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印刷業界の脱炭素への道筋と取り組み

当社祖業の印刷業界においても脱炭素の波がひたひたと押し寄せています。

多くの人々が日常的に接する印刷物。それらは情報伝達の手段として不可欠ですが、その製造過程は環境に影響を及ぼすことが知られています。

インクや紙の生産、印刷機の動力供給、印刷の後加工など多岐にわたるプロセスが炭素排出の原因となっています。このような背景から、印刷「業界」が環境問題にどのように取り組んでいるのか、その実態に一歩距離をとった形で迫りたいと思います。

本記事では、印刷業界の脱炭素への道筋と具体的な取り組みに焦点を当てて解説していきます。

印刷業界の先進的取り組み

印刷業界における温室効果ガスへの取り組みは実は2009年より実行されています。

上記リンクをご覧になればおわかりの通り、水なし印刷技術導入時にすでにカーボン・オフセットの概念が導入されており、クレジット購入によるオフセットもサービスのひとつとして提供されています。

昨今のカーボンニュートラルの拡がりを鑑みれば、10年先を行っている取り組みと言えるのではないでしょうか。

印刷は情報や文化を伝える重要な役割を果たしてきました。ペーパレスと言われながらも私たちの生活にまだまだ密接に関与しています。

そんな生活に密着する印刷。
しかし、どうでしょう。
残念ながらこの時代を先取りした取り組みがこの世の中に浸透しているとは言いがたいと思いませんか。

浸透していれば「え?今頃になってカーボンニュートラルとか言ってんの?遅くない?」という巷の反応になるはずです。

「天地人」という言葉があります。

天の時、地の利、人の和。印刷業界のカーボンオフセットは天の時的にイマイチだったのでしょうか。

いずれにせよ時はカーボンニュートラル。印刷物の脱炭素化は時流に沿った動きであることには間違いありません。

脱炭素へのロードマップの概要 

印刷業界はカーボンニュートラルに関する具体的ロードマップを策定しています。参考になるのが下記URLにあるPDFとなります。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/seishi_wg/pdf/2022_001_06_02.pdf

上記リンク先を要約すると以下の通りです。

  • 2030年のCO₂排出量削減目標は、2013年度比で54.9%、2010年度比で28.4%。

  • 印刷製造工程を対象とし、2030年度のカーボンニュートラル行動計画参加企業の売上高を3兆2,000億円として目標設定。

  • 2050年カーボンニュートラルに向けての取り組みとして、エネルギー起因の排出極小化や印刷の貢献を強調。

  • 2022年度の取組状況や昨年度のフォローアップを踏まえた取組状況、2030年以降の長期的な取組の検討状況などが詳細に記載されています。

このロードマップは業界の持続可能性を高めるだけでなく、消費者からの信頼を得るための重要なステップとも言えます。(要約:ChatGPT)

多くの印刷会社がこのロードマップを基に、具体的な取り組みを進めている現状、今後の業界の動向が非常に注目されています。

具体的な取り組み

印刷業界の脱炭素への取り組みは、ロードマップの策定だけでなく、具体的な実践にも移されています。以下は、その代表的な取り組みの中で弊社が採用しているものを紹介します。

1. エコフレンドリーなインクの導入 多くの印刷会社が、従来の石油ベースのインクから、植物ベースや水ベースのエコフレンドリーなインクに切り替えています。これにより、VOCs(揮発性有機化合物)の排出を大幅に削減することが可能となりました。
マルト株式会社ではベジタブルインキを採用しています。

2. デジタル印刷の普及 デジタル印刷は、オンデマンド印刷が可能であり、大量の在庫を持つ必要がなくなるため、紙の無駄を削減することができます。
マルト株式会社でも小ロット印刷についてはオンデマンド印刷での対応をしています。

3. 再生可能エネルギーの活用 印刷工程における電力消費は大きく、そのための炭素排出も無視できません。そこで、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入が進められています。
マルト株式会社では印刷事業を行う工場、ネーム事業を行う工場の2工場を再エネ100%で稼働しています。

これらの取り組みや事例を通じて、印刷業界が環境問題に真摯に取り組んでいることが伺えます。持続可能な未来を目指すための、これらの努力は今後も続けられることでしょう。

脱炭素取り組みの課題と展望

印刷業界の脱炭素への取り組みは着実に前進を遂げてきましたが、それに伴う課題も少なくありません。以下に、その主要な課題と今後の展望を概説します。

1. 技術的・経済的ハードル エコフレンドリーな材料や再生可能エネルギーの導入は、初期投資が大きいことが多い。特に中小企業にとっては、資金的な負担が大きいという課題があります。

2. 情報の不足 環境に優しい技術や材料に関する情報が十分に普及していないため、どのような取り組みをすれば良いのか判断が難しい場面もある。

3. 消費者の認知度 環境に配慮した印刷物の価格が高くなることがあるため、消費者の理解や価値観の変化が求められます。

今後の印刷業界の取り組みとしては、技術の進化を活用して、より効率的かつ低コストでの脱炭素化を進めることが期待されます。また、業界団体や政府の支援を受けて、中小企業でも取り組みやすい環境を整えることが求められます。

消費者側の意識も変わりつつあり、環境に優しい印刷物に対する需要は増加していると言われています。この流れを受け、印刷会社が環境への取り組みを強化し、その結果として業界全体の炭素排出量の削減を実現することが期待されます。

印刷業界は情報伝達の重要な役割を担いながらも、環境への影響が無視できない産業としての側面を持っています。しかし近年の取り組みを通じて、その環境負荷を大きく削減しようという意識の変化が明確に見られるようになっています。

エコフレンドリーな材料の導入、再生可能エネルギーの活用、デジタル印刷の普及など、多岐にわたる取り組みが好例です。

もちろんこれらの取り組みには課題も多いですが、業界全体の意識の高まりとともに諸課題も乗り越えられると期待されます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

※本記事の冒頭画像はMicrosoftのImageCreatorで生成した画像です。