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飲食店経営企業の接客レシピ #3

私たちは現在、
「あそび割烹 さん葉か」(2016年1号店としてオープン)
「炭手前 鷽」(2018年に2号店としてオープン)
の2店舗を都内で経営しています。
そんな私たちのお店の特徴ですが、料理はもちろん
お客様とのコミュニケーションもウリとしていること
です。
第三回の今回は前回に引き続き、実践編として実際にお店へお客様が来店されてからの流れと気をつけるべき重要ポイントについて書いていきます。


オーダーを取ろう!

お客様をお席に案内した後は、オーダーを取りましょう。
その際に注意する点は、

◆目線の位置に注意
◆必ず復唱する
◆最適なものをチョイスしてあげる

ことです。

◆目線の位置に注意
基本的に、立って給仕をしている私達よりもテーブル等に座っているお客様の方が頭の位置は下になる事がほとんどのはずです。
中腰になったり、膝を立てて、お客様よりも頭の位置が下になり見上げるような状態でオーダーを取りましょう。
『見下す』『上から目線』『頭が高い』と言うように、お客様よりも頭の位置が高く、上から見下ろすような状態はなるべく避けた方が良いです。
難しい状況の時はなるべく柔らかな物言いや姿勢で高圧さが出ないようにしましょう。

◆必ず復唱する
伝言ゲームをしてみると分かりますが、言葉はニュアンスや言い回しで意味がころころ変わるものです。自分の記憶力を信用せずに、オーダー内容は必ず復唱するようにしましょう。メモも必ず!
もし、オーダーを取り終え、お客様の元から離れた後に「あれであってたかな?」と不安になったら、絶対に再度確認しに行った方が良いです。
もし、確認せずに間違ったお料理を提供してしまったら、再度作り直すことになり、お客様にもキッチンの人にも迷惑をかけてしまいます。

最適なものをチョイスしてあげる
例えば4人前のお料理を2人で注文されようとしていた場合、「4人前の量ありますがよろしいですか?」などと確認を取りましょう。
その日の売上だけで見れば、より高単価な物を注文してもらった方が、その日はお店の儲けになりますが、
料理やドリンクでお客様が満足できるような提案をしてあげる事で満足度の向上に繋がり、再来店してもらえる可能性が高まります。


ドリンクやお料理を提供

◆ファーストドリンクの提供
最初の飲み物の注文は優先して早めにお出ししましょう。可能なら1分以内に提供すると良い感じです。
例えば夏の暑い日にビールが飲みたくて居酒屋さんに入った時、最初の1杯がなかなか来なかったら待ち遠しくてイライラしますよね?
お料理も同じですが、最初の飲み物・食べ物は迅速に。その後のお料理は多少遅れても構いません。

◆グラスの汚れをチェック
意外と見落としがちですが、ビールなどのグラスは汚れが無いか確認してから給仕しましょう。
ドリンクやお料理を運ぶ私達が、お客様に商品をお届けする最終チェックラインだと思って、必ず汚れは無いか?異物は無いか?などの確認をしてから提供するようにしましょう。

◆料理の美味しさにプラス加点できる置き方
私の思う、料理の美味しさを引き立てる出し方は、
①両手で出せる時は両手で。お盆などを持っていて片手の時は、料理が見えやすいように皿の端をなるべく持ち
②お客様の目線あたりから速度を落としてゆっくりとテーブルまで下げ
③音が出ないように優しく置く。
④お客様の反応を見ながら、料理の名前や産地を伝え、興味がありそうならもっと詳しくどのようにして作ったかを説明する。
です。
カウンターの場合は「後ろから失礼します」と声掛けして同じようにゆっくりと出し説明します。
反対に、乱雑に置いたり、何も言わずにお料理を置く事をしてしまうとお料理を食べる前にマイナスの印象をお客様へ与えてしまいます。
キッチンの方が丹精込めて作った料理です。少しでも美味しく見えるように提供しましょう。

◆なにか分からないものは持って行かない。
お店が忙しい時、「これ〇卓に出しといて」と自分が知らない料理を出されました。ついそのままお料理を運んでしまいがちですが、そこはどんなに忙しくても「これは何のお料理ですか?」などとキッチンに確認しましょう。
聞かずに出してしまうと、お客様から「これ何ですか?」と聞かれた際に答えられなくなります。答えられないと、私達サービスの人間だけでなく、お店全体の信用低下に繋がります。
例えキッチンの方に「いいから早く持って行け」と言われても食い下がりましょう。
盛り付けが崩れてた場合なども同じです。キッチンの方に直してもらいましょう。
「忙しくて~」など私たちの都合はお客様には関係の無い事です。
誠実に対応すれば多少提供時間が遅れてもお客様は許してくれます。


