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不登校の子には歩みに寄り添うことが大切。自宅学習でもオンライン学習でも!

「発達障害と診断されている息子が5月から不登校です。
 学力面が心配です。 家では、まったく勉強してくれません。」

経営している教室への問い合わせメールの中の一文です。

料金、時間等のご紹介とともに
30分の無料相談もあるので、よろしかったらおいでください」
と、お返事を差し上げました。

その後、連絡はありません。
問い合わせだけですから・・

ぴったりの塾を見つけてくださいね! 
子育てがんばってくださいね!

お会いしたこともない親子の様子を思いうかべて、
心の中でエールを送りました。


登校しない選択について

「不登校」と、ひと口に言っても
見方、考え方、学ばせ方は家庭の方針によって異なります。

一つ目は
親子で外国や日本全国など地球を巡って
グローバルな視点での学びをしていく方針で
学校教育そのものを求めていない。

二つ目は
学校という集団の学びが合わないのであれば
学校中心にこだわることなく
学びや生活のプランを家庭で計画し
親が中心となって、家庭や地域で学ばせるという考え方。
ホームスクールと表現したりする。

三つめは
登校できることを目標としているけれど、登校できない場合。
親は学校教育に参加させて学ばせていきたいと願っている。

子は、発達特性や学習能力や交友関係などに困り感を持ち
登校できない状態(不登校)となっている。

学習の遅れや出席日数など親の悩みは尽きない。


登校できない

学校や塾で何人かの不登校の相談に携わりました。

ご相談の多くは
登校させたいけれど、登校できない場合です。

①学習に対する子の悩み
・勉強が難しくて学校に行きたくない。
・宿題やってないから学校行きたくない。
・みんなよりできないことがあるから楽しくない。etc

②学習に対する親の悩み
・家で教えたいが勉強をしてくれない。
・子に合う塾が見つからない。
・担任と相談しても、いい案がない。 etc

③交友関係に対する子の悩み
・なかよしの友達がいない。
・〇〇さんからいじめられた、からかわれた。
・友達とのトラブルで先生にしかられた。etc.

④交友関係に対する親の悩み
・コミュニケーションの取り方をどのように教えたらいいのかわからない。
・我が子の特性を担任に理解してもらえない。
・我が子の短所ばかり指摘され、長所を認めてもらえない。
・学級に意地悪な子がいるが担任に言っても改善されない。etc.

※家庭に対して何らかの心配事がある場合もありますが
 ここでは、ふれません。


不登校が解決できないのは、なぜ?

親はわが子からの情報だけが頼りです。
親も担任も自分の知り得た情報だけで、当初の話し合いは始まります。

この時、親が担任に不信感を持ち、担任が親に不信感を持ったら最悪です。

どちらも、子を大切に思う気持ちをもっているはずなのに
親も担任も自分の考えや気持ちを理解してもらえないと思うことで
話し合いがうまくいかないこともあります。

解決できないときの多くは
大人同士のコミュニケーション不足、お互いの立場への理解不足の場合が多いです。

子にとって、児童生徒にとって、
今、何が大切なのか
今、できることは何か
話し合いの視点・解決視点を見失ってはいませんか。

必要な特別支援教育が子どもたちに届くまでには時間がかかり過ぎています。子の気持ちを考えることなのに、大人意思疎通の悩みにすり替わってしまっては効果的な解決策を見いだしにくくなります。

子どもたちへの寄り添いには親と学校の関係性が大切です。

学校には、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、特別支援コーディネーター、学校心理士、いろいろな専門家がいらっしゃいます。
子どもたちが安心した学校生活を送ることができるように担任や保護者の方と協力体制を構築していただけたらと願ってやみません。


不登校になった場合の対処①

我が子が不登校になった場合、
親は子の心や体調の面を真っ先に心配します。
と、同時に学力や出席日数についても心配します。
中学生であれば高校受験とあわせて、より出席日数を心配します。

「フリースクールの出席が学校の登校扱いになる」
と、なったばかりの頃のことです。

5年生になったAさんはフリースクールに行くことにし、
フリースクールの出席を学校の出席にしてほしいと申し出ました。

学校としては初めてのことであったので、びっくり仰天!どうしたものかと話し合いを重ねました。

文部省からのいろいろな方針が出されていても、すぐ実践できる細かい内容まではありません。末端の学校が、その内容を汲み取り実践していくのには、話し合いと内容に関する事柄を実情に合わせて検討していく必要があるのです。

幸い、Aさんの通うフリースクールは、
学習計画や学習内容、出席状況を提供していただけるということでした。

・毎月、フリースクールの出席表を提出する。
・フリースクールの学習内容、ノート、プリント等を担任に見せる。
・担任からのプリントも必要に応じておこなう。
・定期テストは、登校し
 別室で受けていたのかどうか・・受けていたと思います。

Aさんは、小学校高学年からフリースクールでの実績を積み重ね、学校との対面も定期的に行い、お互いの理解の段階を順を追って進めたことで、中学でも出席扱いをしてもらえるようになりました。


不登校になった場合の対処②


最近ではオンライン学習が学校の出席になるという話題があります。

文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方」には、出席扱い等の要件について「7要件」示されています。

