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ユダヤ人の成功哲学タルムート金言集        石角完爾著

選んだ理由
ユダヤの学びをなかなか本でインプットしたいと思うタイミングがなかったので少し時間と気持ちに余裕のある今、読もうと思った。
若い頃に習っていた習い事に、ある有名な経済学者さんの奥さんが来ていた。少し親しくさせていただいていたが、彼女はユダヤ人。超お金持ち。
今なら、色々な話も出来ただろうが、当時は私も若すぎて…逆にユダヤ人の考えや世界の歴史などに少し偏見を持っていたのを思い出した。
なので、いい大人になった今、謙虚にユダヤの考えや歴史などに偏見や決めつけを持たず、ニュートラルにとらえていきたいと思う。

①タルムートについて
ユダヤ人とは、常に別の角度や立場から物事を見ている。ユダヤ人とは、ビジネスに関しても、世の中の発想とは常に逆の発想で取り組むという。
ユダヤ式お金儲けの鉄則として、世の中が好況で踊っている時には、手を広げる事をせず慎重に行動する。世界的な大不況等は、早めに察し撤退する。
ユダヤ人には、想定外という言葉はなく、どんなことも人生に起こりうることと受け止めるので、いざという時に慌てない。
歴史から紐解くと、二十世紀に起こったユダヤ人迫害ホロコースト。六百万人のユダヤ人が虐殺された悲劇の歴史の中で、困難を切り抜け生き延びてきたのは、ヘブライ書とタルムートという知恵の安全率があったからとある。
説話集であるタルムートは、人生で起こり得る様々なトラブルでの対処法を少しずつ、子供のころから学べるようになっている。ユダヤ人がリスクコントロールが出来るのも、タルムートの説話から学び身につけた知恵の宝庫からのたわものだと著者は言う。

②タルムートの知恵をビジネスにいかすことについて
ユダヤ人は、常に明日芽が出るかもしれない種を蒔き続けている。どれが実を結ぶかは分からないが、種はまかなければ実らない。ビジネスの種とは、企画であり、アイディアであり、立案である。日本企業は、これが苦手である。なので、製造業をしているのである。物つくり日本と言えば聞こえが良いが、物しか作れないということなのだと著者は言う。
日本人が着目しなくてはならないのは、お金を生み出すプラットホームつくりである。人が動かざる得ない仕組み作りを考えだすことにユダヤ人はたけている。ユダヤ人は、商売の根源のルールや物資、道具やノウハウを抑える。そして独自の仕組みを作り人には教えない。これがプラットフォーム作りである。独自のノウハウをブラックボックス化し教えない。
お金を稼ぐことは必要だ。しかし、その努力が成果に結びつかなければただの消耗である。ただやみくもに働くだけでなく、人の心理や行動を観察してどうしたらその効果が上がるか考えると良いと著者は言う。何でも疑問を持ち考え続けることがビジネスの成功のための大原則である。

③お金を見せびらかすと身を亡ぼすことについて
ユダヤ人は、利益に浮かれない。財産を見せびらかすと身を亡ぼす。金の冠を持って空を飛ぶ雀にはならないように常に冷静である。
ユダヤ教にとって、お金がないこと、貧しいことは単に不幸なことである。
しかし、お金の魔性についてもしっかり分かっていて、追求しすぎると適正さや正直さを失うと言っている。
タルムートの教えに、古い果物の上に新しいものを重ねて籠に入れて売ってはいけないとある。日本でいう、正直者は馬鹿を見るというのは違うようだ。著者は、日本の格言は権力者に都合の良い書き方をされていると感じ愕然としたと言っているが、タルムートの格言と比較すれば傾向性が異なるような気もする。

気付き
以前、ユダヤの知恵を学んだことがあったが、この本を読んでみて、よいお金持ちになりたければ、ユダヤの知恵を、偏見を持たずに学んでいく必要性があると思いました。偏見をもつ日本人は、ユダヤ人はお金に汚い…とか言ったりしているが、その根拠は?というと、もしかして、働かざる者食うべからずとか、お金は労働の対価でなくてはいけないというところからきたのではないかと思います。幸せなお金持ちになりたければユダヤから学ぶしかないと、私は改めて感じました。この著書を手に取ってよかったと思います。

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