お客様の要望に気づく力

接客の仕事は波があって、忙しい時と余裕が生まれる時の落差が激しいもの。忙しい時にはつい目の前の仕事に集中してしまいがちですが、そこは周りを見るように意識付けしていくことが大事です。
店内の状況が見渡せる位置に立ち、目線はお客様の方を(誰か一人のお客様を見るのではなく、全体をぼやっと)見て、
自分の目の認識範囲を180度まで広げるイメージを持つ。
そうすると、今までよりも沢山の情報が入ってきます。最初は情報量の増加に戸惑うかもしれませんが、やっていくうちにだんだん慣れてきます。
慣れてきたら、店内のどこにいても
俯瞰で店内情報をイメージする練習をしましょう。
誰が・どこで・何をしているか?
を、お客様だけでなく、他のスタッフなども含めて総合的に見れるようになると、
・あ!そろそろあそこのお客様から呼ばれそう!
・あっちのテーブル席のお客様、チラチラこちらを見てる。何かあるかも?
・そろそろ料理がキッチンから来るな。準備しておこう。
など、先手を打ってのアクションが取れるようになってきます。

また、耳の視野角も広げましょう。
目の前で誰かと話していても、後ろや違う場所からの話し声を拾えるようになれば、次のアクションに移る事がとてもスムーズになります。
例:カウンターで目の前のお客様と雑談しながら後ろのテーブル席のお客様の「これ頼もうよ」という言葉を聞き、お客様との会話の終了後すぐに振り向きテーブル席へオーダーを取りに行く。
目と耳の視野角を増やすことは慣れないとなかなか難しいですが、お客様に呼ばれる前にこちらからアクションを起こして、お客様が「まだ呼んでいないのに!」とびっくりされた時、めっちゃ嬉しいです。
普段、営業時間外でも練習するのがオススメです。私は家の中で【テレビのニュースを流す・音楽を聴く・スマホで記事を読む】を同時にやって練習したりしてました。


立ち振る舞いで注意すること

私達接客の人の動きは、意外とお客様から見られてます。
まず見られていることに慣れる必要がありますが、
慣れてきたら、次はどんな風に見てもらいたいか?
に合わせた立ち振る舞いを意識しましょう。

◆立ち方
 私は昔の職場で、「頭のつむじから糸が出ていてその糸が引っ張られている」という意識を持って立ちなさい。と教わりましたが、確かにそれを実施してから背筋が伸びて、正しい姿勢になった気がしました。人それぞれ意識の仕方はあると思いますが、鏡を見て自分の立ち姿勢がおかしくないかを確認するのも大切です。

◆目線
 前項の視野角の部分でも書きましたが、どこか1点を集中して見るのではなく、見渡す感じで前を見ましょう。ご飯食べてる時に知らない人からじっと凝視されたら嫌ですよね(笑)

◆歩き方
 背筋をぴんと伸ばして、足音をなるべく立てないように注意しながら歩きましょう。お店の席間隔が狭くてお客様にぶつかる可能性のある場所を通る時は必ず「失礼します」と伝える事も重要です。

◆お酒の瓶を持って歩く時
 お酒の瓶は私たちの大事な商品です。ラベルを顔として、お客様に瓶の顔を常に向けた状態で持ち歩きましょう。冷蔵庫にしまう場合も必ず顔が見えるように。

◆料理を持って歩く時
 お酒と同じく大事な商品です。キッチンの方が愛情込めて作ってくれたお料理です。自分よりも料理を優先するぐらいの意識を持って大切に大切に運びましょう。(意識があれば、人とすれ違う時に自然と料理が当たらないように手でガードしたりと行動がついてきます)


お料理やお飲み物を提供し、ひと段落したら
お客様とのコミュニケーションを取ってみましょう。
長文になりますので、そちらは第四回に。

店舗情報

あそび割烹 さん葉か (あそびかっぽう さんばか)
■営業時間
【昼】11:30~13:30 (売り切れ次第終了)(月曜〜金曜のみ)
【夜】17:30~23:00 (月曜〜土曜) / 16:00~22:00 (日曜)
■定休日:不定休
■住所:東京都千代田区東神田2-6-2 タカラビル 2F
■アクセス:浅草橋駅より徒歩約7分 / 秋葉原駅より徒歩約7分 / 岩本町駅より徒歩5分 / 馬喰横山駅より徒歩7分 / 馬喰町駅より徒歩5分
■座席:カウンター12席、テーブル14席(全席禁煙)
■ご予約:https://sanbaka.gourmet-maruichi.com/contact

炭手前 鷽 (すみてまえ うそ)
■営業時間
【昼】11:30~14:00 (L.O.13:30)(月曜〜金曜のみ)
【夜】18:00~00:00 (L.O.23:30)
■定休日:日曜日・その他不定休有り
■住所:東京都中央区日本橋蛎殻町1-8-4 1F
■アクセス:水天宮前駅より徒歩約5分 / 人形町駅より徒歩約7分
■座席:14席(全席禁煙)
■ご予約:https://uso.gourmet-maruichi.com/contact

おうち割烹 todoku


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