が自ら会社を整理していく必要がある。

最初に、告知時期と解散時期を決める必要がある。
そして、告知から解散までは、十分な期間を設ける。
この期間が短いと、社員は次の就職先を見つけられない。
取引先も次の取引先や商品を見つけられない。

もしかしたら、他社商品への移行にサポートが必要となる取引先もいるかもしれない。
こういった問題に可能な限り対応していくのが義理というものだ。

最初で最後の大プロジェクト

おそらく、会社を畳むというのは「最初で最後の大プロジェクト」になると思う。

長い時間を掛けて、義理を果たす。
その上で、最後に会社を畳む。
残った資産の整理、現金の消化、法手続きなど、淡々とこなしていくことになる。

規模、業種などによって異なるが、私の場合、数年は掛かる。
もしかしたら、10年掛かるかもしれない。

会社を立ち上げるのは、簡単だ。
数週間で立ち上がる。
しかし、会社の畳むのは難しく、長い時間が掛かる。

――― 私も、最後は時は覚悟を決めようと思う

もちろん、今のところ、その予定はない。


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