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【開催報告】現代短歌の歌人とめぐる万葉集の花と歌

2024年4月21日に、かりん所属の歌人で島根県短歌連盟理事長の寺井淳先生を講師に、島根県立万葉公園をめぐる短歌講座を開催しました。

会場やすらぎの家でガイダンスの後、万葉公園所長から見頃の万葉植物の解説がありました。

花水木
万葉公園の万葉植物を紹介する所長(花水木)

公園内の各所に設置された万葉集の歌が書かれた「歌板」を巡り、寺井先生から和歌の解釈や現代短歌を詠む上でも共通する技法などの解説を受けました。

道の辺の尾花が下の思ひ草今更々に何をかは思はむ
公園内の歌板を解説

道の辺の
尾花が下の
思ひ草
今更々に
何をかは思はむ

この歌については「上の句が、事実を詠んでいる。そして下の句てば"思ひ草"という言葉から引き出された自分の心情が詠まれている。現代短歌にも共通する。」と万葉集の歌がどのような構成で詠まれているのか、現代短歌とも比較して解説がありました。

みつまた(さきくさ)の歌

春されば
まづさきくさの
幸くあらば
後にも逢はむ
な恋ひそ我妹

万葉公園には、数多くの万葉植物が植栽されており歌板は歌に詠まれた万葉植物の側に立つものも多くあります。「三枝(さきくさ)」といわれたミツマタの歌の歌板はミツマタと隣合って立っています。

我がやどに生ふる土針心ゆも思はぬ人の衣に摺らゆな
めはじき(土針)の歌

我がやどに
生ふる土針
心ゆも
思はぬ人の
衣に摺らゆな

この歌の歌意は「土針は染料にも使われる。心から思ってもいない人の衣を染めるな、つまり、浮気な人になびくなよ、と親が子を心配している歌。」とのこと。

万葉集の時代から変わらぬ恋や家族の愛情といった人を思う心を呟いているような歌板と歌に詠まれた植物に囲まれながら、時を超えて古の人々と共感する貴重な体験となりました。

お抹茶
お抹茶
寺井さん
参加者の歌への講評

後半は、会場のやすらぎの家でお抹茶とお菓子をいただいて、作歌にチャレンジ。
参加者の皆さん一首~三首詠まれ、すべての歌に寺井先生から講評をいただきました。

万葉公園には、万葉集の和歌を紹介する歌板が160基以上あり、数々の万葉植物とともに万葉集の世界を再現しています。
皆さまのご来場をお待ちしています。
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