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焼肉なるものを中野で食し、人混みに辟易としたり腐ったズボンを履いたり


「なるもの」とは、果たしてどういう言語表現であったか。
次いで「言語表現」と用いたことはふさわしいだろうか。
言語表現でなく、言い回しでなく、ディクション、レトリック。ディクション…?
ディクションでは断じてない。だいたいディクションという単語を初めて目にし利用したが、という心の内はわざわざ言うに及ばない。
言うに及ばない は読者を置いてけぼりにしていて、理由を丁寧に書き綴るのなら、ディクションとは “朗読、演劇、声楽などにおける言葉の発音法を指す” らしく、日本国民の半数が知り得ないだろうと推測したからである。

「なるもの」を検索エンジンにかけるのは辞めておいたほうがいいかもしれない。


文章を書きながら、一口かじれば渡仏してしまうようなサクサクほろほろ贅沢バタークッキーをつまんでいる。
つまんでいるとは、欧米よりか日本の食物と併用する方が適しているのではないか。
酒の肴やら煎餅を口に入れるイメージがちらつきはしないか。調理中や食事前のものを味見する風景を彷彿とさせるのではないか。
であるからして、ぱくついている。だれかの食べかけのクッキーをぱくついている。

パッケージには「ロングセラー」と記載されている。ロングセラーとは、どれほどの長さを持ってロングセラーと表現して良いのだろうか。
ウェブをブラウズしてみる。“長期間にわたって売れ続ける商品” という情報が出てきた。
曖昧だなと思いながら検索し続けると、「ベストセラー」という単語も散見する。
ロングセラーについて、信用性が高くかつ打って付けであるような情報と出会う前に、目移りの沼へ誘うとは。焦燥感を掻き立て正しい判断をさせはしまいと、そういうやり口か?
ごめんけど、その手には乗ってやらない。早まっては満足のゆく結果にはなり得ないのだよ、急いては事を仕損じる。
つまり、ロングセラーとベストセラーは切っても切れない水魚の交わりと言い切ってしまうのは無責任甚だしいとあればコメントを差し控えたい。


このように、人はともすれば話が逸れる傾向にある。
そんなことはないという非難も受け入れるから、どっちつかずな態度が気に入らないと嫌われる。八方美人が水泡に帰するような経験はだれにでも、少しくらいはあるだろう。
漫然とした様は、悠然さや鷹揚さとは似て非なる。毅然とした有り様こそが、ディスカッションの要であると、大学時代のゼミナールの一環であるディベート活動で心得た。さて生かしどころを見つける前に、話の本題を見失なわないことが先決問題であるように反省をしている。


焼肉なるものは、およそ半年ぶりの味わいであった。味覚だけでなく、脳だか心だかが享楽していた。
肉っていいね。
人は食べなきゃ生きていけないのだから、食糧に直接的に関わる仕事に就きたいと思い付いたりする。そんな風に考えさせられる。
あらゆる仕事は大きな目でみれば食と結びついているとか、変なこじつけが始まる前の、率直な感情や心情や考えを尊重することが大切であったりする。

だから農家になろう!と思い立つのは早計であるから、中野で今しばらく都会暮らしと親しみ切ろう。
そう田舎暮らしを想い募らせる人々が、中野に結集しているのかと思われるほど、駅前は尋常じゃない人口密をなしていた。

尋常じゃないとは一個人があながち判断できないことではあるが、いっぽでもニンゲン にそくでもサンダル状態であった。
各々の経路確保にしのぎを削る精神が自ずと鍛えられる街、中野。
肉を食べた直後のスタミナギガジャイアントで持ち堪えられたが、住民として日常的にファイトするにはモバイルステーキを持ち歩くことになるだろう。


腐ったズボン話にたどり着くにはスタミナ不足であるから、モバイルステーキが発明された頃に書き起こしてみよう。


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