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社長インタビュー〜独立・ぬれやき煎®︎の開発〜

ぬれやき煎®️」「半熟カレーせん™️」「焼生せんべい久助」 など、注目を浴びているお煎餅の製造元である『有限会社まるせん米菓』。「老舗が多い米菓業界で、最も若い会社です。」と、町田社長は言う。『まるせん米菓』、そして直販ブランドである『煎餅屋仙七』の誕生と今後の展望を聞いた。


修行時代に出会った「ぬれせんべい」はヒット商品となったが「でん粉の老化」という大きな問題があった。
美味しい「ぬれせんべい」を作るための挑戦が始まる。

「ぬれせんべい」の商品化はどのように始まったのですか。

 自分の工場を立ち上げる為に準備を進めていると、以前から世話になっている機械屋のおやじさんから電話がありました。今度、九州福岡の大手米菓メーカーに行くので一緒に行こう、という話でした。私も勉強のためにと思い、付いて行く事に決めました。
 さすがに年商110憶を超える大手メーカー、想像以上のものでした。社長室に通され、社長とお会いして色々と話をうかがいました。そして最後に社長が私にこう言ったのです。

「いつからこっちに来てくれる?」

なんと…?

 何を言っているのか訳がわからず、横を見ると、おやじさんは下を向いていました。そうです。自分はおやじさんにはめられたのです。

 私は社長に自分の会社を起こすために今準備を進めていて、福岡で働くことは無理である事を話しました。社長も困った様子で「それじゃ、何か1つ商品を提案して指導してほしい。金はいくらかかっても構わないから」と。
もちろん即答はできず時間をいただき茨城にもどってきました。

 しばらく考えた末、この仕事を引き受けることにしました。
 なぜならば、自分で工場を始めた時に製造しようと思っている商品が未完成だったからです。この商品をこの九州の地で仕上げてみようと思ったからです。
 社長に会い、そして新商品として提案したのは「ぬれせんべい」でした。九州では「ぬれせんべい」を知っている人も少なく、まったく新しい商品としてこの地で受け入れられるかどうか不安もありましたが、社長のOKも頂き、そしてぬれせんべいプロジェクトはスタートしたのでした。

一足先に九州で、湿気ない「ぬれせんべい」の製造が始まったわけですね

 しかし、工場で働くスタッフは、初めて目にする「ぬれせんべい」に否定的でした。昔から九州や関西地方では、関東の堅焼きせんべいや「ぬれせんべい」のような、しょっぱい商品は売れないというのが通説でしたので、この商品は駄目だろうと冷ややかでした。

 茨城で試作した物を、福岡の工場で試す。そして一つ一つ図面上にラインを作り上げていったのです。最終ラインまで組み上げるのにテストを繰り返し、8か月を要してしまいました。一連のラインを図面に落とし、機械メーカーと打ち合わせ、製造機械の製作がスタートしました。

 すべての機械が出来上がり、そのラインで試作できるようになった時、すでに一年が経過していました。その頃には自分の工場用地も決まり、工場の建設もスタートし、茨城と九州を行ったり来たり。おかげでマイルが随分たまりました(笑)

 日本で初めての「ぬれせんべい」専用製造ラインで実際にテストが始まり、出来上がった商品は私の想像以上のものでした。ただひとつ、味付けがうまくいかず、何度もタレを作り直し、今までのただしょっぱいだけのぬれせんではなく、九州、関西地区でも受け入れられる味作りを。これに予想以上の時間を取られてしまいました。

 満足した味に仕上げた時、スタートから1年6か月が過ぎていました。こうして九州地区で初めて「ぬれせんべい」が発売されていったのです。2月1日が発売日だったと思います。キャンペーン月間としてこのメーカーの全国にある直営店190店舗で販売したところ、瞬く間にその売り上げは拡大していき、1年足らずでヒット商品として会社の売上を大きく引き上げる一品となってしまいました。

 「売れない」と言われていた地域でも、私の「ぬれせんべい」は好評でした。私はこの時思いました。この商品なら関東でも必ず売れると。おかげで自社工場での製造に自信をもつことが出来ました。また、今まで経験したことのない一般流通以外の直売店での販売についても学ぶことができたことはとても大きかったですね。

いよいよまるせん米菓がスタートするわけですね!

 九州から遅れること1年、まるせん米菓も動き出しました。
関東と九州を行き来していた1年間に真壁の工場も完成しましたので、ぬれせんべいを「ぬれやき煎®️」と商品登録して、念願のせんべいの製造・販売業を平成14年8月にスタートしました。
 屋号は初代が最初に持った煎餅店の屋号を社名にしました。

2002年設立の第一工場

オンリーワン米菓メーカーへ」に続く


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