要点のみ抜粋すると、
①保護者と学校の間に十分な連携・協力関係がたもたれていること
②ICT、郵送、FAXなどを活用した学習であること
③訪問等による対面指導が適切に行われること
④学習の理解を踏まえた計画的な学習プログラムがあること
⑤学校や校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握できる状況にあること
⑥学校外の公的機関や民間施設等で、相談や指導を受けられない場合の学習活動であること
⑦計画や内容が学校の教育課程に照らし合わせ適切であること



通常学校では、保健室への登校や放課後登校等も出席扱いになりますが
在宅学習では家にいるだけでは出席になりません。

教室での授業と同じ出席扱い、学習評価をすることを目指すものではありません。

目指しているのは、学習を様々な角度からできる限り肯定的に承認し、自己肯定感を高め、学びの意欲を喚起し、継続する動機に役立ててもらうことです。

教室での授業を同時双方向で配信する場合ではなく、
不登校児童生徒が民間事業者の提供するICT教材を用いて個別に学習する場合のガイドラインです。

ICT学習で出席となすためには、出席に見合う準備を計画・実行していくことが必要ですね。


オンライン学習を出席にできるとは言っても

文部省の方針、指針が出ていても検討することが山積しています。

・まずは、ICT学習をしている民間業者の授業を体験して学習実績を積み重ね、学習計画や学習内容を資料まとめ、適切かどうか検討しましょう。

・オンライン学習が出席扱いとなるための条件もあります。
30分や1時間のICTで出席扱いとはならないはずです。

・ICT学習の時間、分量、学習計画、学習内容  教科の決定も必要です。
実践状況を見て検討していくのですから、受講する業者に前例を聞いてみることも必要です。

・ICT塾の料金も検討しなくてはなりません。
・時間数が多ければ授業料もかさみます。

「大切なことは、オンライン学習を出席扱いすることではなく
いろいろな理由で不登校になっている児童生徒を様々な角度から認め、学習意欲を高められるように応援していくことが目的です。」

子や学校の実情はともかく
「学校への復帰」が目的、前提であることです。

学校との連携や対面指導は大切な要素です。

オンライン学習が軌道に乗ってきたら、
その資料を持って学校の先生との対面指導をうけることで一歩前進です。

フリースクールで学んだAさんは、
毎月の出席や学習状況を提出する際、学校を訪れました。
大人が協力して子の歩みに寄り添うことで、
フリースクールの出席を学校の出席にすることが認められました。


不登校、寄り添うことの大切さ

職業柄、不登校、不登校傾向の児童生徒に出会ってきました。

大切だなあと思ったのは、やっぱり寄り添いです。

大人はいろいろ経験してきていますので、
ついつい、促したり引っ張ったり説教したり・・

無理もないことです。
我が子のこと、わが生徒のことを考えてのことです。
大人の気持ちは痛いほど、わかります。

でも、ゆっくりゆっくり
子の歩調に合わせるのが一番だと思います。



大人同士が焦らずに協力しあうことで、再登校に至ったケースにいくつも経出会ってきました。

😊小学校は入学式だけだったけれど、中学から登校した子。

😊小学校途中から不登校になったけれど
本人の「塾に行ってみようかなあ」を契機に高学年から個別塾にしたら
中学校は行く!って今では休みなしの子。

😊中学校は不登校だったのに、
進学先の専修学校は楽しんで登校している子。

😊お母さんと一緒に別室登校していたけれど
卒業式はひとりで出席した子。

ゆっくりゆっくり、焦らずに、大人同士が大人の対応をしながら、本人の歩調に合わせてきた結果です。


声かけに、ときには失敗してもいい!
いつもいつも上手に寄り添ってなんかいられません。

5回に1回、上手にできたら自分をほめよう!
大人だってほめてほしい。自分の見方は自分!

あわてない、あわてない、
めげない、めげない!
ひと休み、ひと休み

大丈夫!

明けない夜はない!

いつか、どこかで、よいことはやってきます!


上記の記事内のPDF②③の続きは継続していく予定です。
支援学級の学習計画だけでなく
ボーダーラインの領域の中学生で不登校の方の自宅学習にも役立てるといいなあと思っています。全部ではなくても、どこか一か所なら取り入れられるとかで・・・



marukoの独り言

この頃のお問い合わせは、不登校の子が多いです。
心の中でお母さんに声をかけます。がんばれ!って。

中学生の保護者の方々の中には出席をすごく気にされる方がいらっしゃいます。高校受験が気になるのですよね。

公立高校や目指す高校があれば特に出席日数が気になりますよね。
でも、不登校でも受け入れてくれる学校を選ばれる方もいらっしゃいます。

この前、専修学校に進学した子がテストの成績がよかった!と喜んでいました。専修学校は、通信で高卒の資格がとれますから安心です。

専門学校に進学後、大学に編入の道もあります。

大切なのは出席日数ではありません。
子の今を受け止め、やる気を失わせず、
どんな小さなことであってもいいので継続けていく力を大切にはぐくみましょう。

支援学級PDF④は次回にします

次回は3月1日(水)








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