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そういう性癖としか思えない歯医者の話

ついこの間、歯医者に行ってきた。

前まで通っていた歯医者から「今週来週なら予約できるで〜」ってメッセージが来たから、「ほな行くわ〜」と返したら「再来週以降でご都合のいい日にちはございますか!?」って言われた。

今週来週だったら行きたかったな〜って感じだったから「じゃあいいです〜」ってエアペイのCMみたいにしちゃったんだけど、歯医者気分が高まっていたので新しいところを予約した。


雷がビガンビガン光り、ゴロゴロゴロゴロゴロ言ってる中、がんばってたどり着いた新しい歯医者。とりあえず受付のお姉さんがかわいくてびっくりした。

問診票を書いて、しばらく待ったら案内されたんだけど、案内してくれたお姉さんもかわいかった。

お姉さんとタダで話をして、じゃあ今日はクリーニングしましょうね〜ということで、してもらっていたんだけど、そろそろ終わるかなあというタイミングで急に「今日の天気ひどいですね〜」と話しかけられた。


こちら、目隠しタオルをかけられ、口の中に指突っ込まれている状態。部屋の中の気配的にもう一人いるってことはないし、確実に私に話しかけてる。でも私、今、口の中、大変。

かわいいお姉さんに話しかけられているんだから、と「ほ、ほうでうね」とがんばって発声した。口の中が苦い。がんばって返事をしたからか、お姉さん、調子に乗った。話を続けてくる。


「このあたりに住んでる方ですか?」「ほうでう」「この辺りに詳しいですかー?」「きょねんくらいにひっほしてきたので…」「前はどちらに?」「さいたまです…」「え、私も埼玉でした!」「ほうなんですね…」「あのあたり、イキってる人多いですよね〜」「た、たひかに……」


いや、美容院じゃねえんだわ。


この状況に笑いそうになっていたらクリーニングが終わり、違う先生が入ってきた。

「診ていきますね。よろしくお願いします」って挨拶をしてくれたので、「よろしくお願いします」と返したら、目隠しタオルを急にパッと取って顔を覗き込みながら「お願いします!」ってもう一度挨拶をされた。


癖が強すぎるなあ…と笑いそうになっていたら、私の口の中の共有じゃなくて、今まで話していた内容の共有がはじまった。


「この辺りに住んでいて、前は埼玉に住んでいたそうです!」「僕も前埼玉で働いていたんですよ〜」「そ、そうなんですか」「私の実家と近くて〜めっちゃ埼玉トークしちゃいました〜」「え、埼玉のどのあたりですか?」「川口の方です…」「あー!バッチリその辺で働いてましたよ」「そうなんですね…」「治安悪いですよね〜」「ですね〜」「じゃあ診ていきますよ〜」


やっと会話が終わった、と安心していたのも束の間。こいつも口の中見ながら話しかけてくる。


「埼玉にはどれくらい?」「きょねんくらいまで…」「でもあの辺本当に治安悪いけどなんで住んでたの?」「やちんがやすかったので…」「それくらいしかないよねえ、あ、虫歯。こっちに来てどれくらい?」「いちねん…」「治安いいよねえ」「そうですねえ…」「あー親知らず抜いた方がいいね、抜きたい?」「こわいです…」「気が向いたら抜きましょうねー」


なんで歯医者でこんなに話しているのか、意味がわからなさすぎてめちゃめちゃ楽しかった。美容院でもこんなにいっぱい話さないよ私。

しかもこの間ずっと頭に何か当たってて、クッションかなあと思っていたんだけど、治療終わって先生を見たら、当たってたのお腹だったんだなあって一瞬で理解して笑いそうになった。当てんな。

あとたぶんこの歯医者、顔採用してんなあとも思っていたから、女の趣味が合いますねって握手したくなっちゃったよね。



それにしても、なぜ口の中を見ながら話したいのか。今までこんな歯医者に当たったことないし、この数年間で「喋りながら治療しましょう!」ってガイドラインが出来ていたとしたら、それを知らずに面白がってしまった私が悪い。でもきっとそんなガイドラインは存在しないはず。存在しないよね!?


いくら考えても理解できなさすぎて、最終的に”そういう性癖”としか思えなくなっている。フゴフゴなりながら返答してくれる人間が好きなの??こちとら患者ぞ??満たすな??


変な歯医者すぎるし、実際の治療になったときにも話しかけてくるのか、親知らずを抜いてるときはどうなるのか、今後が気になりすぎるのでこの歯医者に通うことにした。

わけわかんねえ歯医者、わけわかんなさすぎてすげー楽しい。次はどんなお話をしようかな。


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