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小さい頃に出会った本・・・祖父江 大吉

 小学校三年生の頃、元木先生という女性の教師がクラスの担任になった。元木先生は当時五十歳くらいで、かなりベテランの先生だった。給食を残す生徒にすごく厳しくて、食べ物の好き嫌いが激しかった当時の僕にとって、元木先生の存在はとても怖かった。それでも僕が元木先生のことをいつまでも忘れないでいるのは、彼女は授業が早めに終わったりすると、残りの時間で本の読み聞かせをしてくれたからだ。
 元木先生の本の読み聞かせはとても上手で、いつも厳しい先生からは想像もつかないほど情感のこもった語り口調に、クラスの誰もがその話に引き込まれ、夢中になった。授業が早く終わりそうになると、元木先生、今日は読み聞かせしてくれるかな?!僕たちは腰を浮かせてソワソワしたのを覚えている。
 元木先生の読み聞かせが面白かったのは、読み方が上手だったことの他にもう一つ理由がある。それは元木先生の選書センスだ。 彼女が選んでくる本は、どの本もバツグンに面白かった。その中でも特に覚えている、死ぬまで忘れないであろう一冊の本がある。

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