カーボンニュートラルで避けて通れないScope1,2,3。サプライチェーン排出量可視化の話。【Part 1】
前回「カーボンニュートラルとは」的なざっくりとした話を書きました。
その記事でしつこいくらいに書いたのが
カーボンニュートラルへの手順というか、プロセスですね。
「よし。わが社もいっちょカーボンニュートラルに取り組んでみよう!」
こう思っていきなりEV導入とか太陽光発電設備導入、省エネ投資、節電などに取り組む。悪いことじゃありません。
ぐだぐだ考えているくらいならさっさと行動。
すばらしい。
でも、取り組み前と後でどういった効用があったか判断できないと、その取り組み自体に本当に意味があったのか検証できません。
それに自分の会社がカーボンニュートラルに貢献するには先に挙げた方法以外のもっと効率の良いものがあるかもしれません。
なのでここはちょっと立ち止まりましょう。
そして先ずは自分の現在地を知りましょう。その後からでも決して遅くありません。
サプライチェーン排出量について
カーボンニュートラルを妨げる馴染みの薄い用語たち
カーボンニュートラルに関して予めお断りしておきたいことがあります。それは馴染みのない用語が頻繁に出てくるということです。
これからお話しする「サプライチェーン排出量」という言葉もそのひとつです。
ここで私の話をします。実は私この辺りの予備知識は全く持ち合わせていませんでした。生産管理とか品質保証部門の人間でもありませんし、もちろん弊社の環境部門の人間でもありません。
そんな私は2021年12月、突然カーボンニュートラルチームの任を拝命することとなったのです。
この時の私は「カーボンニュートラル?なにそれ?おいしいの?」状態。
「世の中的にはSDGsとか言ってるよなぁ」って感じです。
恥ずかしながらその時点ではSDGsの何たるかも全く理解していませんでした。
そんな私です。何からどのように手を付けていいのかわかりません。
とりあえずGoogleで該当するキーワードを検索しまくりました。
そこでいきなり壁にぶち当たります。
「用語がわからん」
「今までの生活からは縁遠い話ばっかりだ」
当初はこの二つの理由で全く勉強がはかどらない状況が続きました。
ひょっとすると私の勉強の仕方が悪かったのかもしれません。
何事も今起きている現状の背景には、その原因となる歴史的背景があるはず。なんて考えていろいろ遡って調べてみるのです。
するとまず出てくるのが国連という存在です。
皆さん。生活していて国連の動向とか気にすることありますか?
私は今の今までありません。
そりゃ新型コロナの時WHOがどうだとか、ウクライナ情勢の時の国連安保理とか、そういったニュースとしてフォローはしています。
ですがウチの業務に国連さまと直接的に関わりがでるなんて、可能性を考えても1ミリもありません。(関係ができれば奇跡です)
TCFD(Task force on Climate-related Financial Disclosures)「気候関連財務情報開示タスクフォース」とか出てきたときに、「もう知らん」となりました。
こんな半ば匙を投げたような状態の私に突如ニュースが飛び込んできます。
あぁこれか。これがカーボンニュートラルの潮流か。
当時その意味も何も理解していなかった私でさえも、この発表を見てカーボンニュートラルは世界的に待ったなしの状況なんだと直感できました。
後で気づくことですが、カーボンニュートラルの事ってそう難しいものでもないんです。
ただ単に馴染みがないだけ。
故に無駄に敷居が高くなり、取り組みに躊躇してしまうんです。
前置きが長くなってしまいました。
カーボンニュートラルの背景的ものは別の機会に記事にできればと思います。
先ずはカーボンニュートラルへの取り組みに直接的な話。
タイトルにあった「サプライチェーン排出量」についてお話します。
サプライチェーン排出量とは
この図は環境省のグリーン・バリューチェーンプラットフォームというウェブサイトからの引用です。
左から製品の原材料・部品の調達、製造、配送、販売、消費までの全体の一連の流れが示されています。この一連がサプライチェーンと言います。
サプライチェーン排出量とはこのすべての工程で排出される温室効果ガスの量を指すんですね。
そしてそのサプライチェーン排出量は図にもあるように
Scope1(直接排出)
Scope2(間接排出)
Scope3(Scope1とScope2以外の間接排出)
と区別して算出されるのです。
つまり
サプライチェーン排出量=Scope1+Scope2+Scope3
ということです。
温室効果ガス排出量の計算式
これは至って単純です。
活動量✕排出原単位で求められる数値を積み上げていき、この総和が事業者のサプライチェーン排出量となります。
Scope1(直接排出)について
まずScope1です。
上図のキャプションにもあるように、このScope1はサプライチェーンにおいて事業者自らによる温室効果ガスの直接排出を指します。
イラストのようにボイラー設備などで重油や天然ガスを燃焼して排出されるCO2が代表的です。
その他には営業車を使用して営業をしているような事業者は、その車の燃料であるガソリンを燃焼させることによって排出されるCO2もカウントの対象です。
図の上に「自社」とありますね。
その表示の通り、とにかく自分の会社で燃料を燃やして排出される温室効果ガスはScope1となります。
御社のScope1はどういったものがありますか?
会社のScope1がちょっと…と言うんでしたら、まずは自分のお家の排出量を調べてみるのもいいかもしれません。
お宅のガスの利用料はいかがですか?
ちょっと見てみましょう。
Scope2(間接排出)について
次にScope2。
キャプションのとおりです。「他社から供給された」という言葉がちょっと引っかかりますが、使用する電気料金とおきかえれば大体の会社さんはそれでイケると思います。
一年間の使用電力は毎月の明細などで確認できますね。
その合計が一年間の活動量になります。
そこで
活動量✕排出原単位
これで算出すれば御社の(ご家庭の)温室効果ガスがサクッと出てしまうんです。
おい。肝心の排出原単位を教えろ。
ごめんなさい。
ここで全部解説するのは少々難儀なので、それはご自分でお調べください。
環境省のグリーン・バリューチェーンプラットフォーム(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html)というウェブサイトにいけばその手の情報がちゃんとあります。
リンクを貼っておきますのでさらっと見てみてください。
私はここでちょっとやる気を無くしました…。
この手の「このことに関してはこの資料を」「これについてはこのPDFを」的な紹介をされると、「もう知らん」となってしまうのです。
これはおそらく慣れなんでしょうね。
おそらくこのような業務を日常的にこなしている方はすんなり受け入れられるのでしょう。
そうこうしているうちにずいぶんと長尺な文章になってしましました。
続いては日を改めてScope3について記事を書いてみたいと思います。