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シェア業界5位から3位のブランドへ Web広告で認知を上げる

Web広告でマスの認知を上げるという、全くもって暴論な事に、1年半挑戦しました。

結果は、"マスは失敗""購買予備層に対してはおそらく成功"でした。

日本で業界規模2位のメインジャンル商品の成熟した市場において、1年半でシェアを4%以上あげ、販売数シェア順位を単月5位から単月2位まで上げることに貢献できました。さらに平均商品単価は売り上げ上位10社の中で、最も上げることができました。年間広告費はここ数年で増えてはいません。広告費の内訳は オフライン:オンライン = 1:9 です。売り上げ比率はオフライン:オンライン = 6:4です。

もちろんデジタルマーケティングの力だけではなく、セールスチームの商品配下率を上げる取り組みなども功を奏したお陰です。

シェアを上げる為の大まかな要因分解

自社のシェア = 自社商品の購入数 ÷ 市場全体のその商品ジャンルの購入数

自社商品の購入数 = 市場全体のその商品ジャンルの購入数 × 自社商品が選ばれる確率

自社商品が選ばれる確率 = (認知率) × (配荷率) × (過去購入率) × (エボークト・セット率)  *森岡さんの「確率思考の戦略論」を参照 *値段が高額な商品特性から(年間購入確率)を除く

これらの要因を高めるには「Preference(好意度)」「Awareness(認知)」「Distribution(配荷)」を向上させることが重要。

配下率アップだけではシェアを上げられない証明 (オフライン)

自社商品が選ばれる確率 = (認知率) × (配荷率) × (過去購入率) × (エボークト・セット率)

自社商品が選ばれる確率 = 20%(認知率) × A%(配荷率) × 20%(過去購入率) × 20%(エボークト・セット率)
*市場調査を元に大まかな数字を置いています。

ここで仮にAのみが10%アップした場合、自社商品が選ばれる確率は、0.08%アップする。配下率 = (商品が置かれている面積) ÷ (市場全体のその商品群が置かれている面積) なので、例え配下率を10%上げるということは、市場全体の面積をさらに10%食う必要があり、1店舗内での話にすると、10個中1個自社商品がディスプレイされていた場合、10個中2個まで自社商品をディスプレイしてもらう必要がある。日本全国でこの行動をしてもらう必要があるので、営業職を増やしたとしても1,2年の短期間では難しいと想像できる。

上の結果から、営業職を増やし、根気強く営業してもらい、店舗のレイアウトを工夫したとしても、1年半でシェアを(配下率)のみで4%以上上げるのは現実的に不可能に近い。これがオフラインのみでの話で、オンラインには配下率はあまり影響しないことを考えるとオンライン上でのマーケティング活動の重要度の比重が高いことが分かる。

「Preference(好意度)」「Awareness(認知)」を同時に上げていくことが重要だった。


デジマでやったこと

大きく分けると2点で、
潜在顧客を広げること と ブランドの強みを活かした活動

ターゲット顧客を広げること について
クリエイティブを「使いやすさ」「抜け感」のあるものに & クリエイティブフォーマットの種類を4倍以上に増やした。Reach目的の広告設定で、ほぼブロード配信。
以下、上記の結論に至る過程。
商品・ブランドの購入理由や優位性、ターゲット像を把握することで、今後のブランディングや製品のプロモーションを検討する際の示唆を得る目的で、顧客調査を実施した。対象は、自社ブランドの商品を購入したことがある人、購入検討したが購入しなかった人に設定。結果、自社ブランドは「オンラインで手軽に購入でき、コスパが良い」イメージがあることがわかった。業界内でも男性比率が高く、比較的上の世代からの購入が目立っていた。他メーカーでは購入重視点の上位に「使いやすさ」が入っているが、自社ブランド製品の購入者の購入重視点上位に入っていない事から、「使いやすさ」と日本市場の主要ブランドと比較して劣っている「安心感」を意識したコミュニケーションが鍵と認識した。つまり、自社の顧客は、日本市場で最も大きいパイをうまく捉えていなかった、最大のパイを食えていなかった。
次に、定性調査を実施。
・「使いやすさ」とはどういっこと
・メインのパイにいる顧客はどのように商品購入に至るのか
・Preferenceはどのように向上できるか
・最大のパイの顧客層にとってはどのような訴求がワークするか
の上記の点を仮説を元に、オンラインで顧客にインタビュー。

