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学生時代、こんにゃく工場でアルバイトをした時のお話〜工場のおばあちゃんへ〜

こんにちは、まるです。

大学時代、シフトに縛られずにお金を得たかった私は
派遣会社に登録。
今考えると、周りの同級生は居酒屋とかカフェで
アルバイトをしている中で
派遣会社への登録はやっぱちょっと変わり者だったのかもしれない。

いろんな場所に出向いて働いていたけど
今日はこんにゃく工場の話を。

食品工場で働いたことのある方はご存知かもしれませんが
レーンに流れてくる商品を
切ったり、混ぜたり、パックに入れたり・・・
その作業が立ちっぱなしで基本的何時間単位で続く。

手足も腰も痛くなる。
定期的に大きな釜にこんにゃくを移さなくちゃいけなくて
結構な重労働だった。
何か考え事をする余裕があればいいんだけど
どんどんレーンにこんにゃくが流れてきて作業をしなければならない。
自分が止まったら次のレーンに迷惑がかかる。
同じ作業を続けるから、無心のまま何か感情が生まれることもなく
思考が停止する感覚になることも。

純粋に、大変な仕事だなって思ったの。

そんな中で、ベテランのパートのおばあちゃんとペアで作業をすることに。
レーンの仕事ではなかったから、
少し会話をしながら作業をした。

ー「あんた若いねえ。なんでこんなところで働いているんだい」

「勉強の時間も確保したい。シフトに縛られないで、働きたかったんです。」

ー「そうなんだね。私はここで、四十年以上働いてる。
 勉強ができないからさ、こんなことしかできない。
 本当に脳がないんだ。」

「そんなことないですよ、そんなふうに言わないでください。
 続けられることも立派な才能なんです。」

ー「そんなことはない。
  こんな作業しかできない。頭も悪いし。
  夫も病気で、家の近くから通えるとなるとここしかない。
  続けるしかないんだ。」

そんなおばあちゃんの手捌きは、
本当にスピーディーで無駄がなく、かっこよかった。
私にとっては「プロ」だった。

脳がないなんてことはなくて、
本当に続けられることはすごいことで。
もしかしたら続けなければいけない理由があったかもしれないけど
そんな風に自分を評価しないでほしいと
学生心に思っていた。
その日、家に帰ってすぐ母親にこの話をした。
母も共感してくれた。

その後、数回はこんにゃく工場で働いたのだけど
おばあちゃんと一緒になる作業もなくて
その工場に行く機会も無くなって行った。

大人になった今も、ふと
その一度しか話せていないおばあちゃんの
ー「私には脳がないから」
ー「こんなことしかできないから」という言葉、
少し俯き加減で、恥ずかしそうに笑っているおばあちゃんの表情が思い浮かぶ。
思い出すたび、
続けるってすごいこと、素晴らしい才能であること
四十年以上その場所で働いたことを
誇りに思っていてほしいと心の底から思う。

まだ続けているのかな、退職されたかな。
清々しい気持ちで退職されていたらいいな。
全力で拍手したい。

ほんとに
続けるってすごい。
素晴らしい才能だ。





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