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人工中絶の病院を選ぶポイント

情報が集めにくい中でも適当に選択せず、しっかりと病院を選んでほしいと思います。それは、病院によって手術方法も、中絶への意識や対応が全然違うから。もちろん、これは体験者としての一意見ですが、個人的に着目してほしい、おすすめのチェックポイントです。

①手術方法で選ぶ(病院によって異なる)
②麻酔内容で選ぶ(私自身、とても痛みに弱いのです。)
③中絶に理解の先生を選ぶ(メンタルを守るため大事)

計3点の視点から、少し詳しく書きたいと思います。これから綴る内容の一部は下記のNHK番組をまとめたページを参照しました。私自身もあらためて勉強になりましたので、ぜひご一読ください。


病院の選び方① 中絶方法で選ぶ

現在、日本国内で用いられる人工中絶法
1. 掻爬(そうは)法(D&C)
2. 電動吸引法(EVA)
3. 手動真空吸引法(MVA)

この三つが現在国内で主に取られている方法(2019年当時)。インターネットなどで病院を検索する際に、方法を調べた上で地域名などと一緒に入力して、探してみてください。

私自身、手術を決断してから行うまで3つの病院に通いましたが、その病院が行う中絶方法の説明はしても、他にも方法があること、どれがどう違うかは自分で調べるまで知りませんでした。

病院も設備がなければできないことなので、患者に選択肢を与えることは滅多にありません。なので事前に調べて、自分の希望の病院を選ぶ必要があります。前回の記事でも言及しましたが、術前処置の有無方法・期間も異なります。病院は手術内容を患者に適切に説明する義務があるので、聞きづらいこともありますが躊躇せず、診察の際にしっかりと質問をすることをおすすめします。

現在も日本では年間16万件以上の人工中絶が行われているのだそうです。それにも関わらず、正しい対処法について情報が手に入りにくいのは、深刻な問題ですね。


病院の選び方② 麻酔の内容で選ぶ

麻酔量は医師の資格によって異なります。麻酔がかかるタイミングだけでなく、手術中に眠れるのか、意識はあるのか、術後どのくらい病院で安静にしていられるのかなど、診察時にちゃんと確認してください。

(私は当初「痛みは感じないが、意識はある」麻酔だと言われ、しつこく「眠りたい」「トラウマになるので、覚えていたくない」ことを伝えました。大学病院でしたので、手術内容と加味して変更してもらいました。)

これも手術内容と同じで、病院ごとに様々です。「あたり前」がないので、どんな状態で手術を迎えたいかしっかり吟味して、うやむやにせずに事前に先生に確認してほしいです。麻酔の内容によっては手術後の生活への復帰のタイミングも半日〜一日以上違います。


病院の選び方③ 中絶の決断に理解のある先生を選ぶ

婦人科と一言でいっても、専門は様々です。妊娠や出産を扱わない、その他の症状や施術を専門としているレディースクリニックを個人的にはおすすめします。

3つ病院にかかったと先ほどお伝えしましたが、1つ目は妊婦さんも通院する婦人科でした。待合室の雰囲気で、私はまず耐えられませんでした。お腹に子供がいる女性たちと同じ空間で、問診票に中絶のことを記していた時間は書きながら涙が出ました。自分が本当に悪いことをしているように思えたからです。

それだけでなく、先生や看護婦さんの対応も(そこは特に)酷でした。「中絶するの?本当にいいの?大丈夫?」という先生の質問は、普通のように思えますが、苦しいけど決意をした、それでも怖がる自分にとっては無神経に深く胸に刺さりました。「そんな疑問、もう何万回も自分で問うたわ……」と正直思い、その時かけてほしい言葉ではありませんでした。

「痛いんでしょうか」という質問を私からしたのですが、看護婦さんは「まあ、そうだとしてもそういうものでしょう」というような受け答えで、代償としての苦しみのようなものだと捉えられていたような気がします。挙げ句の果てには頼んでもいないのに、お腹の中の小さな影を印刷して写真で渡され、写真代2000円ほどまで払う始末。もらうもらわないの選択の余地がなく、領収書をみて有料だったことに驚きました。

その先生は何も言いませんでしたが、きっと写真を通して「命はもう宿っているんだ」ということを伝えたかったんだと思います。

それは、現にあらためて痛いほど伝わったし、身体の微細な変化はすでに感じていたので、自分が一番「一人ではない自分」であることをわかっていました。しかし、それでも私が求めていたのは、一人の女性として生きるために下した勇気のいる決断に対して前向きな解決への指南とサポートでした。

……と、とても長くなりましたが、後から考えると、こんな傷つき方しなくていいと思ったんです。だから妊娠や出産の喜びで溢れる空間に、それを専門とする医師の人のもとに、わざわざ行かないでもいいと思います。

NHK番組のページにもありましたが、医療と道徳観が混在する極めてデリケートな分野なのだと思います。先生との倫理観が異なる場合(中絶が先生の考えに沿わない場合)は双方にとって幸せではない過程と結果である可能性が高くなります。

これって「タバコ吸って肺がんになったのは自業自得でしょう。自分で自分をあやめているのだから、しょうがないでしょう」と言われてるようなもので、状況を置き換えるとどれだけ、医療と個人的なジャッジが混在しているのかわかると思います。しかし他の治療と同じように考え、それを医師に求めることは難しい事に気づきました。

そんなことを感じて検討し直した結果たどり着いたクリニックは、ひとつ目に訪問した病院で感じたストレスが、うそのように1ミリもなかったです。診察室に呼ばれる際も名前では呼ばずに番号で呼んでくれたり、プライバシーの保護もしっかりとしてくれました。

判断材料の一つであり、あくまで精神的な側面ではありますが、手術を施せば治療されたというわけではないと思います。

手術前後の心のケアとは言わないでも、中絶する時の心の痛みを理解してくれる、受け入れてくれる環境というのは選べますので、大切な一つの基準にしてください。


以上、簡潔ではありますが、病院を選ぶ際の検討ポイントのおすすめです。


<余談>思い切ってnoteを始めたら

ひとつ目の記事を書いてから大分時間が経ちましたが、一人でも届いてほしい方のもとに少しでも伝わっていることを素直に嬉しく思います。コメントをくださった方、いいねを押してくださった方ありがとうございます。

自分自身が悩んだ当時、本屋に行っては妊娠・出産のコーナーに行き、望んでいない妊娠をした人に向けた書籍はないかと(あっても買いづらいのですが……)書店やオンラインでよく見つけようとしました。

しかし、中絶のこととなると、いきなり他人事で倫理観だの医学の歴史だの知りたい情報とは全然ちがうことばかりなんですよね。社会的にタブーなトピックなのを認識したと同時に、正しい知識の得方に困りました。

このnoteも一個人の体験とリサーチから書いているので、全ての情報が必ずしも正しいとは言えませんが、前向きに解決していきたい人の一助となりたいと思っています。自分自身もトラウマではなく経験として語れるまでに時間がたくさん必要でしたが、同じような気持ちをした方が一人でも、自分の選択に自信を持って、日常を送れたらと願っています。


最後までお読みいただきありがとうございました。一個人の記録ですが、どなたかの力になったら幸いです。