得られた考察を元に、クリエイティブの方向性を決めた。広告、LP、商品カタログ、キャンペーンバナーなど全てのオンライン上のアウトプットを同じ方向性にした。

また、今までクリエイティブは商品KV(商品のメインビジュアル)のみで広告、LPを運用していたので、動画、カルーセル、動画カルーセル、動画+バナー、テキストなどを拡充した。また、配信先も全SNSを網羅するようにした。最近の調査では、動画にだけ反応するSNSユーザー、カルーセルに注目しやすいユーザーなど分かれることが分かっているので、広告の運用上impが得られやすい利点も考え、さまざまなクリエイティブフォーマットを準備した。


日本でのシェア拡大を大きな目標とした組織で、主に新製品発売の際にマーケティング活動をするのだが、顧客に最初に接する広告バナーはカタログから転用し、それを広告として回すのみであった。入社当初は、マーケティング投資収益率や、顧客生涯価値(CLTV)をはじめとする、財務系指標の目標数値を設定しておらず、社全体としてマーケティング活動の成否が判断できず、長らく課題となっていた。ただ、一般消費財と異なり、顧客は店舗やネット上での長い購入検討タームの末、購入するので計測は非常に難しかった。とはいえ、ここを切り捨てるわけにはいかないので、マーケティング投資配分の最適化はそもそも難しいものだと理解した上で、顧客理解を元にコミュニケーションの方向性と売り上げを左右しKPIとすべき数字を模索した。

◆課題の発見

 製品・ブランドごとの購入理由や優位性、ターゲット像を把握することで、今後のブランディングや製品のプロモーションを検討する際の示唆を得る目的で、自社で初めて顧客調査を実施した。対象は、ASUSブランドのPCもしくはスマートフォンを購入したことがある人に設定。結果、ASUSブランドは「オンラインで手軽に購入でき、コスパが良い」イメージがあることがわかった。業界内でも男性比率が高く、比較的上の世代からの購入が目立っていた。他メーカーでは購入重視点の上位に「使いやすさ」が入っているが、ASUSブランド製品の購入者の購入重視点上位に入っていない事から、「使いやすさ」と日本市場の主要PCブランドと比較して劣っている「安心感」を意識したコミュニケーションが鍵と認識した。この考察より、シェア拡大のため新しい顧客群獲得、新製品発売の広告は使いやすさ、リラックス感、カジュアルさを意識した広告クリエイティブを制作する。また、「オンラインで手軽に購入でき、コスパが良い」というブランドイメージは、同価格帯での他メーカー製品とのスペック比較にてコスパが良いというASUSブランドの強みの表れであり、顧客に自らweb上で検索して、比較させると購入に繋がりやすいので、LPへの製品指名系KWの検索流入数をKPIとし検証を重ねた。

◆結果

新しい顧客獲得にクリエイティブを合わせながら、ブランドの強みを生かして、販売台数の実績を重ねた。広告配信媒体、広告の目的設定、ターゲティング、クリエイティブの内容などの検証を重ね、クリエイティブの種類の充実と、主要SNSでのリーチ数に特化した広告配信、SNSでの話題(主にTwitterトレンド)が重なることで製品指名系KWでの検索数を最大化することができるようになった。2021年6月には、ノートパソコン市場でのシェアは前年同月比2%伸び、2021年8月のAndroidスマートフォンの新製品発売では、発売1ヶ月間で前モデルと比較して3倍の売り上げ台数を記録した。



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