【越境対談】党派を超えて石垣を語る 最終回(vol.5)|市議会議員対談:長山いえやす×花谷シロー@石垣島
編集部:基地があることで平和に問題が出るだろうと思っていると仰いましたが、平和構築についてはどうお考えですか?
花谷:結局、人間というか人類の基盤というのは経済活動ですよね。思想信条で戦争をする国というのは限りなく少ないと思う。宗教戦争というのが完全になくなったわけではないと思うのですが、特に先進国、大国については経済活動の一環での戦争だと思うので、どこかで折り合いというのはつけられるだろうと。
長山:先ほどの尖閣の話じゃないですけど、サラミ戦術のようなことが起こっていますからね。
花谷:例えば中国であれば、どこならば線が引けるのかについて、対話するというところをなくしてしまうと、戦争しかないということにもなりかねない。だからエスカレートさせないように、抑えながら対話していくというのが大切で。エスカレートさせないということが対話の時間を長くする、ということでもある。一朝一夕でできるようなことではないですが。ロシア・ウクライナのみならず、世界情勢がすごく不安定な中で、今この状況というのをいかに悪化させないかというのがひとつあります。その状況を経過してからでないと、話し合いをするということが非常に難しいので。現状キープというのをして、落ち着いた時に解決するという。
長山:対話をしていかないとというのはありますね。そのためにも、花谷さん与党に来るということを考えませんか?(笑)
(一同爆笑)
花谷:(笑)いやぁ・・・、まあ議会の話で言うならば、与野党というのは原則としてはないわけじゃないですか?対立軸としては、市長と議会というのが対立軸なわけで、与党と野党の対立軸というのは本来はない。
長山:そうですね。仰る通りです。
花谷:そこの原則というのが、見えなくなってしまっている。議会で対立が深まってしまっているというか、市長派なのかそうでないのか、みたいな話になってしまっていて。そこをやはり与党も野党も再認識して、共通できるところを探すというのを本来は全体でやらなければいけないわけです。これは国に対しても言えることですが、日本という国が良くなってほしいから文句を言うというのであって。やはり権力というのは、自分が山の頂上に立っていると麓は見えないわけだから、麓はこうなっていますよ」という指摘ができるのが国民だし。石垣で言うと、議員が市長に対して修正できるところを意見するというのが役割だと思うから、あまり対立状態が続くのは市長にとっても良くないと思いますね。石垣市にとっても良くない。
長山:自衛隊の問題などは、まあ開設されて間もないので不安を抱えたりというのはあると思うのですが、まあ大きな問題というのは一つ、節目ではあったのでこれからかなとは思います。
花谷:そうそう。なので、僕らが声を聞いて指摘して、市長が「そうだな」と聞けるような状況を議会として作っていく必要がある。まずはこの二人(花谷議員と長山議員)から信頼関係をスタートしていければなと思いますね。
長山:そうしていければ良いですね・・・。まぁ、野党ということで言えば、一般質問という機会があるのですが、議員が自由に課題を取り上げて当局に提案したり、解決策を出したりというものなんですが、やはり、それを見るといまだに自衛隊問題が主になっていて。うーん・・・と思うことはあります。
長山:僕は結構一般質問は、誰も取り上げないようなことを取り上げたい方なので、そういうことをやった方が建設的というか。楽しめるというか。
花谷:自衛隊も楽しいですよ(笑)。
長山:(苦笑)まあ自衛隊問題は、一旦区切りができたので、今後は歩調を合わせるところが出てくるかなと。ただ、歩調を合わせ始めると、支持者が何と言うか分からないという問題はある。
花谷:そうなんですよ。そこなんですよね。
長山:まあそこは僕らの問題ですけども、期待はしてます。対話はやっぱり自然環境あたりから始めますか?(笑)
花谷:良いですよ(笑)
長山:ちなみに、聞いてみたかったんですが、現状で石垣の自然がどんどん失われているというイメージというか、危機感を持ってらっしゃいます?
花谷:自然環境というのは石垣だけの話じゃないと思うんです。例えばマイクロプラスチックの問題。これは石垣島だけでどうにかできるものじゃない。気候変動とかも含めてそうなんですが、石垣島で自分が何かすることで環境が良くなる、とは思っていないんですよ。そうではなくて、システムに影響させていかないと、と考えている。ペットボトルは、もちろん拾うんですけど、拾ったことで海の環境が良くなるとは思っていなくて、世界中の人が拾うようになるとか、そもそもペットボトルを作らなくなるとか、システム自体に影響しなければ、根本的な解決にはならないだろうと思っている。
長山:なるほど。
花谷:コンビニでジュースを買おうとした時に、ペットボトルじゃなくて缶にしようとか、紙パックにしようとか、そういうことは確かにするんですけど。みんな自然環境を守りたいとは思っているはずで、環境破壊が良いと考えている人はいないと思うんですよ。でも、そういう「ライトな」層の人が、環境にいいものを選べるという社会、流通システムに変えていくということをやっていかないとな、と。それを例えば石垣で成功させて、成功事例となって、他の観光地に広がっていくとか。先ほども長山さんが全く同じことを仰ってましたが。
長山:先ほど言いましたが、環境を考えるならホテルを建てる企業はどこまで何をしなければならないかということが、具体的に話し合われない、というやつですね。環境と観光、まさに対話がなされない。
花谷:その通りですね。そういう意味で、長山さんの質問に答えるなら、僕は、危機感は持っている。石垣島でどうするのか、というのがある。これを世界に波及させるということを考えるなら、時間的にも急ぐべきだろう、と。
長山:ミクロのところから、マクロへということなんですね。
花谷:そういう大枠のところでやっていくためにも、ミクロな部分で、ペットボトルだったり、シャンプー使わないとか、そういうことをやってみて、環境にいいからというよりも、「これって果たしてみんなができることなんだろうか?」という、意味で実践しているという感じですよ。
長山:なるほど。ところでシャンプーといえば、実は僕も、やったことがあるんですよ。環境問題を考えて、シャンプーを使わないっていう。で、4日で諦めました。(一同爆笑)
花谷:そうなんですよね。やっぱり1ヶ月くらいやらないと、髪の毛が環境に馴染まないんですよ。その辺も体験しないと、勧めることもできないし。
長山:石垣のゴルフ場問題はわかりやすい例かもしれないですけど、でも実際、ゴルフ場が10個あったら困ってしまいますしね。環境を大切にするというのは市も謳っていることなので。でも、どう守っていくかということが語られてない。
花谷:そう、まさにそこですよ。
長山:環境守りたい、と言っても、守り方も色々あるでしょうし、議論を深めないと進みませんからね。島の環境でいえばゾーニングが重要だと思っています。
花谷:ゾーニングは大事ですね。
長山:ゴルフ場は観光促進なので、観光と環境のバランスということもあるんですが、ポイントは都市計画ですよね。地元の人が住みやすい市にするというのが大前提としてあるんですが、石垣にはそもそも人が住めるような宅地が少ないんですよ。でも宅地を増やすと、農地や森林が減ってしまう。
花谷:持ち家率が低いんですよね、石垣は。
長山:そうですね。だから家賃が上がっていくわけですが・・・。話を戻すと、その都市計画の範囲で観光開発をしていけば良いのですが、観光という面を考えると、グローバルブランドのホテルがあと一個くらいはあった方が良いだろうなとは思いますし、難しいですね。
花谷:僕はあった方がいいとか、ない方がいいとかは思わないんですけど、石垣内で完結する部分とそうじゃない部分がありますよね。石垣は最近では日本中の人に知られていますし、世界的にも観光地として、日本の南国として認知度が上がっていて。だからこそ、枠組みがうまく機能して、成功事例になれば、波及効果も高いんじゃないかなと。
長山:観光と環境は相反するところがありますからね。
花谷:その側面は大きくて、観光客が増えると環境負荷が増えるというのは間違いないことですから。ただ、ここでもし成功事例というのが作れれば、世界的に見れば、「環境として良い」という状況が作れるかもしれない。観光客数を制限するのか、あるいは自然というのはあくまで見てもらうものとして、環境負荷をかけない形での観光にしていくことが可能なのか。
花谷:飛行機や車などの移動手段も、バイオマスエネルギーやソーラーのものを使うとか。そういうことで観光客が来るハードルは上がるとは思うんですよ。数を制限するのではなくて、そういうことに関心がある人しか観光促進にお金を出せないような枠組みを作っていくとか。これが他の場所や、海外に波及していけば、仕組みとして「ペットボトルを島から一切排除します」、というようなことを実現できればなと。この辺について、対話をしていきたいです。
長山:最近は皆さんエコツアーなどの取り組みが進んでいて、自然を大切にする動きはあるんですが、とは言え、観光地として世界と比較すると、世界中にいいところはいっぱいある。その時にプラスアルファが必要なのかなと思うんですよね。ウェルビーイングを感じられる観光地にするかというか。そこでインフラ以外の部分での取り組みを、専門家も入れながら進めていかなければいけないですね。
花谷:確かに、ソフトパワーでもっとできるところはあると思います。
長山:あとは、やっぱり文化かなと。こういう観光地は世界的に見たらいくらでもあるかもしれないですけど、八重山の文化だけはここにしかない。そこはうまくPRしていきたいですね。まあ、でも自然も・・・、八重山が日本一かもしれないですね(笑)。
花谷:八重山はそうかもしれない(笑)
編集部:お二人の意見も合いましたし、これから対話を重ねていかれることを期待しています。
長山:そうですね。いいスタートになりました。今回はお呼びいただきまして、ありがとうございました。
花谷:今後も対話の機会は増やしたいですね。ありがとうございました。
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(越境対談〜党派を超えて石垣を語る〜 了)
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